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メディアで取り上げられることも増え認知度が上がっている「ふるさと納税」。
好きな自治体に寄附をして返礼品がもらえる制度として注目されていますが、ふるさと納税は誰が考えたのでしょうか。
この記事では、ふるさと納税は誰が考えたのか、創設の経緯とこれまでの歩みを詳しく解説します。
この記事でわかること
- ふるさと納税の制度とは
- ふるさと納税の発案者・創設者
- ふるさと納税が普及した理由
ふるさとの納税の創設の経緯や制度について知りたい人はぜひ最後までご覧ください。
ふるさと納税の制度とは?
ふるさと納税制度とは、自分が選んだ自治体に寄附した場合に、上限の範囲内で寄附した分のお金が税金から引かれる制度です。
ただし、寄附する人は2,000円のみ自己負担する必要があります。
ほとんどの自治体が寄附のお礼に返礼品を送っており、日本各地の特産品がもらえることで人気を集めています。
ふるさと納税が創設されたことで、自治体に納める税金の一部を故郷や応援したい自治体に寄附できるようになりました。
ふるさと納税は、地方自治体の税収の問題解決と、故郷を応援したい納税者のニーズを満たす制度として創設されました。
ふるさと納税の発案者は誰?
ふるさと納税の発案者は、2006年の福井県知事であった西川一誠氏とされています。
ふるさと納税創設に向けた議論は、2006年ごろから活発におこなわれました。
2006年3月の日経新聞に掲載された「地方見直す『ふるさと税制』案」をきっかけに、政治家の間で議論が活発化しました。
地方の自治体が子どもに医療や教育などさまざまな行政サービスを提供しても、大人になると多くの人が都会で就職し、そこで納税をおこないます。
その結果、子ども時代に行政サービスを提供しても地方自治体にはほとんど税収が入りません。
また、都会で活躍する社会人がお世話になったふるさとに納税したくても、住民票がある自治体に納税しなければなりません。
上記の問題を解決するため、政治家の間でふるさと納税制度の創設が議論されるようになりました。
2006年10月には、当時の福井県知事であった西川一誠氏が日経新聞で「故郷寄付金控除」の導入を提言し注目を集めています。(参照資料:総務省|ふるさと納税制度について「故郷寄付金控除」の提案)
このことから、西川一誠氏がふるさと納税の発案者とされています。
ふるさと納税の創設者は菅 義偉前首相
ふるさと納税の発案者は元福井県知事の西川一誠氏とされていますが、制度を創設したのは当時総務大臣だった菅 義偉前首相です。
2007年6月1日、菅前首相の主導のもと総務省がふるさと納税制度の創設に向けて専門家を招集し「ふるさと納税研究会」を立ち上げました。
このふるさと納税研究会には、前述した西川一誠氏も委員に選任されています。
ふるさと納税研究会は5カ月の間に合計9回開催され、創設に向けて議論を重ねました。
そして2008年4月30日、ふるさと納税を盛り込んだ「地方税法等の一部を改正する法律案」が衆議院で可決。
翌月の5月からふるさと納税制度が始まりました。
菅前首相がふるさと納税制度の創設を表明してから、わずか1年足らずで法案の成立を実現しました。(参照資料:鳥取大学研究成果リポジトリ|ふるさと納税の功罪- ふるさと納税の問題点について)
反対意見も多い中、ふるさと納税研究会を立ち上げ、法案成立に貢献した菅 義偉前首相はふるさと納税の創設者とされています。
ふるさと納税の歩み
2008年5月から開始したふるさと納税制度。
当初はお世話になった故郷への納税を目的に利用する人が大半でした。
しかし、2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに被災地支援としてのふるさと納税制度の利用が広まりました。
現在では、被災した自治体にとってふるさと納税の寄附は復興の貴重な財源です。
2015年には、控除枠の拡充やワンストップ制度の導入により手続きを簡素化したことで寄附額が1,652億円まで伸びました。
一方で、自治体同士の返礼品の競争が激化し、返礼割合が高い品を送る自治体が増え、問題視されるようになりました。
この問題を受け、2019年に総務省は返礼品を地場産品とし、返礼割合を3割以下に制限する「ふるさと納税に係る指定制度」を創設しました。
結果として、ふるさと納税の特例控除の対象となるには、基準を満たし総務大臣の指定を受けることが必須となりました。
ふるさと納税の寄附額はその後も順調に伸び、2022年度の寄附額は初年度の100倍以上の9,654億円、利用者が891万人とそれぞれ過去最高を記録しました。(参照:総務省|ふるさと納税に関する現況調査結果)
西暦 | できごと |
---|---|
2008年 | ふるさと納税制度が開始 |
2011年 | 東日本大震災により被災地支援としての利用が広がる |
2015年 | 控除枠の拡充・ワンストップ特例制度の導入 |
2019年 | 「ふるさと納税に係る指定制度」が創設 |
ふるさと納税普及の鍵は何か?
2022年度には寄附額が9,000億円を超え、人気の制度に成長したふるさと納税。
ふるさと納税の普及の鍵となったのは、ワンストップ特例制度と自治体からの返礼品です。
この章では、ワンストップ特例制度と返礼品について詳しく解説します。
ワンストップ特例制度
ワンストップ特例制度とは、条件を満たしていれば寄附をした自治体にワンストップ特例申請書を提出するだけで寄附金控除が受けられる仕組みです。
2015年にワンストップ特例制度が導入されるまでは、寄附金控除を受けるためには確定申告が必要でした。
しかし、確定申告は慣れていない人にとっては手続きが難しく、ふるさと納税を利用するハードルを高くしていました。
ワンストップ特例制度により寄附金控除の手続きが簡素化されたことで、ふるさと納税の利用者が増加しました。
さらに、近年はワンストップ特例制度をオンライン申請できるふるさと納税ポータルサイトも増えつつあり、より手軽に利用できるようになってきています。
ワンストップ特例制度を利用できる条件は以下の2つです。
- 確定申告や住民税申告が不要な給与所得者
- 1年間のふるさと納税の寄附先が5自治体以内
魅力的な返礼品
ふるさと納税では、ほとんどの場合で寄附をした自治体からお礼として返礼品が送られます。
ふるさと納税制度が開始した当初は返礼品を送る自治体はごく一部で、寄附金の有効な使い道を提示することで寄附を募っていました。
次第に返礼品が注目を集めるようになり、各自治体はより魅力的な返礼品を用意しようと競争が激しくなりました。
2019年に総務省が返礼品の返礼割合を3割以下と定めた後も、ふるさと納税の人気は衰えず、寄附額は年々増加しています。
現在では、ふるさと納税ポータルサイトを通じて、全国のさまざまな地域の地場産品の中から好きな返礼品を選べます。
税金の一部を応援したい自治体に寄附し、魅力的な返礼品がもらえる点がふるさと納税の人気に火がついた理由です。
まとめ
ふるさと納税は、当時の福井県知事・西川誠一氏が発案し、菅 義偉前首相によって創設されました。
その後、ワンストップ特例制度の導入や「ふるさと納税に係る指定制度」の創設など、さまざまな課題解決のための見直しが幾度も行われてきました。
そして現在では、国民に定着した人気の制度になりました。
ふるさと納税は、地方自治体にとっても、納税者にとっても多くのメリットがある有意義な制度として今後も多くの人に利用されるでしょう。