風邪のときは、おかゆやうどんなど、消化がよく温かい食べ物が適しています。
栄養素では、粘膜の健康を保つビタミンAやビタミンB群、免疫機能の維持にも関わるビタミンCなどを意識的に摂るとよいでしょう。
また、卵や鶏肉などのたんぱく質、体を温めるねぎや生姜などもおすすめです。
ただし食欲がないときや発熱時には、スポーツドリンクなどでこまめに水分補給をすることが大切です。
この記事では、風邪をひいたときにおすすめの食べ物や栄養素のほか、シーン別・症状別の食べ方を紹介します。
風邪のときにおすすめの食べ物と栄養素

風邪のときには、まずはおかゆやうどんなどの、消化がよく温かい食べ物がおすすめです。
さらに、十分に食欲があれば、皮膚や粘膜の健康を保つビタミンAやビタミンC、体力の維持に欠かせないたんぱく質などを摂取できると望ましいでしょう。
この章では、風邪のときに意識したい栄養素と、それらを多く含む食べ物を紹介します。
ただし食欲がないときには、水分補給と休養を優先し、無理に食べ物をとる必要はありません。
ビタミンAを含む食べ物|卵黄やにんじんなど
風邪のときは、卵黄やにんじんなどのビタミンAを含む食べ物がおすすめです。
ビタミンAは抗酸化ビタミンのひとつで、体内の活性酸素の影響を抑える働きがあります。
さらにビタミンAには、皮膚や粘膜の健康を保つ働きがあり、喉や鼻の乾燥を和らげます。
ビタミンAを多く含む食べ物は以下のとおりです。
- 卵黄
- にんじん
- ほうれん草
- 春菊
- かぼちゃ
緑黄色野菜には、体内でビタミンAに変換されるβ-カロテンが多く含まれます。油と一緒に摂ると体内で利用されやすくなります。
ビタミンCを含む食べ物|パプリカやキウイなど
ビタミンCは、コラーゲンの生成に関わり、皮膚や粘膜をすこやかに保つために欠かせません。
体内に貯蔵できず、風邪のときは食欲低下などで不足しやすくなるため、意識して摂りたい栄養素です。
また、抗酸化ビタミンのひとつで、活性酸素の影響を抑えます。
ビタミンCを多く含む食べ物は以下のとおりです。
- パプリカ
- ブロッコリー
- キウイ
- いちご
- かんきつ類
ビタミンCは水に溶け出しやすいため、火を通す場合は電子レンジなどで調理するとよいでしょう。
ビタミンB群を含む食べ物|豚肉やさけなど
風邪で体力を消耗しているときは、ビタミンB群を多く含む食べ物がおすすめです。
ビタミンB群には、たんぱく質・脂質・炭水化物がエネルギーに変わるのを助ける働きがあります。さらに、喉や鼻、目などの粘膜の健康維持にも関わっています。
ビタミンB群を多く含む食べ物は以下のとおりです。
- 豚肉
- 鶏肉
- さけ
- まぐろ
- 卵
- 納豆
なお、肉類は脂身の少ない部位を選び、やわらかく煮込むなどすると消化によいでしょう。
たんぱく質を含む食べ物|鶏ささみや豆腐など
風邪のときは、鶏ささみや豆腐など、たんぱく質が摂れて消化にもやさしい食べ物を摂るとよいでしょう。
たんぱく質は、体の組織や酵素・抗体などの材料となるため、体力や体の機能を保つうえでも欠かせない栄養素です。
ただし、脂質の多い肉類などは胃腸に負担がかかりやすいため、控えめにしましょう。
以下のような食べ物は、消化がよくたんぱく質も豊富です。
- 鶏ささみ
- 白身魚(たら・たいなど)
- 豆腐
- 卵
- ヨーグルト
体を温める食べ物|ねぎや生姜など
風邪のときは、体を冷やさないことが大切なため、温かい食事がおすすめです。
温かいスープなどの料理と相性のよい、ねぎや生姜を取り入れてもよいでしょう。
