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ビタミンCや食物繊維などの栄養が豊富なみかん。とくに冬にはこたつに入ってみかんを食べ出すと手が止まらない…なんてこともありますよね。
そんなみかんは健康にも良いイメージがある通り、実は一部では「機能性表示商品」としても知られています。
今回の記事では、みかんの成分や栄養、その健康効果をご紹介。
「みかんの皮の白い部分は食べた方が良いの?」といった疑問や、長持ちさせる保存方法、大量消費のアレンジについても解説していきます。
みかんの主な産地と種類
令和元年のみかんの収穫量は、全国で74万6700トン。中でも1番収穫量が多いのは和歌山県で、その量は21万トンにも及びます。2番目は愛媛県で17万トン、3番目は静岡県で12万トンです。(農林水産省 作況調査)
1番収穫量の多い和歌山県で有名な品種といえば、「有田みかん」。静岡県産で有名な「三ヶ日みかん」と同じく、温州みかんのうちの一つです。
愛媛県では一般的なみかんの他にも、「紅まどんな」や「甘平」といった愛媛県だけのオリジナル品種のみかんも栽培されています。
とくに「紅まどんな」は皮が薄くゼリーのようなぷるぷるとした食感が特徴的で、その人気に生産量が追いつかず一時は幻の品種になりつつあったといいます。
冬だけじゃない!みかんが美味しい旬の時期
みかんといえば冬にこたつで食べるというイメージの通り、一般的にみかんの旬は12月ごろ。品種によって差はありますが、冬を代表する果物の一つといえますね。
日本で主に食べられているみかんのほとんどは、「温州みかん」です。温州みかんにも種類があり、「極早生(ごくわせ)」「早生(わせ)」「中手(なかて)」「晩手(おくて)」とそれぞれ順に9月〜3月までの旬となっています。
といっても、みかんの旬は冬だけではありません。ハウスみかんだと、その旬は5月〜9月になります。冬が旬のみかんよりも甘く、酸味も少ないのが特徴です。
種類によっても旬が違うみかんですが、その季節ごとの味わいが楽しめるというのも魅力の一つですね。
みかんの成分
みかんの健康効果を知る前に、まずはみかんの基本的な成分についてご紹介していきます。
みかんの栄養成分のほか、つい食べる手が進んでしまうからこそ気になるカロリーや糖質について見ていきましょう。
以下、文部科学省の日本食品標準成分表における「温州みかん」の場合を参考にしています。(文部科学省 日本食品表示成分表 第2章 _7.果実類)
基本栄養成分
〈栄養成分〉
- たんぱく質・・・0.9g
- 脂質・・・0.1g
- ビタミンC・・・35mg
- カリウム・・・190mg
- カルシウム・・・17mg
- 葉酸・・・22μg
- ビタミンA(βクリプトキサンチン)・・・270μg
- 鉄・・・0.2mg
- 食物繊維(総量)・・・1.1g
(日本食品標準成分参照)
みかんの種類によっては、多少の成分量の違いがあります。
カロリー・糖質
- カロリー・・・46kcal
- 炭水化物・・・11.8g
(日本食品標準成分参照)
甘い食べ物はカロリーが高い印象があり、みかんもそのうちの一つなのでは…と思う方もいるのではないでしょうか。
しかし実のところ、みかん1つのカロリーはわずか44kcal。
みかんのような果物は水分量が多いため、その重さや見た目に反してカロリーが低くなるというわけです。
水分量が多い分、同じ果物であるりんごやぶどうと比べてもカロリー・糖質はどちらも低め。同時にビタミンなどの栄養も豊富に取れるため、健康にも美容にも嬉しいですよね。
みかんの注目すべき栄養価は…
ビタミンC、プロビタミンA、βクリプトキサンチン、食物繊維…とみかんには様々な栄養素が含まれています。
この中で健康や美容において印象的な栄養素といえば、やはりビタミンCではないでしょうか。
ビタミンCには、風邪などの感染症に対する免疫力を強くする作用や、ストレス低減の作用、肌の健康を整える作用などが期待できます。
成人(15歳以上)の1日のビタミンC推奨摂取量は、100mg。約3つ〜4つ食べると1日分のビタミンが摂れるという計算になります。
食事などからもビタミンCを摂取することを考えると、1日に1つみかんを食べるだけでもビタミンCの摂取をサポートしてくれるでしょう。
整腸や血糖値上昇の抑制に効果的な食物繊維、骨の代謝を助けるβクリプトキサンチンについても次に紹介していきます。
「機能性表示食品」として認められている効果
実はみかんの中でも一部の品種は、「機能性表示食品」として認められています。
これには産地ごとに機能性表示食品の登録を受けており、和歌山県の「有田みかん」や静岡県の「三ヶ日みかん」、「西浦みかん」などのみかんが登録されています。
機能性表示食品として許可されている効果は、みかんに豊富に含まれているβクリプトキサンチンが体内でビタミンAの元となり、「骨代謝の働きを助けることで骨の健康維持に役立つ」というもの。
血中のβクリプトキサンチンの量が高い人ほど動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病になりにくいともいわれており、これらの予防や進行抑制が期待できます。
みかんは白い部分や皮ごと食べる方が健康に良い?
