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ウコンは、ショウガ科の植物で、主にスパイスやサプリメントなどに利用されています。
ウコンには、含有成分のクルクミンによる、健康に役立つさまざまな効果が期待されています。
ただし、過剰摂取を避けるなど、摂取方法には注意点もあります。
この記事では、ウコンの特徴や主な種類から、期待されている健康効果や栄養成分、摂取する際の注意点などを詳しく解説します。
ウコン(ターメリック)とは?主な3品種も紹介

ウコンはショウガ科の多年草で、漢字では「鬱金」と書きます。また、英語名はターメリック(Turmeric)です。
- インド原産の古くから栽培されてきた植物。
- 日本では九州の一部や沖縄に自生、または栽培されている。
- 草丈は、種類にもよるが30cm〜1mほど。
- ショウガに似た根茎が、染料や香料、薬用として使用される。
- 乾燥させ粉末にしてから使われることが多い。
ウコンの品種は世界中で50種類以上あるといわれていますが、日本では主に、秋ウコン・春ウコン・紫ウコンの3種類が知られています。
これらのウコンは品種の違いのほか、それぞれに生薬名があり、特徴や用途も異なります。
表に、3種類のウコンの特徴や用途をまとめます。
品種 | 生薬名 | 果肉の特徴 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
秋ウコン | 鬱金 (ウコン) | オレンジ色 | 一般的なウコン 最もクルクミンが豊富 秋に開花・白い花 | 料理 (スパイス) |
春ウコン | 姜黄 (キョウオウ) | 黄色 | 精油成分が豊富 クルクミンは少なめ 辛味や苦味が強い 春に開花・桃色の花 | 生薬 (とくに沖縄にて) |
紫ウコン | 莪朮 (ガジュツ) | 白色に青紫の 部分が混ざる | 苦味・清涼感が強い 多様な精油成分と芳香 春に開花・紫~桃色の花 | 主に生薬 一部では料理にも |
ウコンに期待される健康効果

古くから生薬として活用されてきたウコンは、健康に対するさまざまな効果が期待されることが多いです。
ただし、中には必ずしも十分な根拠がないまま、過剰な期待が寄せられている場合もあります。
そこで、この章ではウコンに期待できる主な効果と作用をまとめ、二日酔いや風邪への効果についても解説します。
主な効果と作用
ウコンには、主に下記のような健康に役立つ効果が期待されています。
- 健胃作用
- 食欲増進作用
- 動脈硬化の予防
- 血行促進作用
- 抗酸化作用
- 免疫力の維持や向上
- 抗菌作用
- 抗炎症作用
- 歯周病の予防
こうした効果の中には、消化に関連したものが多数あります。
とくに、ウコンには唾液や胃液の分泌を促す働きがあり、胃の粘膜を保護して胃を健康に保つ効果や、食欲を増進する効果が期待されています。
さらに、胆汁の分泌を促す作用により、血中コレステロール値を低下させる可能性があり、動脈硬化の予防や血行促進作用も期待されているのです。
ウコンはまた、活性酸素を除去する抗酸化作用もあります。過剰な活性酸素は免疫力の低下を招くため、ウコンの摂取により、免疫力の維持や向上が期待できます。
抗菌作用や抗炎症作用があることも、ウコンの特徴です。とくに、歯周病菌の増殖を抑える効果による歯周病予防の働きが注目されています。
ウコンは二日酔いに効く?
ウコンには、肝臓の機能やアルコールの分解能力を高める働きなどが期待されているため、二日酔いに効果的だとよくいわれます。
しかし、その効果については、強い科学的根拠があるわけではなく、摂取方法や体調・体質によっても差が生じる可能性があります。
ウコンの肝臓への作用は、肝障害を引き起こす可能性もあることから、肝機能に問題がある人や継続的に摂取している人は注意が必要です。
二日酔いでウコンを摂取する際も、過度な期待はせず、また、安易に多量に摂取することも避けましょう。
ウコンは風邪に効果がある?
ウコンの風邪への効果は、明確な証明がなされていないものの、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」では、風邪対策として取り入れられることがあります。
そのため、ウコンによる免疫力への効果を、日常的な風邪予防の方法として取り入れることもできます。
ただし、二日酔いへの効果と同じく、過度な期待はせずに、多量に摂取することも避けましょう。
ウコンに含まれる栄養素や成分の特徴

