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年末が近づくと、雑誌でふるさと納税の特集が組まれたり「まだ間に合う、ふるさと納税」といったネット広告を見かけたりします。
総務省によると、令和6年度には寄附総額が1兆2,728億円と5年連続で過去最高額を更新、控除適用者も1,080万人と過去最高になっています。
そんな中、いつから始めていいのか、いつまでに手続きをすればいいかなど「いつ」に関する疑問を抱え、始められない人も少なくありません。
本記事では、ふるさと納税の申し込みや控除申請はいつからいつまで可能なのか?また、ふるさと納税の流れや注意点についても解説します。
ふるさと納税の申込期間はいつからいつまで?

ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附すると所得税や住民税が控除され、さらに寄附のお礼として返礼品がもらえる制度です。
ふるさと納税の制度は、地方税法等の改正によって2008年(平成20年)5月からスタートしました。
ここでは、ふるさと納税の申込期間と寄附が受領されるタイミングについて解説します。
- 寄附対象は1年区切りのためいつ始めても良い
- 支払いが完了してからの受領となる
寄附対象は1年区切りのためいつ始めても良い
ふるさと納税はいつ始めても大丈夫です。「いつからいつまで」に必ず申し込まないといけない、といった期間限定の制度ではありません。
ふるさと納税の申し込み期間は1月1日から12月31日までとなっています。また、複数の自治体への寄附や、1回だけでなく何回も寄附することも可能です。
ただ、寄附する自治体を増やしすぎると、後述のワンストップ特例申請を受けられなくなることには注意が必要です。
支払いが完了してからの受領となる
ふるさと納税は、支払いが完了してからの受領となります。
申し込み手続きを行った時点ではなく、実際に自治体へ寄附金が届いたタイミングでの受領となることに注意が必要です。
税金の控除を受けるには、12月31日23時59分までに支払いを完了する必要があります。
たとえば、12月31日に申し込みを行って翌年1月4日に支払い完了した場合は、本年度ではなく翌年度の寄附金として扱われることに注意が必要です。
支払いが完了するタイミングは、支払い方法によって以下のように異なります。
| 支払い方法 | 支払いが完了するタイミング |
| クレジットカード | 決済完了日 |
| 銀行振込 | 指定口座に振り込まれた日 |
| 払込取扱票 | 指定口座に支払われた日 |
| 現金書留 | 自治体が受領した日 |
また、自治体によっては金融機関の営業日や配送期間などを考慮して、12月の早い時期に締め切りを設定しているところもあります。
ふるさと納税を検討している人は、年末ギリギリは避け、年内に間に合うように余裕を持って手続きしましょう。
寄附が年内に完了しているか確認する方法

次に、寄附が年内に完了しているか確認する方法を紹介します。
申し込みが年末ギリギリになってしまって年内に完了しているか不安な場合は、以下を参考にしてください。
確認方法は、申し込み時の支払い方法によって異なります。
- クレジットカード
- 銀行振込
- 払込取扱票
- 現金書留
クレジットカード
多くのカード会社では、支払い完了時にほぼリアルタイムでメールやアプリによって通知されます。
また、カード会社のサイト上にある会員専用ページの利用明細で確認することもできますが、反映には数日〜2週間程度かかる場合があるでしょう。
銀行振込
銀行サイト上の会員専用ページや、通帳、ATMの利用明細などで振込を確認することができます。
ただし、振込先銀行の状況などによっては入金されていないケースもあるため、確実に調べるには寄附先の自治体へ問い合わせる必要があるでしょう。
払込取扱票
払込取扱票で支払った場合も銀行振込と同様に、振込先銀行の状況などによって入金されていないケースがあります。
確実に調べるには、寄附先の自治体へ問い合わせましょう。
現金書留
現金書留の受領は、郵便局サイトの「郵便追跡サービス」のページで追跡番号を入力すると、確認できます。
ふるさと納税の流れ

