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亜鉛は体にとって必要不可欠な栄養素であり、多くの働きを担っています。
不足すると健康や美容のさまざまなトラブルにつながりますが、過剰摂取によっても体に害をもたらすため、どちらも注意が必要です。
この記事では、亜鉛の体内での働きと共に、美容や健康で注目されている効果、毎日の生活で効果的に摂取する方法などを解説します。
亜鉛とは
亜鉛はミネラルの一種で全身の細胞内に存在していますが、体内で作ることはできません。
体内には約2gしか存在しませんが、生命活動において重要な役割を担っている必須ミネラルです。
ここでは、体内での亜鉛の働きと、亜鉛の不足について解説します。
体内での亜鉛の主な働きと効果
亜鉛は、ヒトの健康維持に欠かせない栄養素です。
体内では、数百種類以上の酵素の構成成分となっているため、体内の代謝を円滑に保つうえでも欠かせません。
風邪などの病気の予防や、日々の新陳代謝、食べ物をおいしく味わうこと、赤ちゃんや子どもの成長などに亜鉛は関係しています。
具体的には、以下のような働きがあります。
体内における亜鉛の働き
- 細菌やウイルスに対する免疫機能の維持
- たんぱく質やDNAなどの合成のサポート
- 胎児・乳児・小児の成長と発達
- 傷の修復
- 健康な味覚や臭覚の維持
- 皮膚・髪・粘膜・生殖機能の健康維持
亜鉛不足の症状や体のサイン
亜鉛が不足すると、先述したような体内の働きに影響があり、さまざまな不調が起こる可能性があります。
例えば、免疫機能の低下で風邪にかかりやすくなったり、傷が治りにくくなったり、味覚や臭覚に異常が起きたりすることがあります。
ほかにも、子どもの成長障害、皮膚炎、抜け毛、男性の性機能低下、貧血、食欲低下、下痢など、さまざまな影響が起こりえます。
貧血の原因は鉄分不足がよく知られていますが、亜鉛も赤血球の産生などに関わっており、不足すると貧血が起きるため注意が必要です。
また、亜鉛不足には食欲の低下や下痢などの症状もありますが、亜鉛の過剰摂取によっても吐き気や嘔吐、下痢などの似た症状が現れるため注意しましょう。
日常生活の中では、以下のような亜鉛不足のサインを知っておくと、日頃の食生活を見直すきっかけになるでしょう。
日常生活で見られる亜鉛不足のサイン
- 風邪をひきやすくなった
- 抜け毛が気になる
- 傷が治りにくい・傷が化膿しやすい
- 肌荒れしやすい
- 爪が割れる・爪に白い斑点がある
- 味や匂いがよくわからない・普段と違う味がする
亜鉛は汗や尿から排泄され、アルコールの代謝にも酵素として使われるため、運動などで汗をよくかく、お酒をよく飲むといった場合も不足しやすくなります。
亜鉛の健康や美容への効果
亜鉛は、肌・髪の毛・爪の健康維持や美容に関する効果でよく注目される栄養素です。
ホルモンの分泌にも関わっていることから、更年期障害の緩和にも役立つことがあります。
ここでは、健康や美容における亜鉛の効果を解説します。
美肌・美爪効果
亜鉛はたんぱく質の合成に欠かせないことから、肌のたんぱく質を作ることを助け、美肌効果が期待できます。
健康的な肌を作るためには、新陳代謝が適切なスピードで行われることもポイントです。
亜鉛には、新陳代謝を活発化させる働きもあるため、皮膚の代謝を促すうえでも効果が期待できます。
また、美しい爪を作るためにも亜鉛は必要で、不足すると爪が割れたり白い斑点ができたりします。
髪の抜け毛・薄毛予防
亜鉛は、抜け毛や薄毛のトラブルにも効果が期待できます。
髪の毛も、ケラチンというたんぱく質が主成分で、合成には亜鉛が欠かせないためです。
また、髪の毛のハリやコシの維持にも、円滑なケラチンの生成が欠かせず、美しい髪の毛を作るうえでも亜鉛は重要な成分です。
更年期障害の緩和
亜鉛の働きの一つに生殖機能の健康維持がありますが、亜鉛は男性ホルモンや女性ホルモンの分泌にも関わっています。
更年期障害は男女ともに起こりうる症状で、女性は女性ホルモンの「エストロゲン」の分泌低下、男性は男性ホルモンの「テストステロン」の分泌低下によって引き起こされます。
更年期障害の症状が起きる原因は、加齢やストレス、生活習慣などさまざまで、亜鉛不足も一因です。
