目次
クッキーとビスケットは、どちらもサクサクとした歯ごたえの甘い焼き菓子です。
見た目も原材料もよく似ていますが、この2つの違いは一体どこにあるのでしょうか?
この記事では、クッキーとビスケットの違いについて解説します。
さらに、サブレやクラッカー、ガレット、スコーンといった、クッキーやビスケットによく似ているお菓子たちも紹介していきます。
クッキーとビスケットの違いとは?
クッキーもビスケットも、小麦粉、砂糖、食用油脂、食塩を主な原材料として作られるお菓子です。
見た目は似ていますが、実際にはどのような違いがあるのでしょうか?
国によって呼び方が異なる!
「クッキー」や「ビスケット」という言葉の使い方は、国ごとに異なります。
- アメリカでは「クッキー」
- イギリスでは「ビスケット」
- フランスでは「ビスキュイ」
- ドイツでは「ビスキュイート」
アメリカでは、日本でいう「クッキー」と「ビスケット」の両方が「クッキー」として扱われています。
イギリスでは、日本の「クッキー」も「ビスケット」も、どちらも「ビスケット」です。
ただしイギリスでも、チョコチップが入ったしっとりしたタイプのものは「クッキー」として区別されることも増えてきたようです。
また、フランスでは「ビスキュイ」、ドイツでは「ビスキュイート」と呼ばれています。
ちなみに、アメリカで「ビスケット」というと、ふんわりとしたパンのような食べ物を指します。
日本の「クッキー」と「ビスケット」の違い
日本では、「クッキー」は「ビスケット類」の一部として位置づけられています。
つまり、クッキーはビスケットの中の一つのジャンルというわけです。
1971年に制定された「ビスケット類の表示に関する公正競争規約及び同施行規則」において、「クッキー」の定義が明確にされました。
ビスケットの中でも次の2点を満たしたものが「クッキー」として認められます。
- 見た目が「手づくり風」のもの
- 糖分と脂肪分の合計が全体の40%以上あるもの
ビスケットのうち、上記の基準を満たしたものだけを「クッキー」として販売しても良い、ということなのです。
また、日本ではクッキーを「ソフトビスケット」として販売しているお菓子メーカーもあります。
クッキーとビスケットのカロリーの違いは?
お菓子を選ぶ際、気になるのがカロリーの違いです。
ここで、クッキーとビスケットのカロリーを比較してみましょう。
食品名 | 100gあたりのカロリー |
---|---|
クッキー (ソフトビスケット) | 512 kcal |
ビスケット (ハードビスケット) | 422 kcal |
クッキー(ソフトビスケット)は、原材料に砂糖や脂肪分が多く含まれるため、ビスケット(ハードビスケット)よりカロリーが高くなっていることがわかります。
カロリーを抑えたい場合は、ハードビスケットタイプを選ぶといいでしょう。
とはいえ、どちらも比較的カロリーの高い食べ物なので、カロリーを気にする人は、食べる量を調整するのがポイントです。
意外と知らない!クッキーとビスケットのルーツ
クッキーとビスケット、それぞれ名前の由来や歴史は異なります。
クッキーとビスケットの成り立ちを見ていきましょう。
クッキーの歴史
クッキーの語源は、オランダ語の「koekje(小さなケーキ)」に由来しています。
17世紀、オランダ人がアメリカのニューアムステルダム(現在のニューヨーク)に渡った際、「koekje(小さなケーキ)」がアメリカに伝わりました。
これがクッキーの始まりです。
その後アメリカで広がり、一般家庭では「クッキージャー」に保存する習慣が生まれるほど、おやつの定番として親しまれるようになりました。
チョコチップクッキーやカウボーイクッキーなど、アメリカではさまざまな種類のクッキーが誕生し、今では世界中で愛されるお菓子となっています。
ビスケットの歴史
ビスケットの語源は、ラテン語の「bis coctus(2度焼かれたもの)」に由来しています。
