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冬に旬を迎える大根は、冬野菜の代表格ですが、通年手に入れやすい野菜でもあります。
煮物にしたり薬味にしたりと、さまざまな調理法があるため、季節に応じた食べ方を楽しめます。
そんな食卓の味方である大根ですが、水分ばかりで栄養が少ないというイメージも抱かれがちです。
しかし、ビタミンやミネラルのほか、消化を助ける成分なども豊富で、栄養補給に役立つ野菜といえます。
この記事では、大根に含まれる栄養素や成分と、その効能について解説します。栄養を逃さない調理のコツも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
大根の主な栄養素と効能
100gあたり15kcalと低カロリーな大根は、ダイエットにもおすすめの野菜です。
大根はヘルシーなだけでなく、栄養素も多く含まれています。
大根(皮付き・生)に含まれる主な栄養素について、下表に含有量を示します。
栄養素 | 可食部100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 15kcal |
糖質 | 2.7g |
ビタミンC | 12mg |
葉酸 | 34μg |
カリウム | 230mg |
食物繊維 | 1.4g |
<出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」>
この章では、大根に含まれている主な栄養素とその効能を、詳しく解説します。
ビタミンC
大根に含まれる代表的な栄養素としては、強い抗酸化力を持つビタミンCが挙げられます。
ビタミンCはコラーゲンの生成にかかわっており、健康維持だけでなく美容にも役立つ栄養素です。
免疫機能を高める効果も期待できるので、風邪をひきやすい季節にはとくに、ビタミンCを意識して摂ることが望ましいでしょう。
ビタミンCは、大根の皮の部分にとりわけ多く含まれる栄養素です。
よく洗って皮ごと調理するか、むいた皮でもう一品作ると、無駄なく栄養を摂取できます。
葉酸
ビタミンB群のひとつである葉酸は「造血のビタミン」ともいわれる栄養素で、大根にも多く含まれています。
葉酸は細胞分裂を助ける働きもあります。妊娠を希望する人や妊娠中の人は、とくに積極的にとりたい栄養素です。
貧血や動脈硬化の予防効果も期待できるため、健康維持のためにもしっかりと摂取する必要があります。
カリウム
体内の過剰なナトリウムや水分を排出する働きのあるカリウムも、大根に豊富に含まれている栄養素です。
カリウムは高血圧の予防やむくみの解消に効果があります。
食物繊維
大根には食物繊維が多く含まれています。
食物繊維は腸内細菌の働きを助け、おなかの調子を整えるのに役立つ成分です。
食物繊維には、食後の血糖値の上昇を抑えたり、血中コレステロール濃度を低下させたりと、さまざまな働きがあります。
便秘や生活習慣病の予防のために、食物繊維は欠かせません。
大根の葉はさらに栄養豊富!
大根の葉は、調理に使わずに捨てられがちです。しかし、緑黄色野菜に分類される大根の葉は、根よりもさらに高い栄養価を誇る食材です。
大根の葉には、根の部分に多い栄養素以外にも、多様なビタミンやミネラルが含まれます。
とくに豊富なのは、β-カロテン(ビタミンA前駆体)・ビタミンE・ビタミンKなどのビタミンや、カルシウム・鉄分などのミネラルです。
葉付きの大根を手に入れたら、葉も捨てずに調理すると、たくさんの栄養を摂取できます。
大根の消化酵素や辛味成分の働き
大根は豊富な栄養素のほかにも、体に有益な成分を多く含んでいます。
ここでは、大根の持つ消化酵素と辛味成分の働きについて詳しく見ていきましょう。
消化酵素
大根は、消化酵素が豊富に含まれており、食事に取り入れると消化を助けてくれます。
消化酵素とは、でんぷん・タンパク質・脂質などを分解する働きを持つ酵素で、食べ物を消化吸収するために欠かせません。
消化酵素は、基本的には体内(消化器)で十分な量が分泌されます。しかし、大根のように消化酵素が多い野菜では、含まれる酵素が補助的に働いて、消化を助けてくれることもあるのです。
ただし、加熱すると働きが失われるため、大根おろしやサラダなどでの生食が必要です。
大根に含まれる「アミラーゼ」「プロテアーゼ」「リパーゼ」の3つの消化酵素について、順に紹介します。
アミラーゼ(ジアスターゼ)
大根に含まれるアミラーゼ(旧名はジアスターゼ)は、でんぷんを分解する作用があり、胃もたれや胸焼けの予防に役立ちます。
大根おろしをうどんやそばに乗せたり、お餅にからめて食べたりするのは、消化を助ける意味でも理にかなった組み合わせです。
プロテアーゼ
プロテアーゼはたんぱく質を分解する働きがあり、さまざまな料理の下ごしらえにも役立ちます。
