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感染すると我慢できないほどの激痛を感じることで知られているアニサキス。
サバやアジを始めとした様々な魚に寄生するため、魚を生で食べる際には十分な注意が必要です。
本記事では、アニサキスは加熱をしたら食べても問題ないのかについて詳しく紹介します。
アニサキスの予防方法と感染時に引き起こされる症状も紹介しますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
アニサキスとは
アニサキスとは、長さ2~3cm、幅0.5~1㎜ほどの白い糸状の寄生虫です。
オキアミから魚に感染し、人間が生きているアニサキスを食べると胃壁や腸壁に刺さりアニサキス症という食中毒を発症します。
アニサキス症に感染すると激しい腹痛や吐き気などの症状が起こり、重症化すると腸閉塞を引き起こす可能性があるため、アニサキス症が疑われる場合は、すぐに医療機関の受診が必要です。
アニサキス症は昔からある食中毒ですが、近年増加傾向にあり、年間数百件ほど発生しています。
なお、死滅しているアニサキスは食べても、食中毒が起こる心配はありません。
加熱すれば大丈夫?アニサキスの有効な予防方法
アニサキスにはいくつかの有効な予防方法があり、魚を食べる前に正しく処理を行うことで感染を未然に防げます。
自宅でも簡単に行えるアニサキス予防方法をまとめて紹介するので、魚を調理する際はぜひ実践してみてください。
加熱する
アニサキスは、魚を加熱してしっかりと内部まで火を通すことで死滅します。
60℃または70℃で1分以上の加熱を行い、魚の内部まで火を通してから食べるようにしましょう。
死滅したアニサキスであれば、飲み込んでも食中毒にかかる心配はありません。
冷凍する
アニサキスは-20℃以下で24時間冷凍すると死滅します。
魚を刺身などの生の状態で食べる際は、しっかりと冷凍してアニサキスを予防しましょう。
数時間程度の冷凍や冷蔵では魚が内部まで凍らず、アニサキスが生きたまま残ってしまう可能性があるので注意が必要です。
なお、魚屋やスーパー、飲食店で販売されている魚介類は、基本的に販売前に冷凍処理が行われているため、自宅で再度冷凍を行う必要はありません。
よく噛んで食べる
アニサキスは刺激に弱いため、よく噛んで食べることが感染の予防に繋がります。
生で魚を食べる際は、いつもの食事の際よりもよく噛んで食べることを意識すると良いでしょう。
寄生虫を食べると考えると気分が良いものではないかもしれませんが、アニサキスが死んでいる状態であれば飲み込んでも食中毒にかかる心配はありません。
なお、よく噛んで食べることだけでは予防として十分とはいえないため、冷凍や加熱、目視確認で取り除く方法などの予防方法と併用してください。
目視確認で取り除く
アニサキスは、長さ2~3cm、幅0.5~1㎜ほどの糸状の寄生虫です。
目立ちませんが肉眼でも見えるため、切り身の表面などに付着しているアニサキスは目視で取り除くことできます。
事前に加熱や冷凍処理を行っている場合、アニサキスは死んでいる可能性が高いですが、万が一の事態も考えられるため魚を生で食べる際は念のため目視確認も行った方が良いでしょう。
アニサキスが潜んでいる可能性が高いのは、内蔵と内蔵周辺の身(筋肉)です。
アニサキスによって引き起こされる症状
アニサキスによって引き起こされる疾患の種類は、以下の通りです。
- 胃アニサキス症
- 腸アニサキス症
- 消化器外アニサキス症
- アニサキスアレルギー
発症確率としては胃アニサキス症が最も高いといわれています。
胃アニサキス症
胃アニサキス症は、アニサキスが胃壁に刺さることで発症する疾患です。
胃アニサキス症にかかると、激しい腹痛や吐き気などの症状が現れます。
腸アニサキス症
腸アニサキス症は、アニサキスが腸壁に刺さることで発症する疾患です。
腸アニサキス症にかかると、吐き気や下腹部の激しい痛み、発熱、嘔吐などの症状が現れます。
