生姜は、身近な野菜であり、古くから漢方薬に使用されてきた生薬でもあります。
漢方という意識がなくとも、身体を温める働きや風邪の予防などの効能を期待して、食事に取り入れることもあるのではないでしょうか。
身体を温めることや風邪予防以外にも、生姜にはさまざまな効能が期待されています。
今回は、生姜に含まれる成分や効能をはじめ、生姜の気になるQ&Aまで詳しく解説します。
生姜の効能に関わる成分と栄養素
一般的によく見られる生姜は、じつは根ではなく、肥大した地下茎の部分です。
スーパーなどで一年中手に入る薄茶色の生姜は、新しく育った新生姜を数か月貯蔵するとできる「根生姜」と呼ばれるもので、根生姜は新生姜と比べると、辛味が強くなっています。
根生姜は「ひね生姜」とも呼ばれ、漢方にもひね生姜の部分が使用されています。
生姜の栄養素・特徴的な成分
生姜には、以下のようなさまざまな栄養素が含まれています。
- ビタミン:ビタミンB1やB2、B6、ビタミンC、ナイアシン、葉酸など
- ミネラル:カリウムやカルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、マンガンなど
- 食物繊維
これらの栄養素以外にも、生姜にはよく注目を集める成分が含まれます。
- 生姜の辛味成分「ギンゲロール」「ジンゲロン」「ショウガオール」
- 生姜の香り成分「ジンギベレン」
これらの生姜特有の成分が、身体を温める働きや食欲増進の働き、風邪や吐き気に対する働きなど、さまざまな効能をもたらしています。
生姜に期待できる効能・効果
生姜は、身体の調子を整えるのに役立つほか、日々の健康維持への効果や、料理への効果などが期待されています。
ここでは、生姜に期待されている多くの効能・効果について解説します。
身体を温める作用
冷え性の影響は、身体が冷える、手足が冷たい、といったことだけに限りません。
疲れが取れない、肌が荒れる、風邪を引きやすいなど、さまざまなトラブルを引き起こしがちです。
近年では、男性の自覚症状のない隠れた“冷え”が取り上げられるなど、男性女性を問わず冷え性に悩まされるようになりました。
冷え性の根本的な原因はさまざまですが、そのひとつとして血行不良が挙げられます。
生姜に特有の成分には、血行を良くする働きや、熱を作り出す働きなどがあるのが特徴です。
これらの働きで身体を内部から温めるのに役立ち、冷え性への効果も期待されています。
発汗作用・熱を下げる作用
生姜には身体を温める働きがある一方、熱を下げる作用があることも特徴です。
矛盾しているようですが、生姜特有の成分によって、血行が良くなり発汗が促され、身体にこもった熱を逃がす効果につながるのです。
熱を下げる働きは主に、生の生姜を食べたときに期待できる効能のため、食べ方も意識しましょう。
また、生姜に含まれるカリウムの働きで、むくみにも効果的なことから、夏バテやむくみの対策などにおすすめされています。
喉の痛みの緩和・抗炎症作用
生姜には、抗炎症作用や鎮痛作用があり、喉の痛みを緩和する働きも期待されています。
喉の痛みの緩和については、生姜の抗菌作用が感染症の予防や対策に役立つこともポイントです。
また、痛みについては喉に限らず、関節痛やリウマチへの痛みにも効果が期待できるといわれています。
血圧の調節
生姜には、血圧を調節する働きも期待されており、血圧の安定化に役立ちます。
これには、生姜の効能である、血行を良くする働きや、コレステロール値を調節する働きとともに、血液がサラサラになる効果も関係しています。
食欲増進・吐き気の軽減
生姜には、消化を促進させる働きがあり、食欲増進や吐き気の軽減といった効能が期待できます。
吐き気の軽減については、胃の不調時だけでなく、二日酔いでも効果があるとされています。
生姜に含まれる成分が、胃腸の負担を軽減したり、胃腸の働きを整えたりする役にも立つため、胃の健康を意識した食事に取り入れるのもよいでしょう。
また、食物繊維が含まれるため、腸内環境を整える働きもあります。
免疫力アップ・風邪予防
生姜には、身体を温める働きとあわせて、新陳代謝を促す働きや殺菌作用もあり、風邪予防や風邪の引き始めにも効果が期待されています。