かつてはパンを一度焼き、乾燥させてもう一度焼き直すことで、長期保存が可能な保存食とされていました。
これがビスケットの起源です。
16世紀以降、ヨーロッパでは現代のビスケットに近い形が作られるようになり、イギリスでは貴族の間でも人気のお菓子として楽しまれました。
日本には16世紀に、ポルトガル人によってビスケットが伝えられたといわれています。
本格的な製造が始まったのは明治時代で、1875年に日本初のビスケットが発売されました。
クッキーやビスケットと似たお菓子たち
クッキーとビスケットはよく似ていますが、他にも似ているお菓子がたくさんあります。
「どこが違うのだろう」と、ふと疑問に感じることもあるでしょう。
ここでは、次の4つについて取り上げてみます。
- サブレ
- クラッカー
- ガレット
- スコーン
名前はまったく違うのに、クッキーやビスケットと似ているこれらのお菓子。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
サブレ
サブレは、フランス発祥の焼き菓子です。
芳醇なバターの風味が特徴のサブレ。
一般的に、バターやショートニングの割合がクッキーやビスケットよりも多いため、さっくりとした軽やかな食感になっています。
名前の由来はフランス語の「sable(砂)」で、これはザラザラとした細かな食感が砂に似ていることから名付けられました。
じつは名前の由来は諸説あり、他にも、フランスの地名「サブレ=シュル=サルト」や、17世紀に活躍したサブレ侯爵夫人が考案したという説もあります。
クラッカー
クラッカーは、ビスケットと同じ原材料を使って薄く焼き上げたビスケットの一種とされています。
甘みは少なく淡泊な味わいで、軽い塩味がついているのが特徴のクラッカー。
焼き上げる際に音が鳴ることから「クラッカー」と名づけられたといわれています。
クラッカーは軽い食感とサクサクした口当たりが特徴で、スナックや軽食として広く親しまれています。
また、ワインやビールとの相性も抜群で、チーズやディップと組み合わせて楽しむ方法も人気です。
ガレット
ガレットは、フランス語で「丸く平たいもの」を意味する言葉です。
なかでも、厚みのある焼き菓子「ガレット・ブルトンヌ」は、フランス・ブルターニュ地方の伝統的な焼き菓子として知られています。
バターと塩がたっぷり使われ、独特の香ばしい風味が特徴です。
クッキーやサブレに似ていますが、厚さがあり、食べ応えがあるのがポイントです。
上記が日本でよく見かける「ガレット」ですが、クレープのように薄く焼いたものも「ガレット」と呼ばれています。
こちらは、クレープのように具材をトッピングして折りたたんで食べます。
スコーン
スコーンは、イギリスの伝統的なスイーツです。
一般的には、小麦粉・砂糖・バター・ベーキングパウダーを混ぜてオーブンで焼き上げることで、外側はカリッと、内側はふっくらと仕上げています。
日本国内でも朝食やおやつとして人気のあるスコーン。
このスコーンにも少し違いがあって、イギリス式スコーンとアメリカ式スコーンがあります。
イギリス式のスコーンは、形が丸く甘さは控えめ、ジャムやクロテッドクリームをつけて食べるのが主流です。
一方アメリカ式スコーンは、バターの代わりに植物油を使うことが多く、形状は三角形でチョコレートやベリーなど甘みのある食材を練り込んで作られています。
まとめ
クッキーとビスケットは、見た目だけでなく、原材料も似ている焼き菓子です。
日本では「クッキー」は「ビスケット」の一種としながらも、「クッキー」と認められるためには一定の基準を満たす必要があります。
さらに、小麦粉・砂糖・油脂、これらを主原料としながら、さまざまな国の歴史と文化の中で、それぞれ独自に作られて楽しまれてきたお菓子たち。
クッキーやビスケットは子どもからお年寄りまで楽しめる洋菓子ですが、それぞれの歴史と文化に思いをはせながら味わってみてはいかがでしょうか。