ねぎや生姜は、辛み成分が血流の良さに影響するといわれており、体が温まったように感じられることもあります。
水分を補う飲み物|スポーツドリンクや白湯など
発熱時や食欲不振時には、とくに意識して水分を補いましょう。
風邪のときは、汗や鼻水、下痢や嘔吐で体から水分が失われやすくなるためです。
また、水分補給は気道の乾燥を防ぎ、痰を出しやすくします。
以下のような飲み物がおすすめです。
- スポーツドリンク
- 経口補水液(脱水が心配な場合)
- ホットレモネード
- 白湯
炭酸飲料やカフェインの多い飲み物は避けましょう。
風邪のシーン別|おすすめの食べ物と食べ方のポイント

この章では、「風邪のひき始め」「症状がつらいとき」「風邪の治りかけ」のシーン別に、おすすめの食べ物と食べ方のポイントを紹介します。
風邪のひき始め
風邪のひき始めは、倦怠感や疲労感を感じやすく、食欲も落ちやすくなります。
エネルギー源となる炭水化物や、たんぱく質・ビタミン、ミネラルを、消化にやさしい食べ物で補うとよいでしょう。
- 豆腐や、やわらかく煮た野菜の味噌汁
- ささみ入りのおかゆ
- 卵入りのうどん
体がだるいときは、レトルトや簡易調理のおかゆ、スープ、うどんなどを活用し、無理のない範囲で栄養を補ってください。
症状がつらいとき
熱が高く食欲がないときは、水分とエネルギーの補給を優先しましょう。
風邪の症状が進むと、消化機能が低下し、普段の食事を受け付けなくなることもあります。
無理に食べるのではなく、以下のような食べ物や飲み物がおすすめです。
- スポーツドリンク
- 経口補水液(脱水が心配な場合)
- ヨーグルト
- ゼリー
ただし、いずれも冷たすぎるものは避けてください。
食欲が戻ってきたら、消化がよく食べやすいものを少しずつ取り入れるとよいでしょう。
- 果物(冷たすぎず、酸味も強すぎないもの)
- おかゆ
- やわらかく煮たうどん
- ポタージュスープ
風邪の治りかけ
風邪の治りかけには、卵がゆや湯豆腐、やわらかく煮た鶏肉など、消化がよく栄養価の高い食べ物がおすすめです。
治りかけの時期は、消化機能が完全には回復していません。そのため、消化の負担が大きいものや、油分が多いもの、刺激の強いものは避けましょう。
- 卵がゆ
- 湯豆腐
- 鶏ささみの煮物
- 白身魚の煮つけ
とくに、風邪の症状が重かった場合は、固形の食べ物は少しずつ取り入れましょう。
風邪の症状別|おすすめの食べ物と食べ方のポイント

風邪には、せき・喉の痛み、鼻水・鼻づまり、発熱、下痢や吐き気など、さまざまな症状があります。
この章では、これらの症状別に、おすすめの食べ物と食べ方のポイントを紹介します。
せき・喉の痛み
せきや喉の痛みなどの症状があるときは、水分が多く、やわらかくて食べやすい食べ物がよいでしょう。
粘膜の健康に関わるビタミンAやビタミンCを多く含む食品もおすすめです。
また、飲み物を少量ずつこまめに飲むと、喉の粘膜を潤し、口内も清潔に保てます。
以下に、喉に症状があるときにおすすめの食べ物・飲み物と、その特徴やポイントをまとめます。
| 食べ物・飲み物 | 特徴・ポイント |
|---|---|
| 大根(やわらかく煮る) | 水分が多く、加熱するとやわらかくなる。 |
| 梨 | 水分が多く、酸味が抑えめで食べやすい。 |
| かぼちゃ・にんじん (ポタージュなど) | 加熱するとやわらかくなり食べやすい。 粘膜の健康に関わるβ-カロテンが豊富。 |