肉や魚を大根おろしに漬けておくと、加熱してもやわらかく調理できます。
これは、大根に含まれるプロテアーゼが、肉や魚のたんぱく質を分解してくれるおかげです。
リパーゼ
消化酵素のリパーゼは、脂肪を分解する働きがあります。
ステーキや天ぷらなどの脂っこい料理に大根おろしを添えると、胃もたれや胸焼けの予防に役立ちます。
辛味成分イソチオシアネート
大根おろしの辛味は主に「イソチオシアネート」と呼ばれる成分に由来します。
大根の上部より下部の方が辛いのは、先端に近いほどイソチオシアネートが多く含まれるためです。
イソチオシアネートは、体内の抗酸化酵素などを活性化する作用が見つかっており、がんや動脈硬化の予防効果が期待され、数多くの研究の対象となっています。
イソチオシアネートは、消化酵素と同じく加熱により分解されやすいため、効果を期待する場合は生食が望ましいでしょう。
栄養を逃さない大根の食べ方
これまで述べてきたように、大根には複数の栄養素や、体に役立つ機能が期待される成分が含まれます。
こうした大根の栄養や成分を効率よく摂るには、食べ方にも工夫が必要です。
大根の栄養を逃さないための、食べ方や調理の4つのポイントを紹介します。
皮まで食べる
大根の栄養は中身よりも皮の部分に多く含まれています。
大根の栄養を効率的に摂取するには、よく洗い、皮ごと調理するのがおすすめです。
煮物などは、大根の皮をむくと味が染みこみやすくなるので、皮をむいて調理しましょう。
むいた皮は干したり、きんぴらにしたりすることで、大根の栄養を逃さずに摂取できます。
生で食べる
大根に含まれる成分は生で食べることで、より効果が発揮されやすくなります。
たとえば、大根に豊富なビタミンCやイソチオシアネートは、加熱で分解されやすい成分です。
大根の栄養を逃さず摂るにはサラダなど、生で食べられる調理法を選びましょう。
大根の消化酵素も加熱すると効果を失ってしまうため、消化を助けてほしいときにも生食がおすすめです。
とくに大根おろしにすると、消化酵素は壊れた細胞から流れ出て、より働きやすくなります。
消化酵素は時間経過に伴い減少していくので、食べる直前に調理すると効果を損なわずに摂取可能です。
干して食べる
大根には、干すことで凝縮され、摂取しやすくなる栄養素も含まれます。
切り干し大根などの干した野菜は、水分が抜けた分だけ、重さあたりの栄養価が高くなるのです。
水分が抜けてかさが減ると、少食の人でも栄養が摂りやすくなります。
たとえば、100gあたりの食物繊維やカルシウムの含有量は、生の大根と比べて干した大根では、以下のように増加します。
栄養素 | 生の大根 (皮付き) | 切り干し大根 |
---|---|---|
食物繊維 | 1.4g | 21.3g |
カルシウム | 24mg | 500mg |
<出典:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」>
さらに、干した大根は水分が抜けて甘味が凝縮され、生の大根にはないうま味成分も生成します。
大根を消費しきれないときは、自家製の切り干し大根に加工して保存するのもよいでしょう。
葉は油を使って調理する
大根の葉は、栄養価を重視する場合、油を使った調理がおすすめです。
大根の根の部分は淡色野菜ですが、葉の部分は緑黄色野菜に分類されます。
緑黄色野菜に多く含まれるビタミンAやβ-カロテン、ビタミンK、ビタミンEは、油と一緒に摂取すると吸収率が上がります。
葉は油炒めなどにして、効率的に栄養を摂取しましょう。
大根の葉の独特なくせが苦手な人は、じゃこやゴマなど風味のある食材と炒めて、ふりかけにするのもよいでしょう。
食べやすくなるので、お子さんにもおすすめです。
大根は加熱すると栄養がなくなる?
大根に含まれる栄養素などの成分は、加熱により失われるものもあります。
たとえば、煮物にして長時間加熱すると、ビタミンCや消化酵素は効果を失います。
大根の栄養を最大限に生かすには、生の状態で、調理後すぐに食べるのがおすすめです。
ただし、加熱後の大根にもカリウムや食物繊維などは残っており、まったく栄養がなくなるわけではありません。
カリウムは、水に溶けやすい性質があるため、煮汁ごと食べると無駄なく摂取できるでしょう。
加熱調理した大根は、低カロリーで食物繊維が豊富なうえ、食べごたえもあり、ダイエット中にも重宝する食品です。
水分が多くあっさりしていて、くせが少ない大根は、いろいろな食材や調理法に合わせられます。
大根を上手く使えば、ヘルシーで満足感のある料理を、バリエーション豊かに作れるのです。
加熱によって栄養価が多少下がったとしても、大根は食卓には欠かせない食材といえるでしょう。
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