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自己負担額2,000円で様々な返礼品が受け取れる「ふるさと納税」は、年々利用者数が増加しています。
応援したい自治体を選んで寄附をすることで、所得税・住民税の控除を受けられるという制度で、新卒の人も活用することができます。
今回は、ふるさと納税の仕組みやメリットについて解説するとともに、新卒1年目でふるさと納税を行う際のポイントについてもお伝えします。
ふるさと納税は新卒でもできる!
ふるさと納税とは、自分が選んだ自治体に対して寄附を行い、その寄附合計額から自己負担2,000円を差し引いた額が、所得税および住民税から控除される制度です。
新卒1年目は住民税の支払いがないので、ふるさと納税ができないと思われがちですが、そのようなことはありません。
住民税は前年の所得を元に計算され、新卒の場合は2年目の6月分から徴収が始まります。
ふるさと納税による控除は、2年目に支払う住民税額に反映されますので、新卒1年目の人でも行う価値は十分にあります。
ふるさと納税は、ふるさと納税を行う本人の収入と家族構成によって寄附控除の上限額が設けられています。
例えば、年収300万円の人なら、年間28,000円が目安です。
ここから自己負担額の2,000円を除いた26,000円が所得税・住民税から控除されます。
新卒がふるさと納税をするメリット
新卒1年目の人にもふるさと納税をすることで以下のようなメリットがあります。
- 寄附金額の上限額が低くても、控除や還付が受けられる
- 新卒2年目の手取り額が増える
寄附金額の上限は年収によって決まりますが、新卒でまだ年収が多くなくても、ふるさと納税を行うことで所得税や住民税からの控除や還付などの恩恵が受けられます。
新卒1年目でふるさと納税を行うと、2年目に徴収される住民税の額から控除されるため、総支給から天引きされる額が少なくなり、結果として2年目(6月以降)の月々の手取り額が増えます。
ふるさと納税は、返礼品を受け取れることに加え、自分が好きな自治体を選んで応援できることも魅力の1つです。
新卒の人もぜひ、応援したい自治体へ寄附してみてください。
ふるさと納税の控除内訳
ここで、ふるさと納税の控除がどのように行われるのかを解説します。
ふるさと納税は「寄附金控除」として、所得控除の対象になります。
そのため、寄附金額の合計から自己負担額の2,000円を差し引いた額に所得税の税率を乗じた金額が、所得税から控除されます。
住民税は「基本分」と「特例分」に分れており、それぞれの計算式は以下のとおりです。
【基本分】(寄附金合計額-2,000円)✕10%
【特例分】(寄附金合計額-2,000円)✕(90%-所得税の税率)
この基本分と特例分の合計額が翌年の住民税額から控除されます。
所得税からの控除はふるさと納税を行った年に行われますが、住民税からの控除は翌年分で行われる点がポイントです。
では、年収300万円で独身の人が10,000円分のふるさと納税を行った場合の控除額をシミュレーションしてみましょう。
年収300万円で独身の場合のふるさと納税上限額は、自己負担額込みで30,000円です。
そして、年収300万円の人の所得税率は、給与所得控除や基礎控除、社会保険料控除などを差し引いて計算すると5%です。
まず、所得税からの控除額を計算します。
(10,000円-2,000円)✕5%=400円
次に住民税からの控除です。
基本分=(10,000円-2,000円)✕10%=800円
特例分=(10,000円-2,000円)✕85%=6,800円
このように、所得税と住民税から、自己負担額の2,000円を引いた8,000円が控除されます。
ふるさと納税を行う手順
ふるさと納税を行う手順は次のとおりです。
- 控除上限額を調べる
- ふるさと納税する自治体を選び申し込む
- 税控除の手続き
以下で、これらの詳細について解説します。
1:控除上限額を調べる
ふるさと納税の上限額は年収に応じて決まっています。上限額を超えて寄附した分は自己負担になってしまうため、注意が必要です。
ふるさと納税の限度額は、手取りや年収から概算できます。
一般的にふるさと納税の控除上限額は、住民税の所得割額の2割が目安です。
なぜなら、住民税の控除の「特例分」は、住民税の所得割額の2割までだからです。
※住民税は、「均等割額」(所得にかかわらず一定額)と、「所得割額」(所得×10%)の合計額が課税されます。
【年収200万円の場合の限度額目安】
