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「梅の季節はいつ?」と聞かれたらあなたは何と答えますか?
お花見を楽しみたい人にとっては春が梅の季節でしょう。
では、梅の実の収穫や、梅酒・梅干しを作る時期はいつ頃なのでしょうか。
この記事では「梅の季節」というテーマで、開花と収穫の時期や梅酒と梅干し作りのポイントを紹介し、さらに梅の持つ健康効果についても解説します。
梅の花が咲く季節

梅の花が咲く季節といえば春、それも早春をイメージする方が多いのではないでしょうか。
ただ、開花時期や見頃は地域によって大きく差があります。
この章では、次の2つのポイントに分けて紹介します。
- 開花時期は1月上旬〜4月下旬頃
- 見頃は5〜7分咲きがベスト
開花時期は1月上旬〜4月下旬頃
梅の開花時期は地域によって大きく異なり、1月上旬〜4月下旬頃に南の地域から順に咲き始めます。
下の表は、2025年に梅の開花が観測されたそれぞれの地域の時期です。
| 地域 | 開花時期 |
| 沖縄 | 1月上旬 |
| 九州・四国 | 1月下旬〜2月下旬 |
| 中国・近畿 | 2月中旬〜3月上旬 |
| 中部・関東 | 1月下旬〜3月下旬 |
| 東北 | 3月中旬〜4月中旬 |
| 北海道 | 4月下旬 |
見頃は5〜7分咲きがベスト
梅の花の見頃は、5〜7分咲きが最適だといわれています。
花が咲き始めて少し経ったこの頃は花びらがみずみずしくて色も濃く、鮮やかな梅の花を観賞することができるからです。
また、1日の中では早朝の時間帯がおすすめ。
朝日に照らされて生き生きとした梅の花は、格別な美しさです。
梅の実を収穫する季節

梅がもたらしてくれるのは、花の美しさだけではありません。
収穫した実を梅干しや梅酒などに加工して楽しめるのも大きな魅力です。
ここでは、梅を収穫する時期について解説しましょう。
収穫をするタイミングは6月から7月
梅の実の収穫は6月から7月に行いますが、熟す前に収穫するか熟してから収穫するかで、収穫時期や味わいなどが異なります。
熟す前に収穫する場合(青梅)
熟す前の梅は「青梅」と呼ばれ、5月末〜6月上旬頃に収穫されます。
見た目は鮮やかな緑色で皮がピンと張っていて、食感は固くてカリッとした歯ごたえがあります。
味は酸味が強く、風味が良いのが特徴です。
熟してから収穫する場合(完熟梅)
青梅の時期を過ぎて黄色く熟した梅は「完熟梅」と呼ばれ、6月中旬〜7月上旬頃にかけて収穫されます。
完熟梅は皮が薄くなって黄色やオレンジ色に色づき、実も柔らかく甘い香りを放ちます。
味わいはフルーティーで、生でも食べることができます。
また、実が完全に熟しきって枝から落ちたものを「落ち梅」と呼び、地面に落ちることで梅に傷がつかないようにネットを張って収穫します。
青梅と完熟梅はどう使う?

青梅と完熟梅では香りや食感などが異なるため、使い方も違います。
この章では以下について解説していきましょう。
- 青梅の使い方
- 完熟梅の使い方
青梅の使い方
青梅は使う前に下処理が必要です。
まず、水洗いして汚れを落とし、水に数時間浸けてアクを抜きます。
その後、ザルなどに青梅を取って乾いた布で水分を拭いたら、ヘタを爪楊枝などで取ります。
その際に傷んだ梅があったら取り除きましょう。
爽やかな酸味が特徴の青梅は、梅酒やカリカリ梅、シロップ漬けなどにおすすめです。
ただし、青梅を生のままでは食べることはできません。
青梅にはアミグダリン(青酸配糖体)という天然の毒素が含まれているため、生で食べると下痢や頭痛、めまいなどを起こす危険性があります。
梅干しや梅酒などに加工すると心配ありませんが、生で食べないように注意しましょう。
完熟梅の使い方
完熟梅の使い方を解説します。
完熟梅も青梅と同様に下処理を行いますが、アク抜きは必要ありません。
青梅に比べて柔らかで皮が薄く、フルーティな味わいと程よい甘みを持つ完熟梅は、梅干しや梅ジャム作りに適しています。
青梅でも梅干しや梅ジャムは作れますが、完熟梅はアク抜きの必要がないため初心者におすすめです。
梅干し作りに適した時期と作り方のポイント

