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冬瓜は、胡瓜や西瓜と同じく、夏が旬のウリ科の野菜です。
このため、「栄養がない野菜」といわれるキュウリと同様に、冬瓜にも栄養がないと思う人が多いのではないでしょうか。
冬瓜は、低カロリーでダイエットに向くといわれますが、栄養がないわけではありません。
この記事では、冬瓜に含まれる栄養素と効能を詳しく解説します。
また、ダイエットに向く理由と冬瓜の栄養素をしっかり摂れるレシピも紹介しますので、参考にしてみてください。
冬瓜に含まれる主な栄養素と効能
この章では、冬瓜に含まれる主な栄養素と効能について解説します。
なお本記事では、食品の栄養価を「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より引用しています。
ビタミンC
冬瓜には、ビタミンCが豊富に含まれます。
ビタミンCは、皮膚や血管などを構成するコラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。
不足すると血管がもろくなり、疲労感や筋力低下などの症状が現れ、重度の場合は壊血病を引き起こすことがあります。
また、ビタミンCには抗酸化作用があり、体内での活性酸素の影響を抑えるため、生活習慣病や動脈硬化の予防、肌の老化予防などの効果が期待できます。
成人では男女ともに、1日100mg以上のビタミンC摂取が推奨されています。
ゆでた冬瓜には、可食部100gあたり27mgのビタミンCが含まれます。150g食べると、1食分として十分な量のビタミンCを摂取できます。
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)水溶性ビタミン(PDF)」
葉酸
冬瓜には、ビタミンB群のひとつである葉酸が含まれます。
葉酸は、ビタミンB12とともに細胞内のDNA合成に必須の栄養素で、貧血予防や体の発育に重要です。
赤血球の生成に関わり、造血を促し貧血を予防します。
葉酸やビタミンB12が不足すると、赤血球細胞の成長がうまくいかず、巨赤芽球性貧血を引き起こすことがあります。
細胞の増殖やたんぱく質の産生を促す作用により、胎児や乳児の発育にも重要です。このため、妊婦や授乳婦には、より多くの葉酸の摂取が推奨されています。
また、冬瓜にはビタミンB12が含まれません。ビタミンB12を含む動物性の食品を一緒に摂ることも大切です。
カリウム
冬瓜は、カリウムを豊富に含む野菜です。
カリウムには、むくみの改善や高血圧予防などの効果があります。
塩分(ナトリウム)の摂りすぎは、むくみの原因のひとつです。
塩分を摂りすぎると、ナトリウム濃度を薄めようと体内の組織が水分を多く抱え込み、むくみが生じます。
同様に、血中のナトリウム濃度が高くなると、血管内の水分が増え、血液の量も増加し、血圧が上がります。
カリウムには、細胞内の浸透圧を正常に保つ働きがあるため、体内の余分なナトリウムの排出を促し、むくみや高血圧を改善するのです。
また、適切な量のカリウムの摂取は脳卒中のリスクを軽減するという研究結果もあり、脳卒中予防への効果も期待できます。
カルシウム
ゆでた冬瓜には、100gあたり22mgのカルシウムが含まれます。これは、ピーマンの2倍、ほうれん草の約1/3の量にあたります。
骨や歯を形成するカルシウムは、日本人に不足しがちな栄養素です。
カルシウムが不足すると、骨粗しょう症、高血圧、動脈硬化などをまねくことがあります。さまざまな食品から少しずつ取り入れるようにしましょう。
カルシウムの吸収率を上げるには、ビタミンDの十分な摂取が大切です。
冬瓜にはビタミンDが含まれないため、魚類やきのこ類など、ビタミンDを多く含む食品も食べるようにしましょう。
食物繊維
冬瓜には、「第6の栄養素」ともいわれる食物繊維が含まれます。
食物繊維は、胃腸で消化吸収されないためエネルギー源とはなりませんが、体に有用な多くの働きがあります。
食物繊維は水溶性と不溶性に大別され、それぞれの主な働きは以下のとおりです。
- 水溶性食物繊維
腸内の善玉菌のエサとなり、便秘を予防する。
糖質の吸収を抑え、食後の血糖値の上昇を穏やかにする。
コレステロールから作られる胆汁酸を吸着して排出するため、結果として血中コレステロール値が下がる。 - 不溶性食物繊維
水に溶けず、水分を吸収して膨らむ。
便のカサを増やして腸を刺激し、便秘を改善する。
冬瓜には、水溶性・不溶性どちらの食物繊維もバランスよく含まれます。
冬瓜はダイエット向きの食材
冬瓜はカロリーが低く、ダイエットに向く食材だといわれています。
この章では、冬瓜がダイエットに向く理由を解説します。
低カロリーかつ食べごたえがある
冬瓜は、低カロリーでありながら食べごたえのある野菜です。