ここでは、ふるさと納税の流れを解説します。
ふるさと納税は以下の手順で行います。
①控除上限額を確認する
ふるさと納税で控除される上限額は年収や家族構成によって異なるため、上限額の目安を各ポータルサイトや総務省のサイトで確認します。
上限を超えると超過分は自己負担になるため、注意しましょう。
②寄附する自治体と返礼品を選ぶ
ふるさと納税ポータルサイトなどで寄附したい自治体を選んで、好みの返礼品を探します。
③ふるさと納税の手続きを行う
寄附する自治体と返礼品が決まったら、サイト上の指示に従って寄附の申込み手続きを行いましょう。
④「ワンストップ特例制度」または「確定申告」で控除を申請する
次に、控除の申請を行います。
ワンストップ特例制度を利用する場合は、寄附先の自治体へ申請書と本人証明書類を提出します。
ワンストップ特例制度とは申請書を寄附先の全自治体に送付することで、確定申告をせずに税金の控除を受けられる制度で、利用するには以下の条件を満たす必要があります。
- 自身で確定申告を行わない給与所得者であること
- その年の寄附先が5自治体以内であること
また、確定申告で申請する場合は、税務署へ寄附金受領証明書を確定申告書類と共に提出します。
⑤申請方法によって同年度の所得税や翌年度の住民税が控除される
控除申請後、控除・還付される時期は申請方法によって異なります。
- ワンストップ特例制度を利用した場合
- 確定申告で申請した場合
ワンストップ特例制度を利用した場合
ワンストップ特例制度を利用した場合、所得税からは控除されず、控除の全額が住民税から控除されます。
住民税は、ふるさと納税を行った翌年6月から控除され、控除額は6月頃に自治体から届く、住民税決定通知書で確認が可能です。
住民税決定通知書は、個人事業主やフリーランスの方は直接本人の元へ送付されますが、会社員や公務員の場合は、住民税を源泉徴収する会社に届きます。
確定申告で申請した場合
確定申告で申請した場合、所得税の還付は4月以降に指定した金融機関の口座に振り込まれます。
確定申告の手続きが早いほど早く還付され、期限ギリギリに手続きをすると5月のGW前後にずれ込みます。
確定申告A第1表に、振り込みを希望する金融機関の口座番号を書く欄があるので、記入してください。
振り込みが行われる前に、振込予定日と還付金額を記載したハガキが届きます。
ふるさと納税を行った後の控除申請はいつまでに行う?

ふるさと納税の控除申請が可能な期間は、申請方法によって以下のように異なります。
- ワンストップ特例制度での申請は翌年1月10日必着
- 確定申告での申請は例年2月16日〜3月15日
ワンストップ特例制度での申請は翌年1月10日必着
ワンストップ特例制度を利用して控除を受けるには、翌年1月10日必着で申請書と本人証明書類を提出する必要があります。
複数の自治体に寄附を行った場合は、ひとつひとつの自治体へ提出しましょう。
ワンストップ特例制度を利用する場合は申請期間が短いため、早めに手続きを行うことが大切です。
確定申告での申請は例年2月16日〜3月15日
確定申告での申請期間は、例年2月16日〜3月15日です。
確定申告とは、自営業者やフリーランスの方が1年間の収入と所得税の金額を計算して所得税を国に納める手続きで、決められた期間内に最寄りの税務署に提出します。
会社員や公務員などの給与所得者でも、6自治体以上に寄附をしたなど、ワンストップ特例制度の適用条件を満たさなかった場合は、確定申告をする必要があります。
控除申請が期日までに間に合わないときの対処法

控除申請が期日に間に合わなかった場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
ワンストップ特例制度の申請が期限に間に合わなかった場合は、確定申告に切り替えて対応することが可能です。
また、確定申告での申請が遅れた場合は、還付申告を行います。
還付申告とは、所得税の還付を受けられる制度のことで、5年以内であれば申請可能です。還付申告の手続きの詳細は、管轄の税務署に問い合わせてください。
ふるさと納税におすすめのタイミングは?

ふるさと納税の申込みには期限がないため、1年のうちいつでも利用可能ですが、時期によって返礼品の種類や選びやすさなどが異なります。
ふるさと納税におすすめのタイミングは以下の3つの時期です。
- 新しい返礼品が用意される4〜6月
- 欲しい返礼品が手に入りやすい時期
- 前年の所得が確定する11〜12月
新しい返礼品が用意される4〜6月
年度初めにあたる4〜6月は、人気の返礼品についても比較的焦らずに選ぶ余裕のある時期なので、おすすめです。
また、新しい返礼品の取扱いは増える傾向にあります。
ふるさと納税の利用者は年末が近づくに連れて増えるため、早めに済ませるようにしましょう。
欲しい返礼品が手に入りやすい時期
季節の商品が欲しい場合は、旬の時期に申し込むのがよいでしょう。
野菜や果物、魚などの生鮮食品は、旬の時期になると入荷が増えて選択肢も広がります。
ただし、人気の品は品切れになるのも早いので、乗り遅れないように早めに申し込むことをおすすめします。
前年の所得が確定する11〜12月
ふるさと納税は所得によって控除される上限額が決まっているため、前年の所得が確定する11〜12月なら効率よく申し込むことができます。
さらに、11〜12月は各自治体のキャンペーンや返礼品の種類が多くなる時期でもあります。
しかし、年末はふるさと納税の利用者が最も増えるシーズンです。
サーバーが混み合うことも予測されるため、できるだけ11月中には申し込みを済ませた方がよいでしょう。
ふるさと納税に関する注意点