亜鉛不足が原因の場合は、亜鉛を補い男性ホルモンや女性ホルモンの分泌を助けると、ホルモンバランスが整い、更年期障害の緩和につながります。
亜鉛の効果的な摂り方と注意点
亜鉛は、毎日の食生活で少し意識するだけで効果的に摂取できます。
ここでは、亜鉛が多く含まれている食べ物や、より効果的に摂取するためのコツと共に、1日の摂取量や注意点についても解説します。
亜鉛が多く含まれる食べ物
亜鉛は、魚介、肉、豆類、乳製品、小麦の胚芽などに多く含まれています。
亜鉛を多く含む身近な食品
- 牡蠣
- 豚レバー
- 牛肩肉の赤身
- パルメザンチーズ
- 高野豆腐
- カシューナッツ
中でも牡蠣は、とくに含有量が多く、生の牡蠣100gに14mgの亜鉛が含まれています。
小麦の胚芽にも亜鉛は多く含まれているため、胚芽を含む、小麦の全粒粉もおすすめです。
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
1日に摂取したい亜鉛の量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」における、1日の亜鉛摂取の推奨量を示します。
なお、妊娠中や授乳中の女性では、妊娠初期は下表どおりですが、妊娠中期・後期は下表の値より+2mg、授乳中は+3mgとなっています。
男性・年齢 | 亜鉛の推奨量 (mg/日) | 女性・年齢 | 亜鉛の推奨量 (mg/日) |
---|---|---|---|
1~2歳 | 3.5 | 1~2歳 | 3.0 |
3~5歳 | 4.0 | 3~5歳 | 3.5 |
6~7歳 | 5.0 | 6~7歳 | 4.5 |
8~9歳 | 5.5 | 8~9歳 | 5.5 |
10~11歳 | 8.0 | 10~11歳 | 7.5 |
12~14歳 | 8.5 | 12~14歳 | 8.5 |
15~17歳 | 10.0 | 15~17歳 | 8.0 |
18~29歳 | 9.0 | 18~74歳 | 7.5 |
30~64歳 | 9.5 | 30~64歳 | 8.0 |
65~74歳 | 9.0 | 65~74歳 | 7.5 |
75歳以上 | 9.0 | 75歳以上 | 7.0 |
例えば、生牡蠣1個(平均で約20g)には約2.8mgの亜鉛が含まれているため、成人なら約3~4個食べれば、1日に必要な亜鉛は十分に摂れます。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2025年版)
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を元に計算
亜鉛を効果的に摂る料理のコツ
亜鉛は、ビタミンCやクエン酸、動物性たんぱく質と一緒に摂ると吸収が促進されやすいため、これらの栄養素を含む食材と一緒に料理して食べるとなおよいでしょう。
生牡蠣やカキフライにレモン汁をかけるのも、手軽な方法です。
一方、コーヒーやオレンジジュースなどは亜鉛の吸収を阻害する可能性があるため、亜鉛摂取を心がけているときには気を付けるとよいでしょう。
また、加工食品に含まれることが多いポリリン酸やフィチン酸、リン酸塩なども、亜鉛の吸収を阻害するといわれています。
亜鉛の過剰摂取に注意
亜鉛は、体に必要不可欠な栄養素である一方、過剰摂取にも注意が必要です。
亜鉛を摂り過ぎると、吐き気・嘔吐・食欲不振・下痢・頭痛・めまいなどの症状が起きることがあり、銅の減少による貧血や、免疫力の低下をまねいたりします。
一般的な食生活ではとくに心配は不要ですが、サプリメントなどでの摂取時には過剰摂取につながりやすいため、製品の目安量を守り十分に注意しましょう。
亜鉛は微量でも体内で活躍できるため、亜鉛だけに注目して摂取するよりは、亜鉛不足に気を付けつつ、バランスの良い食生活を心掛けることが重要です。
まとめ
亜鉛は体内でさまざまな働きをしていて、不足すると体調のトラブルにつながる可能性があります。
亜鉛不足は、バランスの良い食生活を心掛けるだけで改善しやすいため、無理なダイエットなどは避け、日頃から亜鉛不足に気を付けるとよいでしょう。
亜鉛を多く含む食材を取り入れながら、推奨量を目安にして、毎食少しずつ摂取するのがポイントです。
効果的な料理方法も意識しながら、健康や美容への効果につなげましょう。