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年末が近づくと、雑誌でふるさと納税の特集が組まれたり、「まだ間に合う、ふるさと納税」といったネット広告を見かけたりします。
総務省によると、令和3年度には寄附総額が8,300億円を超え、国民の3割弱がふるさと納税を利用しているといわれています。
そんな中、いつから始めていいのか、いつまでに手続きをすればいいかなど、「いつ」に関する疑問を抱え、始められない人も少なくありません。ふるさと納税の「いつ」に関する疑問を解決します。
ふるさと納税の申込期間はいつからいつまで?
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附すると所得税や住民税から控除され、さらに寄附のお礼として返礼品がもらえる制度です。
ふるさと納税の制度は、地方税法等の改正によって2008年(平成20年)5月からスタートしました。
ふるさと納税は、いつでも申し込むことができます。「いつからいつまで」に必ず申し込まないといけない、といった期間限定の制度ではありません。
寄附対象は1年区切りのためいつ始めても良い
ふるさと納税はいつ始めても大丈夫です。
寄附の計算期間は1年間で、1月1日から12月31日までが一区切りとなっています。
複数の自治体への寄附することも可能で、1回だけでなく、何回も寄附できます。
ふるさと納税を行うと、2,000円の自己負担金を除いた金額が所得税・住民税の合計額から控除されます。
1年間に行ったふるさと納税の金額は翌年に控除申請します。
12月に入ると、駆け込みでふるさと納税を行う人が急増しますが、締め切りに近い年末ギリギリでの申し込みは避けたほうが良いでしょう。
人気のある返礼品が品切れになったり、配達に時間がかかったりすることがあるからです。
余裕をもって、早めに申し込みましょう。
支払いが完了してから受領となるため注意!
税金の控除を受けるには、12月31日23時59分までに支払いを完了する必要があります。
申し込みをしただけでは、年内の寄付金とされず、支払いまで完了して初めて受領されます。
例えば12月31日に申し込みをして、翌年1月4日に払い込みを完了した場合は、本年度分の寄附金として処理されません。翌年度の寄附金として扱われます。
また、自治体によっては、金融機関の営業日や配送期間などを考慮して、12月の早い時期に締め切りを設定しているところもあります。
本年度中の税金対策としてふるさと納税を検討している人は、年末ギリギリは避け、締め切り期間に間に合うように、余裕を持って行ってください。
寄附が年内に完了しているか確認する方法
年内ギリギリになってしまった場合、寄附が年内に完了しているかどうか不安になるかと思います。
寄附の日付は、支払いが完了した日(受領日)です。支払日が12月31日までなら年内に完了しています。
具体的には、クレジットカードだと、「決済が完了した日」、銀行振込や払込取扱票は、指定口座に支払した日、現金書留は、自治体側で受領した日となります。
寄附の申し込み手続きが完了すると、自治体から、「返礼品」と「寄附金受領証明書」が届きます。
寄附金受領証明書に記載されている日付が、寄附が完了した日です。
返礼品の配送タイミングは無関係で、返礼品が届くのが翌年になっても問題はありません。
受領書が届く期間は、自治体によって異なり、2週間以上かかる自治体もあります。
12月中旬から下旬にかけて、申し込みが殺到するため、さらに対応が遅れることもあるので、ご注意ください。
ふるさと納税を行った後の控除申請はいつからできる?