冬瓜のエネルギー(カロリー)と糖質量を、他の野菜と比較して以下に示します。
野菜の種類 | ゆでた野菜の可食部 100gあたりの含有量 | |
---|---|---|
エネルギー(kcal) | 糖質(g) | |
冬瓜 | 15 | 2.2 |
キャベツ | 19 | 2.6 |
にんじん | 29 | 5.4 |
ブロッコリー | 30 | 0.9 |
冬瓜は他の野菜と比較して低カロリーで糖質が少なく、また95%以上が水分です。
水分が多いため食べごたえがあり、満腹感が得られやすく、ダイエットに向いています。
ただし、ダイエット中は冬瓜だけを食べるのではなく、たんぱく質や糖質を含むさまざまな食品と組み合わせて、バランスよく食べることが大切です。
食物繊維で血糖値の上昇が抑えられる
冬瓜に含まれる食物繊維は、食後の血糖値の上昇を抑えるため、ダイエットに有用です。
食後に血糖値が上がると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血糖値が下がります。
インスリンには血糖値を下げる作用のほかに、余った糖を脂肪に変え、体に蓄える働きもあります。
食後の血糖値が急上昇すると、インスリンが大量に分泌され、体に脂肪が蓄えられやすくなります。ダイエットのためには、血糖値の上昇をなるべく抑えることが大切です。
冬瓜には食物繊維が含まれるので、食後の血糖値の上昇を穏やかにし、肥満を予防する効果が期待できます。
冬瓜の栄養素をしっかり摂れるレシピ
冬瓜には、ビタミンCやカリウムなどの栄養素が豊富に含まれます。
この章では、冬瓜の栄養素をしっかりと摂れるレシピを紹介します。
なお、冬瓜の皮をむく際は、皮が硬く滑りやすいので、十分に注意してください。
冬瓜の味噌汁
とろっと柔らかく煮た冬瓜が入った味噌汁は、食欲の落ちる夏にもおすすめのレシピです。
冬瓜にはビタミンAが含まれていないので、β-カロテンが豊富なかぼちゃと組み合わせると、栄養バランスがよくなります。
β-カロテンは、体内でビタミンAに変換される「プロビタミンA」とよばれる物質のひとつです。
材料(2人分)
- 冬瓜:120g
- かぼちゃ:100g
- かつお出汁:400mL
- 味噌:大さじ2
作り方
- 冬瓜とかぼちゃをよく洗い、種とワタを取る。
- 冬瓜は厚めに皮をむき、かぼちゃは皮つきのまま、それぞれ厚さ5mmの一口大に切る。
- かつお出汁に冬瓜とかぼちゃを入れ、5〜6分煮る。
- 具材が柔らかくなったら火を止め、お好みの味噌を溶き入れて完成。
冬瓜のそぼろあんかけ
煮汁ごといただく冬瓜の煮物です。
煮汁に溶け出た栄養素を余すことなく取り入れましょう。
暑い時期でも手早く作れ、冷蔵庫で冷やしてもおいしくいただけます。
材料(2人分)
- 冬瓜:300g
- 鶏ひき肉:150g
- かつお出汁:200mL
- みりん:大さじ1
- うす口しょうゆ:大さじ1
- 水溶き片栗粉:大さじ1の片栗粉に同量の水を加える
- 生姜:適宜
作り方
- 冬瓜は種とワタを取り、皮をむいて2cmの一口大に切る。
- 鍋に、かつお出汁と切った冬瓜を入れて火にかけ、沸騰してから10分ほど煮る。
- みりんとうす口しょうゆを加え、鶏ひき肉も加えてよくほぐす。
- 再び煮立ってきたらアクを取り、2〜3分煮る。
- 水溶き片栗粉でとろみをつけ、さらに2〜3分煮て片栗粉に火を通す。
- 器に盛り、生姜の千切りを上にのせて完成。
冬瓜と豚肉の梅スープ
具材を大きく切って煮込んだ、食べごたえのある「おかずスープ」です。
ビタミンCがたっぷりの冬瓜に、ビタミンB群を豊富に含む豚肉を加えています。
梅干しの酸味が食欲をそそり、あっさりとした味付けでたくさん食べられます。
材料(2~3人分)
- 冬瓜:400g
- 豚バラ肉うす切り:150g
- 水:600mL
- 梅干し:2個
- 塩:適量
- 昆布:1枚
作り方
- 鍋に水と昆布を入れておく。
- 種とワタを取った冬瓜は、緑色が残るように皮をむき、3cmの大きさに切る。
- 1. の鍋に切った冬瓜を入れ、15分ほど煮る。
- 冬瓜が柔らかくなったら、指で軽く潰した梅干しを種ごと加える。
- 5cmの長さに切った豚バラ肉を加え、アクを取りながら3分ほど煮る。
- 梅干しによって塩分が違うので、味をみながら少しずつ塩を加えて完成。
- 一緒に煮込んでいた昆布は、一口大に切って具材として一緒に食べるとよい。
まとめ
冬瓜には、ビタミンCやカリウムなどの栄養素が豊富に含まれます。
冬瓜は、他の野菜と比べてカロリーが低い野菜です。
低カロリーなことに加えて、水分が多いため満腹感が得られやすく、ダイエットにも向いています。
味噌汁や煮物、スープなどにして汁ごといただくと、冬瓜の栄養をしっかり摂れるのでおすすめです。
健康や美容によい栄養素を含む冬瓜を、ぜひ食卓に取り入れてみてください。