| レモネード・ゆず茶 (はちみつ入り) | 粘膜の健康に関わるビタミンCが豊富。 はちみつは消化吸収が早く、エネルギー補給に役立つ。 |
鼻水・鼻づまり
鼻水・鼻づまりの症状があるときは、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンCを含む食べ物や、温かい食べ物・飲み物がおすすめです。
鼻の症状があるときに摂りたい栄養素や食材と、その特徴を以下にまとめます。
- ビタミンA・ビタミンB群・ビタミンC:粘膜の健康維持に必要な栄養素。
- ねぎ・生姜:温かい料理と相性がよく、体が温まりやすい。
風邪のときは、これらの栄養素を含む食材を、消化がよく温かい調理法で取り入れるとよいでしょう。
- 野菜をやわらかく煮込んだスープや味噌汁
- にんじん、小松菜、ねぎ、鶏肉などが入った鍋料理
- ホットレモネードや生姜湯
悪寒・発熱
悪寒や発熱があるときは、消化機能が低下し、食べ物を受け付けにくくなることがあります。無理して食べずに、食欲があれば消化のよいものを取り入れてください。
まずは、脱水を防ぐためにこまめな水分補給が重要です。
悪寒がするとき
寒気がする「悪寒」は、体が体温を上げようとしているサインで、食欲が低下しやすい状態です。
無理に食事をとる必要はありません。まずは温かい飲み物で水分を補給し、体を冷やさないようにしましょう。
- 白湯
- 生姜湯
- 温かいスープ(具材が少ないものを無理のない量で)
悪寒が収まった後、発熱している場合は、次に示す「発熱しているとき」の食べ物・飲み物を参考にしてください。
発熱しているとき
発熱時は体から水分が失われやすく、脱水のリスクが高まります。
スポーツドリンクなどで、少量ずつこまめに水分補給をしましょう。
- スポーツドリンク
- 経口補水液(脱水が心配な場合)
- 白湯
食欲がある場合のみ、消化のよい食べ物を少量から取り入れてみてください。ゼリーは、やや食欲が落ちていても食べやすく、水分も補給できます。
- ゼリー
- ヨーグルト
- 卵がゆ
- やわらかく煮込んだうどん
冷たすぎるものや、油分の多いものは避けてください。
下痢や吐き気・お腹の調子が悪い
下痢や嘔吐が続くと、水分と電解質(ミネラル)が多く失われ、脱水のリスクが高まります。
まずは、スポーツドリンクや経口補水液などで、少量ずつこまめな水分補給を心がけましょう。
- スポーツドリンク
- 経口補水液(脱水が心配な場合)
ただし、吐き気が強い場合や吐いた直後は、無理に飲む必要はありません。少し落ち着いてから、少量ずつゆっくり飲むようにしてください。
また、白湯(水)でも水分補給はできますが、電解質は補給できない点に注意が必要です。
食欲がある場合や、症状が落ち着いてきた場合には、おかゆや、やわらかく煮込んだうどんなど、消化によいものを少量から取り入れてください。
刺激物、食物繊維が多い食材、油分の多いもの、冷たいものは避けるようにしましょう。
まとめ
風邪のときは、食欲や症状に合わせて、無理のない範囲で食事をとることが大切です。
温かいおかゆやうどんなどが、消化にもよくおすすめです。
食欲があれば、たんぱく質やビタミンA・B群・Cなども意識的に摂取するとよいでしょう。
卵や豆腐、緑黄色野菜や果物などをメニューに取り入れると、そうした栄養素を補給しやすくなります。
ただし、発熱や下痢・嘔吐がある場合は、脱水を防ぐために、水分や電解質の適切な補給が最優先です。
スポーツドリンクや、脱水が心配な場合は経口補水液も活用し、少量ずつこまめに水分補給しましょう。