最も注目されているウコンの成分は「クルクミン」で、ウコンの持つさまざまな効果に関係しています。
また、ウコンは、ミネラルや食物繊維を多く含むことも特徴です。
クルクミン
クルクミンはポリフェノールの一種で、黄色の色素成分です。
先述した3種類のウコンの中では、秋ウコンに一番多く含まれています。
ウコンの健胃作用・動脈硬化の予防・抗酸化作用などの効果にも、クルクミンの働きが影響しています。
歯周病予防にもクルクミンが関係しており、口内細菌のうち、歯周病の原因となる悪玉菌にだけクルクミンが抗菌効果を発揮するという研究結果もあります。
ミネラル
ウコンの種類によって含有量は異なりますが、主に以下のミネラルが含まれています。
- カルシウム
- カリウム
- 鉄
- マグネシウム
- リン
- 亜鉛
- マンガン
秋ウコンがクルクミンを豊富に含む一方で、春ウコンはミネラルの含有量が多いことが特徴です。
食物繊維
ウコンには、食物繊維も豊富に含まれており、整腸作用も期待できます。
3種類のウコンの中では、とくに春ウコンに多く含まれています。
参考:アメリカ農務省(USDA) “FoodData Central | Spices, turmeric, ground – Nutrients”
ウコンの摂取方法と注意点

ウコンは、主にサプリメントや健康食品のほか、スパイスとしても販売されています。
そうした加工品は便利ですが、とくにサプリメントでは、過剰な摂取に注意が必要です。
ここでは、ウコンを摂取する方法や、摂取する際の注意点を紹介します。
サプリメントや健康食品を利用する
ウコンは、野菜のように生の状態で販売されることは少なく、加工品が広く流通しています。
とくに、サプリメントや健康食品に加工されることが多く、粉末や錠剤、ドリンク、お茶など、さまざまな形態の製品があります。
そうしたサプリメントや健康食品を利用すると、手軽にウコンの成分を摂取できて便利です。
一方で、手軽さゆえに、過剰摂取になりやすいデメリットもあります。
サプリメントや健康食品を利用する際は、製品に記載された目安量を守るようにしましょう。
料理に活用する
ウコンの一種である秋ウコンは、ターメリックなどの名前で、料理に使うスパイスとしても販売されています。
カレーに使われる主要スパイスの一つで、やや土の臭いを感じさせる独特の香りやほろ苦い風味が特徴です。
しかし、加熱によって独特の香りは弱まるため、主に色付けを目的に使用されることが多いです。
例えば、炊く際にターメリックを加えて黄色く色付いたご飯は、「ターメリックライス」として親しまれています。
ターメリックの色素成分は油に溶けやすいため、油と一緒に調理するときれいに発色します。
摂り過ぎには注意
ウコンを利用する際に最も気を付けたいことは、過剰摂取を避けることです。
スパイスであるターメリックは、一般的なレシピに沿って使えば大きな心配は不要ですが、胃を刺激する働きがあるため食べ過ぎには注意しましょう。
また、妊娠中や肝臓に疾患を抱えているときは、とくに過剰摂取に注意が必要です。
ウコンの摂り過ぎでとくに注意したいのは、手軽に摂取しやすいサプリメントの利用時です。
ウコンは薬物性肝障害の副作用の例が多いため、妊娠中や肝臓に疾患を抱えているときだけでなく、高用量や長期間の摂取をしないように注意しましょう。
体調や体質に合わせた摂取を心掛け、すでに疾患を抱えている場合は医師に相談してから利用してください。
まとめ
ウコンは、食欲増進や動脈硬化の予防、免疫力の維持や向上、歯周病の予防など、健康に嬉しいさまざまな効果が期待されている植物です。
日本で親しまれている3種類のウコンは、それぞれ異なる特性があり、料理用のスパイスやサプリメント・健康食品などに幅広く活用されています。
しかし、摂り過ぎによって肝障害を引き起こすリスクもあるため、適量を守って摂取することが大切です。
二日酔いの対処や風邪予防に活用する際も、多量に摂取せず、無理のない方法で摂り入れるとよいでしょう。