所得割額が20万円と仮定すると、限度額目安は
20万円✕20%=1万2,000円
正確に計算したい場合は、以下の計算式で求めます。
- 住民税の課税所得(年収から各種控除を引いた額)を計算する
年収200万円-給与所得控除68万円-社会保険料控除約30万円-基礎控除43万円=59万円 - 所得割額を求める
59万円✕10%=5万9,000円 - 所得割額の20%の金額を求める
59万円✕20%=11,800円
上で算出した目安とほぼ同じ額になることが分かります。
2:ふるさと納税をする自治体を選び申し込む
ふるさと納税の自治体を選ぶ際は、自分が欲しい返礼品が用意されているかがポイントです。
寄附することで返礼品がもらえる点がふるさと納税の大きなメリットですので、魅力を感じる返礼品から自治体を選ぶとよいでしょう。
「ふるなび」のような、ふるさと納税サイトで比較するのもおすすめです。
申し込みはふるさと納税サイトから行いますので、自分が使いやすいサイトを選びましょう。
また自治体のホームページなどで、ふるさと納税に対する考え方や、寄附金がどのように使われるのかを確認することができます。
本当に自分が応援したいと思う自治体を選ぶ人も多くいます。
3:税控除の手続き
ふるさと納税による寄附金控除を受けるには、以下の手続きで行います。
- ふるさと納税先の自治体から「寄附金受領証明書」を受け取る。
- 確定申告もしくはワンストップ特例制度を利用する。
確定申告とは、その年(1月1日~12月31日)までの所得に対して、所得税額を計算し、これまで納税した所得税額との過不足を精算する制度です。
寄附金控除は年末調整で手続きができないため、後述のワンストップ特例を利用しない・できない場合は、確定申告で控除申請する必要があります。
以下の要件を満たす場合、確定申告を行うことなく控除を受けられる、ワンストップ特例制度を利用することができます。
- ほかに確定申告を行う必要のない給与所得者である
- 寄附した自治体の数が5団体以下
- 「ワンストップ特例申請書」を寄附先の自治体に提出する
ワンストップ特例の申請期限は、寄附をした翌年の1月10日必着です。
ギリギリになって慌てないよう、早めの手続きを心掛けましょう。
新卒でふるさと納税を行うときのポイント
新卒1年目でふるさと納税を行う際には、以下に紹介するポイントをしっかりと理解しておきましょう。
新卒で納税を行うときのポイント
- 新卒の年収は入社後の給与+夏のボーナスで計算
- 入社前のバイト代も含める
- 12月31日までに寄附する
新卒の年収は入社後の給与+夏のボーナスで計算
所得税および住民税を計算する際の基になる「年収」とは、その年の1月1日~12月31日までの収入が対象です。
つまり、新卒1年目の年収は、4月入社の場合4月1日~12月31日までの収入です。
12月分の給与が翌年1月に振り込まれる場合は、4月分~11月分までの給与になります。
年収の計算を間違えると、寄附の上限額もずれてしまい、その結果自己負担金が増えてしまう可能性があるため、ふるさと納税を行う際には、気持ち少なめの金額に留めておくと安心です。
入社前のバイト代も含める
入社前にアルバイトなどをして収入があった場合、その分も年収に含めて計上しましょう。
アルバイト収入の額によっては、ふるさと納税の上限額が増える可能性があります。
12月31日までに寄附する
ふるさと納税は12月31日までに寄附したものが対象です。
12月31日までに寄附したものとは、寄附金の入金が確認されたものです。
年末ギリギリに支払い手続きを行い、入金が翌年になった場合は、その年の寄附金額に含めることはできません。
これは、新卒の人に限った話ではありません。ふるさと納税を行う人は気を付けておきましょう。
確定申告についても同じことがいえますが、期日は必ず守ることが大切です。
まとめ
新卒1年目は住民税の支払いがないため、ふるさと納税を行っても意味がないと思っていた人は多いのではないでしょうか。
本文で説明したとおり、住民税は前年の所得に応じて算定した金額を翌年の6月から翌々年の5月の1年間にわたって支払う仕組みです。
ふるさと納税による控除は、2年目の住民税額に反映されるため、新卒1年目でもふるさと納税を行うメリットは十分にあります。
ただし、上限額には気をつけましょう。
上限額は年収によって決まりますが、上限を超えた分は自己負担になってしまいます。
控除の申告は確定申告とワンストップ特例の2つがありますので、要件に応じてどちらを利用するかを決め、それぞれの期日に間に合うように手続きを行いましょう。