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金目鯛は、赤く美しい見た目と上品な味わいで多くの人に親しまれている高級魚です。
じつは金目鯛の旬は1回ではなく、産地によって年に2回、美味しい時期があるといわれています。
旬の金目鯛は、脂のりや風味が格別です。
「旬っていつ?」「どこ産を選べばいいの?」というポイントを解説しながら、初心者でもわかりやすい金目鯛の選び方や美味しい食べ方をご紹介します。
金目鯛とは?

まずは金目鯛の特徴から見ていきましょう。
金目鯛は深海に生息する
金目鯛は深海に生息する赤い魚で、正式名称は「キンメダイ」です。
体は鮮やかな赤色をしており、光を当てると目が金色に光ることから金目鯛と呼ばれるようになりました。
日本近海では、主に千葉県から高知県の太平洋側で漁獲されている魚です。
金目鯛は深海に生息しているため、季節による漁獲量の変動が少なく、一年を通して安定して流通しています。
見た目の華やかさと脂のりの良さから、祝い事に良く使われる人気の魚といえます。
柔らかい身と濃厚な脂が特徴
金目鯛は、白身魚ならではの淡白でくせのない味わいと濃厚な脂が特徴で、身が柔らかくて食べやすく、ほっくりとしていてとろけるような食感が魅力の一つです。
金目鯛は、煮付けや刺身、しゃぶしゃぶなど、どのような調理法でもその風味が引き立ち、美味しく味わえます。
参考: 金目鯛の旬っていつ?特徴や栄養についても解説! | クラシル
金目鯛の旬はいつ?

金目鯛は一年を通して獲れるため、安定した味わいを楽しむことができますが、とくに脂がのって美味しいとされる金目鯛の旬は、冬と初夏の年に2回あるといわれています。
なぜ美味しいとされるのか、それぞれの理由を見ていきましょう。
冬(12〜2月)
寒い冬に備えて多くのエサを食べた金目鯛は、脂がたっぷりのっており、コクのある旨味を存分に味わうことができます。
そのため、寒い季節にぴったりの煮付けや鍋料理など、脂の濃厚さを活かした食べ方がおすすめです。
初夏(6〜7月)
冬以外では、初夏に獲れる金目鯛も美味しいといわれています。
なぜかというと、産卵前に多くのエサを食べた金目鯛は栄養を蓄えており、身が締まって脂のりとのバランスが良いからです。
初夏の金目鯛は塩焼きや刺身など、シンプルな調理法で食感の違いを楽しみましょう。
参考: 金目鯛の旬は12〜2月!ベストな時期に美味しく食べよう|マルチュウスマイル
産地によって旬と味が変わる?

金目鯛の旬は、冬と初夏の年に2回あるとお伝えしましたが、「一番美味しい時期」は産地によって異なります。
ここでは、新鮮な金目鯛をいただける代表的な3つの産地について紹介します。
静岡県
静岡県・伊豆半島は金目鯛の代表的な産地で、旬は冬と初夏の2回です。
とくに稲取港で水揚げされる金目鯛は明治時代から地域に親しまれており、日戻り操業による鮮度の高さが魅力です。
一本釣りされる「稲取キンメ」は登録商標されており、旨味が格別なブランド金目鯛として人気を集めています。
脂のりが非常に良く、姿煮や寿司などの食べ方がおすすめです。
下田港では、近海と沖合の両方から金目鯛が水揚げされます。
地元では、伝統的な和食からキンメコロッケなどのB級グルメまで、広く人気を集めています。
千葉県
千葉県東部の銚子沖や勝浦沖は、親潮と黒潮がぶつかる好漁場です。
海域は豊富なエサに恵まれ、新鮮で良質な金目鯛をいただけます。
千葉県の金目鯛は初夏(3〜5月)が旬。産卵を控えて栄養を蓄えているため、脂がのっていて旨みが増しています。
また、千葉県では「銚子釣りきんめ」「外房釣りきんめ」などのブランド化も進み、釣ったその日に金目鯛が市場に出回るといわれています。
名物料理「銚子つりきんめ煮炙り丼」は、甘辛く煮付けた金目鯛を香ばしく炙ってご飯にのせた逸品で、観光客にも人気を博しています。
高知県
高知県南部の室戸沖は切り立つような地形が特徴で、急に水深が深くなるため、港から近くの漁場で金目鯛が釣れます。
特産の「土佐沖どれ金目鯛」は、釣った日の午後には飲食店で提供されるといわれ、鮮度は抜群です。
高知県では金目鯛の旬が千葉県よりやや遅く、7〜9月に産卵前の美味しい時期を迎えます。
脂がのった金目鯛の風味は格別でしょう。
室戸市内で提供される「室戸キンメ丼」は金目鯛の照り焼きと地魚の刺身が同時に味わうことができ、ご当地ならではのグルメにも注目です。
参考: 土佐沖どれキンメダイ|高知県|全国のプライドフィッシュ
美味しい金目鯛を選ぶポイント