ふるさと納税の控除申請を行うことができる期間は、下記のように申請方法によって異なります。
- ワンストップ特例制度:翌年1月10日必着
- 確定申告:翌年2月16日~3月15日
年末ギリギリに寄附を行い、ワンストップ特例制度を申し込む場合、申請期間があまりありません。
確定申告も期間が決まっています。所得税の還付を早く受けたい方は、早めに申請しましょう。
ワンストップ特例制度での申請は翌年1月10日必着
控除申請の方法の1つとして、ワンストップ特例制度があります。
申請期限は1月10日必着となっています。
ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税をした後に、確定申告をしなくても、税金控除を受けられる制度のことです。
ワンストップ特例制度を利用するには3つの条件を満たす必要があります。
- 1年間の寄附先が5自治体まで
- 申し込み1件ごとに、自治体へ「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出する
- 確定申告をする必要のない、給与所得者であること(会社員や公務員など)
「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」は、総務省HPから入手できます。
寄附をした自治体に連絡して申請書をもらうことも、「ふるなび」などのふるさと納税サイトからダウンロードすることも可能です。
年末は自治体の窓口が混み合うため、ふるさと納税サイトや総務省HPからダウンロードするのをおすすめします。
確定申告での申請は翌年2月16日~3月15日
控除申請の2つ目の方法は、確定申告です。申請は翌年2月16日~3月15日です。
確定申告とは、自営業者やフリーランスの方が、1年間の収入と所得税の金額を計算して、所得税を国に納める手続きで、決められた期間内に、最寄りの税務署に提出します。
会社員や公務員などの給与所得者でも、6自治体に寄附をしたなど、ワンストップ特例制度の適用条件を満たさなかった場合は、確定申告をする必要があります。
控除申請が期日までに間に合わないとき
控除申請が期日までに間に合わなかったら、ふるさと納税したことが無駄になってしまう、というわけではありません。税金の控除を受けることも可能です。
ワンストップ特例制度の申請を忘れた場合、または、期日までに間に合わなかった場合は、確定申告に切り替えて対応します。
確定申告の申請を忘れた場合、または、期日までに間に合わなかった場合は、還付申告を行います。
還付申告とは、所得税の還付を受けられる制度で、5年以内であれば申請できます。
還付申告の手続きの詳細は、管轄の税務署に問い合わせてください。
所得税・住民税が控除されるのはいつ?
控除申請後、控除・還付される時期は申請方法によって異なります。下記の2つに分けて紹介します。
- ワンストップ特例制度を利用した場合
- 確定申告をした場合
ワンストップ特例制度を利用した場合
ワンストップ特例制度を利用した場合、控除金額の全額が住民税から控除されます。
住民税は、ふるさと納税を行った翌年6月以降から控除されることになります。
6月ごろに自治体から届く、住民税決定通知書でどれくらい控除されたかを確認することが可能です。
住民税決定通知書は、個人事業主やフリーランスの方は直接本人の元へ送付されますが、会社員や公務員は、本人ではなく、住民税を源泉徴収する会社に届きます。
確定申告をした場合
確定申告を利用した場合、所得税の還付は4月以降に指定した金融機関の口座に振り込まれます。
確定申告の手続きが早いほど早く還付され、期限ギリギリに手続きをすると、5月のGW前後にずれ込みます。
確定申告A第1表に、振り込みを希望する金融機関の口座番号を書く欄があるので、記入してください。
振り込みが行われる前に、振込予定日と還付金額を記載したハガキが届きます。
ふるさと納税をする際の疑問
ふるさと納税をする際によくある疑問について解説します。
- 限度額はいつからいつまでの収入で計算すればいい?
- 新卒の人はいつからふるさと納税すればいい?
限度額はいつからいつまでの収入で計算すればいい?
ふるさと納税をする際、恩恵を最大限に受けるため、控除限度額いっぱいまで寄附したい、と思う人が多いと思います。
控除限度額はふるさと納税を行う年の収入、つまり2022年の12月にふるさと納税を行うのであれば、2022年1月1日から12月31日までの収入で計算するのが原則です。
昨年と比べて年収がさほど変わらないのであれば、昨年の収入を参考に限度額を計算することもできますが、昨年より今年の年収が大幅に下がった場合は、寄附できる控除額も下がることがあります。
給与所得者は、毎年12月になると、その年1年間の年収が確定し、「ふるさと納税」の限度額が正確に分かります。
12月にふるさと納税の申し込みが殺到するのは、その年の限度額いっぱいまで寄附をしたい、という人が多いためです。
新卒の人はいつからふるさと納税すればいい?
新卒者は、前年度の収入がゼロというケースが多いため、ふるさと納税の恩恵が受けられないと思う人もいますが、新卒者でも、税金の控除を受けることができます。
新卒者の場合、限度額ギリギリまで寄附したいなら、11月後半から12月に入ってから行うのがおすすめです。
4月入社の新卒者で、年末まで働き続けると仮定した場合、4月から11月までの8ヶ月分の給与にボーナスを合計した金額を年収と考えてください。
限度額を計算するには、ふるさと納税サイトのシミュレーションを利用するのが便利です。
まとめ
ふるさと納税は、寄附金が所得税や住民税から控除されるだけでなく、返礼品ももらえるのが魅力です。
いつでも何度でも申し込みできますが、1年でひと区切りとなるため、12月31日までに支払いを完了する必要があります。
また、税額控除の恩恵を受けられるよう、ワンストップ特例制度や確定申告の手続きを期限内に行うことを忘れないように注意しましょう。