みかんの食べ方で気になるのが、みかんの薄皮や房についた白い筋の繊維は食べた方が良いのかどうかというところ。
食べる、食べないで意見が別れるところではありますが、みかんの薄皮や繊維には食物繊維が豊富です。
食物繊維には整腸効果の他、血糖値の上昇を防ぐ作用や血液中のコレステロール濃度を低下させる作用があります。
例として、食後で糖質を摂ると血糖値が上がるため、インスリンという物質が分泌されて血糖値を下げようと働きかけます。
血糖値が緩やかな上昇であれば問題ないのですが、これが急激な上昇となるとインスリンは過剰に分泌。
このインスリンは血中の糖分を脂肪に変えて体に貯蓄してしまうため、これを防ぐためにも食物繊維が必須なわけです。
「ダイエットには食物繊維」といわれるのにはこのような仕組みが背景にあります。
とはいえ高齢者や小さな子どもなどはとくに食べづらいと感じることが多いため、それぞれお好みの食べ方で食べるのが良いですね。
長持ちする、みかんの保存方法
みかんは冬場に箱で買ったりもらったりすることも多く、気づいたらとっておいたみかんが傷んでいたりすることも少なくありません。
みかんを長持ちさせる保存方法について、知っておきたいポイントをご紹介していきます。
〈みかんの保存の基本〉
- 冬場は5℃〜10℃の常温、夏場は野菜室で保存
- ヘタを下にして並べる
- 傷んだみかんは別にする
段ボール入りのみかんの場合は、箱のまま上記の温度で保存します。
カビたりやわらかくなったりしているものは取り除き、段ボールの底に新聞紙やキッチンペーパーをひいた上にみかんを並べていきます。
重さでみかんが潰れてしまわないように、重ねるのは二段まで。一段目と二段目のみかんの間には、再度新聞紙やキッチンペーパーを重ねます。
このときみかんのヘタは下向きにすると、みかんの水分を逃さず乾燥から守ることができるんですね。
風通しをよくするために段ボールの底に穴を開けておくと尚良いでしょう。
みかんの大量消費アレンジ
食べ切る前に傷んでしまいがちな大量のみかんも、様々な方法でアレンジすれば楽しみ方も倍増です。
焼きみかん
果物を焼く、というのはあまり想像がつかない方も多いかと思いますが、実はみかんは焼いても美味しく食べられます。
作り方は簡単で、アルミホイルの上にみかんを乗せてオーブントースターで焼くだけ。
両面焼きなら約5分、片面焼きならそれぞれ約5分ずつ焼いていきます。
皮には焦げ目がつきますが、中身には問題ありせん。甘さの詰まったほくほくとした味わいと、どこか焼き芋に似た香りはやみつきに。
中国医学では加熱したみかんは血行が促進されており、風邪や冷え性にも効果があるといわれています。
みかんの皮も有効活用
みかんの皮にはビタミンC以外にもビタミンが豊富に含まれており、みかんの皮を干して乾燥させたものは漢方としても用いられてきました。
咳や痰といった喉の症状や、胃もたれ、吐き気など幅広い効果があるとされています。
それに倣い家庭では、皮をよく洗って1週間干して乾燥、細かく刻んで砂糖とお湯で溶いて服用するという方法もあるようです。
もう一つの方法としては、入浴剤として使用するというのもあります。
4〜5つのみかんの皮を同じように乾燥させて、ガーゼやお茶のパックに包んでしっかりと口を縛るだけ。浴槽にお湯を溜める前から入れておくと、より香りが楽しめます。
様々な味わい方があるみかんは、冬はもちろん夏にも楽しむことができます。
またビタミンCや食物繊維といった栄養も豊富で、生活習慣病の予防のみならずダイエットや美肌を目指す方にもおすすめです。
それぞれの品種に旬があるみかん。美味しい時期に美味しくいただきましょう。