確率は低いですが、重症化すると腸閉塞になるケースがあるため、アニサキスに感染している恐れがある場合は我慢せずにすぐに医療機関を受診しましょう。
消化器外アニサキス症
消化器外アニサキス症は、口から取り込んだアニサキスが消化管を突き破って腹腔へと飛び出て寄生する疾患です。
胃アニサキス症と比べて発症は非常に稀で、発症した場合激しい腹痛が起こります。
アニサキスアレルギー
アニサキスアレルギーは、名前の通りアニサキスのアレルギーです。
生きたアニサキスを食べることで引き起こされるアニサキス症とは違い、アニサキスのタンパク質に対するアレルギー反応で全身に症状が現れます。
アニサキス症は冷凍や加熱で対策がとれますが、アニサキスアレルギーはアニサキスが寄生している可能性がある魚介類を食べない以外の有効な予防方法はありません。
アニサキスにアレルギーがある場合、既に死んでいるアニサキスであっても食べるとアレルギー症状が引き起こされます。
アニサキスに感染した場合の治療法
アニサキスに感染した場合、激しい腹痛やみぞおちの強い痛み、吐き気などの症状に見舞われますが、アニサキスは人間の体内で長期間生きられないため、基本的には放置しても1週間程度で死滅します。
しかし、稀に重症化する場合があるため、感染した場合は速やかに医療機関を受診することがおすすめです。
検査方法
アニサキスに感染した恐れがある場合は、胃カメラ検査や血清検査、エコー検査などで感染しているかの検査を行います。
アニサキスが引き起こす疾患では胃アニサキス症が最も多いことから、胃カメラで検査を行うことがほとんどです。
血清検査は胃アニサキス症以外の疾患が疑われる場合に実施され、エコー検査は食後から時間があまり経過していない場合に実施されます。
治療方法
アニサキスに感染した場合の治療方法は、症状によって異なります。
発症する確率が最も高い胃アニサキス症では、胃カメラを使用して胃の粘膜を噛んでいるアニサキスを胃壁ごと除去し、アニサキスアレルギーの場合には薬を用いることがほとんどです。
また、発症確率の低い腸アニサキス症では薬や点滴を用いて治療を行います。
アニサキスが見つかりやすい魚一覧
アニサキスはオキアミから魚に寄生するため、オキアミを捕食しない魚に寄生することはありません。
アニサキスが見つかりやすい魚は、以下の通りです。
- サバ
- アジ
- イワシ
- ヒラメ
- イカ
- ブリ
- サンマ
- サケ
- カツオ
- タイ
- ニシン
生きた状態のアニサキスを誤食すると、激しい嘔吐や下痢などを伴う食中毒が引き起こされます。
刺身や〆さばのように魚を生の状態で食べる場合は、目視で確認したり、-20℃以下で24時間冷凍したりするなどの対策をとりましょう。
アニサキスの間違った知識
最後にアニサキスの間違って知られている知識をまとめて紹介します。
世の中に出回っているアニサキスの知識の中には、間違った知識も少なくないため注意が必要です。
アニサキスに酢は効果がない
アニサキスは酢や醤油、ワサビ、塩などの調味料がかかったとしても死滅しません。
刺身や〆さばのようにアニサキスが寄生している可能性がある魚を生の状態で食べる際は、調味料で対処するのではなく、必ず事前に-20℃以下で24時間冷凍しましょう。
また生魚は、アニサキスが潜んでいる可能性が高い内臓は食べないことをおすすめします。
養殖魚にもアニサキスはいる
アニサキスは、オキアミを通じてサバやアジなどの魚に寄生するため、管理された餌を与えられて育つ養殖魚に感染することはあまりありません。
しかし、天然魚に比べてアニサキスに感染している可能性は低いですが、可能性は0ではないといえます。
魚を生で食べる際は、万が一の可能性を考えて事前に冷凍するなどの対策をしっかりとりましょう。
まとめ
アニサキスは加熱をしたら食べても問題ないのか、アニサキスを予防する方法について紹介しました。
アニサキスは加熱や冷凍、よく噛んで食べることなどで簡単に予防でき、死滅したアニサキスであれば、飲み込んでも食中毒にかかる心配はありません。
アニサキスに寄生されている可能性がある魚を食べる際は、ぜひ本記事で紹介した予防方法を実践してみてください。