美味しい金目鯛を旬のうちにいただくため、鮮度の高いものを選ぶポイントを解説します。
新鮮な金目鯛の見分け方
新鮮な金目鯛は目が澄んでいて濁っておらず、体色が鮮やかな赤色をしています。
体表に張りとツヤがあり、ぬめりのない金目鯛は鮮度が良好です。
においが生臭く、目の周りがくぼんでいる魚は避けたほうが良いでしょう。
「地キンメ」と「沖キンメ」の違い
「地キンメ」とは、沿岸近くで一本釣りされた金目鯛を指します。
一本釣りなので魚に傷がつかず、品質が高いことが特徴といえます。
値段はやや高めですが、日戻り操業で獲れた金目鯛の新鮮な味わいを楽しめます。
一方で「沖キンメ」とは、沖合で大量に獲れた金目鯛を指します。
沖合まで一週間程度かけて操業するため鮮度はやや落ちますが、価格が手頃で気軽に家庭でも味わうことができるでしょう。
旬の金目鯛を美味しく味わう!おすすめの食べ方3選

金目鯛は高級なイメージがありますが、家庭でもシンプルな調理法で美味しく食べられます。
ここでは初心者向けに、おすすめの食べ方を紹介します。
金目鯛の煮付け
金目鯛の煮付けは、甘辛い味わいが特徴の定番の料理です。
調理する際には、まず湯通しして、臭みを取り除きましょう。お好みで生姜などの薬味を効かせて、落とし蓋をしてゆっくり煮込むと完成します。
アクは苦味の原因になるので、こまめに取り除くとより美味しく仕上がります。
お酒もご飯も進む金目鯛の煮付けは冬にぴったりで、柔らかい身と濃厚な煮汁を同時に味わえる逸品です。
金目鯛の塩焼き
金目鯛の塩焼きは、素材の味を最大限に引き立てるシンプルな調理法です。
調理する際には事前に冷蔵庫から取り出して室温に戻しておくと、火の通りが均一になります。
金目鯛に軽く塩を振って数分置き、表面ににじみ出てた水分を丁寧に拭き取ってから焼き上げましょう。
まずは金目鯛の身側から中火でじっくりと焼き、美しい焼き色がついたら裏返します。
皮側にも焦げ目をつけると香ばしい香りが立ち上がり、絶妙な塩加減と白身魚ならではの上品な甘みを楽しめます。
初夏にふさわしい一皿として、パリッとした焼き目とふっくらとした白身を同時に味わえるのも魅力です。
仕上げに、お好みでレモンやすだちを添えれば彩りもよく、爽やかな香りが加わってさらに食欲をそそります。
金目鯛のしゃぶしゃぶ
脂ののった金目鯛を、さっとだしにくぐらせていただく王道の一品です。
数秒ほどくぐらせたレア状態から、しっかり火を通した状態まで、お好みで味わえます。
さっぱりとした風味で、ポン酢でいただくとさらに爽やかさが増し、脂が苦手な人にもおすすめです。
コンロの前でできたての熱々を味わえるレシピなので体が温まり、冬におすすめの調理法といえます。
しゃぶしゃぶの締めとして、金目鯛の旨味がたっぷり溶け込んだ「だし」にご飯を加えて雑炊を楽しむのが定番です。
まとめ
金目鯛は年間を通して楽しめる魚ですが、産地や季節によって旬や風味に違いがあります。
たとえば、「脂ののった濃厚な味わいを楽しみたいなら冬」「引き締まった身と爽やかな旨味を味わいたいなら初夏」といったように、季節やお好みに合わせて選ぶのがおすすめです。
調理法も季節に合わせて工夫すると、より一層美味しくいただけます。
季節ごとに異なる金目鯛の魅力を味わいながら、ご家庭でも旬の味を楽しんでみてはいかがでしょうか。