ふるさと納税の注意点について、以下の3つのポイントを解説します。
- 上限額はいつからいつまでの収入で計算すればいい?
- 在庫数などの理由で早期終了する場合がある
- 12月は非常に混み合うので避けた方が無難
上限額はいつからいつまでの収入で計算すればいい?
ふるさと納税の控除上限額は、寄附を行う年の収入、つまり2025年の12月にふるさと納税を行うのであれば、2025年1月1日から12月31日までの収入で計算するのが原則です。
昨年と収入がさほど変わらないのであれば、今年の正確な年収が分かる前におよその上限額を計算することができますが、もし今年の年収が下がった場合は、上限額も少なくなる可能性があります。
給与所得者は、毎年12月になると1年間の年収が確定し「ふるさと納税」の上限額が正確に分かります。
12月にふるさと納税の申し込みが殺到するのは、その年の上限額いっぱいまで寄附をしたいという人が多いためです。
在庫数などの理由で早期終了する場合がある
自治体によっては、在庫数などの関係で特定の返礼品の扱いを早期終了する場合があるので、注意が必要です。
とくに季節の品などは一時に集中して申し込みが入るため、希望の返礼品が決まっている場合は、早めに手続きを済ませましょう。
12月は非常に混み合うので避けた方が無難
12月にふるさと納税を行うのは、避けた方が無難です。
主な理由は以下の4点です。
- 欲しい返礼品が品切れになっている場合がある
- 短期間に何件も申し込むと返礼品が届く時期が集中し、消費しきれず無駄になりやすい
- サーバーが混み合っていて手続きが遅れやすい
- ワンストップ特例制度の申請を急がなくてはならない
前述したように12月は非常に混み合うので、欲しい品が品切れになっている場合があります。
また、上限まで何件も申し込むと、まとめて返礼品が届いて消費しきれないこともあるでしょう。
サーバーが混みあって年内に受領が間に合わないケースや、ワンストップ特例制度を利用する場合は申請期間が短いため急ぐ必要があるのも、デメリットだといえます。
以上の理由から、12月に入る前にふるさと納税の手続きは早めに済ませておきましょう。
ただし、控除上限額が確定していないので、上限額を超えないように注意する必要があります。
ふるさと納税をする際の疑問

最後に、ふるさと納税を利用する際の疑問にお答えします。
新卒の人はいつからふるさと納税すればいい?
新卒者の場合、上限額ギリギリまで寄附したいなら11月後半から12月に入ってから行うのが良いでしょう。
4月入社の新卒者で年末まで働き続けると仮定した場合、4月から11月までの8カ月分の給与にボーナスを加算した金額を年収と考えてください。
上限額の計算には、ふるさと納税サイトのシミュレーションを利用すると便利です。
納税者本人でなくても寄附は可能?
ふるさと納税は、誰でも寄附が可能です。
ただし、税の控除を受けるには納税者本人の名義で申し込む必要があります。
ワンストップ特例制度を申請した後に確定申告を行った場合はどうなる?
ワンストップ特例制度を申請した後に、医療費控除などのために確定申告が必要になるケースがあります。
確定申告を行うとワンストップ特例制度を受けられなくなるため、寄附先の自治体から「ワンストップ特例非該当通知」が届きますが、再度確定申告を行えば控除を受けることが可能です。
また、もし確定申告の期限を過ぎていても、5年以内なら管轄の税務署に還付申告を申請することで控除を受けられます。
返礼品はどうやって選べばいい?
返礼品は、応援したい自治体や欲しい品の中から、控除上限額の範囲内で選びましょう。
返礼品には地域の特産品や民芸品・工芸品、旅行券、イベントのチケットなどが数多く取り揃えられています。
人気の品は早々に品切れになるケースもあるため、早めにアクセスしてじっくりと選んでください。
まとめ
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附することで所得税や住民税が控除されると共に、希望の返礼品を得られるのが大きな魅力です。
申し込みはいつでも可能ですが、1月1日〜12月31日が一区切りとなるため、12月31日までに支払いを完了する必要があります。
また、税控除の恩恵を受けるため、ワンストップ特例制度や確定申告の手続きも期限内に行うように注意しましょう。
