梅が店頭に並ぶ時期に行う保存食作りを「梅仕事」と呼びます。
梅干しづくりもその1つ。
ここでは、梅干しの要点を以下の2つに分けて解説します。
- 適した時期
- 作り方のポイント
適した時期
梅干しを作るのに適した時期は、完熟梅の収穫が行われる6月中旬〜下旬頃です。
漬け始めてから出来上がるまでの工程と時期は、以下のようになります。
- 6月中旬〜下旬頃:下処理を行った梅を塩漬けにする
- 重しを乗せて梅酢の上がるのを待つ(1週間程度)
- 梅酢が上がってきたら塩が溶けきるまで冷暗所に置く(約1ヶ月間)
- 7月末〜8月頃:晴天が続く日に天日干しを行う(3日間以上)
天日干しは梅雨明けの晴天が3日以上続く日をねらって行う必要があるため、あらかじめ天気予報を確認して時期を決めておきましょう。
作り方のポイント
完熟梅で作る場合は、親しいお店に完熟梅が欲しい時期を伝えたり、入荷したら知らせてもらえるようにお願いしておくと、良い状態の梅を購入することができます。
青梅で作る場合は、梅が黄色くなるまでおいてからアク抜きをします。
アク抜きは梅の状態を観察しながら時間を調整する必要があるため、初心者は完熟梅を使用することをおすすめします。
また、梅を塩漬けにして梅酢が上がるのを待っている間に白いカビが発生することがあります。
その場合は、まず全てのカビを取り除き、梅の重量に対して5%の焼酎を加えましょう。
もしくは、梅酢と梅を全て取り出して梅酢を沸騰させ、梅は水で洗ってから水分を拭き取って梅酢と共に容器に戻すという方法もあります。
梅酒作りに適した時期と作り方のポイント

5月末頃になると、スーパーや市場の店頭に青梅が並び始めます。
爽やかな緑色の青梅を使った梅酒作りにはどんなポイントがあるのでしょうか。
ここでは以下の2点を解説します。
- 適した時期
- 作り方のポイント
適した時期
梅酒作りに適した時期は、青梅が収穫される5月末〜6月上旬頃です。
スーパーなどで購入したら一気に漬け込んで、熟成させましょう。
ただし、生の青梅がお店に並ぶのはこの時期だけです。
時期を逃すと翌年までチャンスはないため、注意しましょう。
作り方のポイント
青梅を洗う際は、ボウルに水を流し入れながら手洗いします。
このときに汚れが残っていると濁りの原因になるため、透明感のある美しい梅酒を作るにはしっかりと洗うことが大切です。
洗った後は、たっぷりの水に浸してアク抜きをします。
青くて固い梅ほどアクが多いので、2〜4時間程度アク抜きをしましょう。
ただし、アク抜きのし過ぎは梅の変色や梅酒の腐敗を招く原因になります。
アク抜きは梅の様子をよく見ながら行いましょう。
梅に期待される健康効果

古くから、梅は食品としてだけでなく民間薬としても重宝されてきました。
この章では梅の健康効果を以下の観点から紹介します。
- 疲労回復
- 血流改善
- 胃腸機能の促進
- 食欲増進
- 肝機能の向上
疲労回復
梅に豊富に含まれるクエン酸には、疲労回復の効果があります。
疲労物質である乳酸は筋肉中で生成されますが、クエン酸は乳酸の分解を促すことで疲労の回復を助けます。
血流改善
梅には、ムメフラールという物質が含まれています。
ムメフラールとは、梅の果汁を煮詰めると生成される梅肉エキス特有の成分です。
ムメフラールは血流を改善し、動脈硬化を予防する作用を持ちます。
胃腸機能の促進
梅の実には優れた殺菌作用があり、胃腸の働きを活発にする効果があります。
これは、梅に含まれるクエン酸などの有機酸が、胃や腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌の活動を促すためと考えられています。
食欲増進
梅に含まれるクエン酸は唾液の分泌を促して胃を刺激するため、食欲増進効果も期待できます。
夏の暑さで食欲が落ちているときなどにも、梅はおすすめの食材です。
肝機能の向上
梅にはピクリン酸と呼ばれる肝機能向上に効果的な成分も含まれています。
肝臓は代謝や解毒といった、体内で極めて重要な機能を担っているため、肝機能が低下すると疲れやすくなったり食欲が低下したりと、さまざまな症状が現れます。
梅干しからピクリン酸を摂取することで肝機能が高まり、症状の改善が見込まれます。
また、二日酔いにも効果が期待できるでしょう。
まとめ
本記事では「梅の季節」をテーマに、開花時期や梅酒と梅干作りについて詳しく解説しました。
花も実も贅沢に楽しめる梅は、古くから日本人の生活に欠かせない植物です。
記事内でも紹介した通り、梅の実が店頭に並ぶのは一年の内ほんの短い時期だけです。
そのチャンスを逃さずに購入して、梅干しや梅酒、梅ジャムなどの梅仕事を楽しんでみてはいかがでしょうか。
