また、生姜特有の成分には、白血球を増やして免疫力アップにつなげる働きがあることもポイントです。
免疫力に関しては、抗アレルギー作用も期待され、花粉症などのアレルギーへの効能にも関心が集まっています。
抗酸化作用・アンチエイジング
生姜特有の成分は、活性酸素を除去する抗酸化作用でも注目されています。
活性酸素は、身体にとって必要な働きももたらしますが、過剰に増えると「酸化ストレス」が生じ、老化や病気の原因となるため注意が必要です。
生姜の抗酸化作用は、老化予防(アンチエイジング)や生活習慣病の予防という観点からも効能が期待されています。
口臭予防
生姜は抗菌作用により、口臭予防や歯周病予防の効果も期待でき、デンタルケアでも注目されています。
また、生姜特有の成分には、唾液の中にある酵素を活性化させて、においの元を分解する働きもあります。
日常の口臭予防だけでなく、においが気になる食べ物を食べるときに生姜も一緒に食べる、といった使い方もできるでしょう。
料理への効果
先述したように生姜は、身体に良いさまざまな働きが期待されていますが、料理にも効果を発揮します。
生姜の殺菌作用や消臭作用は、食中毒の予防になるほか、肉や魚の臭み消しなどにも役立つため、ぜひ料理にも活かしてみてください。
生姜の効能で気になるQ&A
生姜にはたくさんの効能が期待されていますが、注意すべきポイントも多いため、疑問点もあるのではないでしょうか。
ここでは、よく挙げられる質問に回答しているので、生姜を利用する際の参考にしてみてください。
生姜を毎日食べるとどうなる?
生姜を毎日食べても、自分の身体に合った適量なら問題はありません。
気を付けたいのは、一日の生姜の摂取量です。生姜は刺激の強い食べ物であり、過剰摂取に注意する必要があります。
生姜をたくさん食べると、腹痛や下痢、胸やけなど、かえって身体にトラブルをもたらすことがあるため気を付けましょう。
一日の摂取量は10gまでを目安にして、食べ過ぎないようにしてください。
また、生姜には胃腸の働きを助ける効能が期待できるものの、刺激が強いことから、もともと胃腸が弱い方はとくに摂り過ぎないよう注意を要します。
自分の身体に合う適量の生姜を摂ることがポイントです。
チューブの生姜でも効果がある?
チューブの生姜にも、ギンゲロールなどの成分は含まれており、これまで紹介してきたような効能・効果が期待できます。
手軽に使えるチューブの生姜は、日常的に生姜の効果を得たい人にも便利です。
ただし、生姜の成分には、酸化されやすいものや、揮発しやすいものもあります。開封後はあまり長期間保存しすぎずに、早めに使い切るとよいでしょう。
また、生の生姜には、風味が強く、料理が美味しく仕上がりやすいメリットもあります。
加熱した生姜と生の生姜ではどちらが良い?
生姜特有の成分は、加熱によって変化するのが特徴です。
生の生姜に含まれる「ギンゲロール」を加熱することで、「ショウガオール」や「ジンゲロン」に変化し、それに伴い働きも変化します。
身体の熱を下げたい場合には生の生姜、身体を温めたい場合は加熱した生姜がおすすめです。
冷え性が気になるときに生の生姜を食べたり、高熱があるときに加熱した生姜を食べたりすると、逆効果になることもあるため気を付けましょう。
生姜の効果的な食べ方とは?
先述したように、生姜は生と加熱したもので期待できる効能が異なるため、季節やその時の体調に合わせて使い分けるようにしましょう。
また、生ですりおろした場合は有効成分が減少する前にすぐ食べる、加熱する場合は有効成分を増やすためにじっくり加熱するなども、効果的な食べ方のコツです。
生姜は皮の付近にも効果的な成分が含まれているため、皮ごと使うとよりメリットを得られるでしょう。
生姜は乗り物酔いに効果がある?
生姜は乗り物酔いに対して、効果がないとする見解もありますが、吐き気の軽減に効果的とする見解も多く存在します。
生姜がもつ胃腸の働きを助ける作用によって、乗り物酔いの予防に効果が期待できるでしょう。
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