桃は多数の品種がある果物です。
品種によって、とくに果肉の色や硬さが明確に異なるほか、味わいや香りにも個性があります。
この記事では、果肉の色と食感による桃の分類や選び方をまとめた後、「柔らかい白桃」「硬い白桃」「黄桃」の代表的な品種と特徴を紹介します。
桃にはどんな種類がある?果肉の色や食感の違いを解説

桃は主に果肉の色と食感で分類できます。
果肉の色では「白桃」と「黄桃」に、食感では「柔らかい桃」と「硬めの桃」に分けられます。
桃を選ぶうえで重要な色と食感について、順に解説します。
白桃と黄桃
桃の分類では、果肉の色がとくに重要で、白桃と黄桃があります。
生の果物として売られているのは、白桃が主流です。
生の黄桃も流通してはいますが、ごく一部の品種に限られます。
桃の種類 | 白桃 | 黄桃 |
---|---|---|
果肉の色 | 白~淡いピンク | 黄色 |
果皮の色 | 白~赤 | 黄色~オレンジ |
生での流通量 | 多い | 少ない |
加工での利用 | 黄桃より少ない | 多い |
白桃と黄桃は、作られる色素の量が異なりますが、色だけでなく、味や食感も異なる傾向があります。
それぞれの特徴を紹介します。
白桃の特徴
白桃は果肉が白っぽく、爽やかな香りとたっぷりの果汁が特徴です。
とろけるように柔らかい食感の品種も多い一方、歯ごたえのある硬い品種もあり、好みが分かれやすい部分です。
完熟した白桃はとても甘味が強く、暑い季節の果物としても人気があります。
黄桃の特徴
黄桃は果肉が濃い黄色で、しっかりとした食感と酸味・甘みのバランスが特徴です。
黄桃は白桃に比べると生での流通が少なく、缶詰などへの加工利用が主流です。
しかし近年では、生食向けの品種も登場しており、甘みの強さや希少性から注目を集めています。
柔らかい桃と硬めの桃
桃は品種により硬さが大きく異なり、好みの差も出やすいため、桃を選ぶうえで非常に重要なポイントです。
日本では、柔らかくてジューシーな品種の桃が長年にわたって普及していますが、シャキッと硬い桃の人気もだんだんと高まっています。
桃を選ぶ際は、好みの硬さの品種かどうかに注意するとよいでしょう。
特徴 | 柔らかい桃 | 硬めの桃 |
---|---|---|
主な品種 | 白鳳、日川白鳳、清水白桃など | 川中島白桃、あかつき、なつっこなど |
食感 | とろけるようにジューシー | シャキッとした歯ごたえ |
熟すと | 非常に柔らかくなる | 歯ごたえは残る品種が多い |
甘みの印象 | 甘みが強く感じられる | 比較的さっぱりとした甘み |
日持ち | 傷みやすく日持ちしにくい | 比較的日持ちしやすい |
贈答時の注意点 | 状態・傷みに要注意 | 硬めの桃を好まない人もいる |
この記事では、主流の桃である白桃は、柔らかい品種と硬めの品種に分けて紹介します。
柔らかくジューシーな白桃の品種

柔らかい白桃の代表的な種類は、白鳳・日川白鳳・清水白桃・西王母などが挙げられます。
本章では、柔らかくジューシーな白桃の品種について詳しく紹介します。
白鳳:果汁が豊富な定番品種
白鳳は日本で栽培されている代表的な種類の白桃で、1925年に神奈川県の農事試験場で選抜された品種です。
蜜のような甘さに加え、食べると滴り落ちるほど果汁がたっぷり詰まっているのが特徴です。
主に山梨・和歌山・岡山で栽培されています。
中でも山梨県は白鳳の栽培が盛んで、全国の生産量のおよそ半分を占める一大産地として知られています。
日川白鳳:初夏に出回る早生の人気品種
日川白鳳は、山梨市で1973年に偶然発見された早生品種で、7月上旬頃から出回り始めます。
名前に「白鳳」とついていますが、実際には白鳳とは異なる系統の桃で、濃厚な甘みと酸味の少なさ、なめらかな食感が特徴です。
日川白鳳は、収穫後すぐに食べ頃を迎えるため、購入後は早めに味わいましょう。
清水白桃:上品な香りと甘みで贈答用にも人気
清水白桃は、「桃の女王」とも呼ばれている、高級品種として知られる白桃です。
1932年に岡山市の一宮地区で偶然発見され、その後、品種改良が進められてきました。
気品のある香りと上質な甘み、とろけるような舌触りが特徴で、贈答用にも適しています。
西王母:甘くて濃厚な大玉の品種
中国神話に登場する女神「西王母」の名を冠した品種で、主に山形県で栽培されています。
ずっしりと重い実は、糖度が高く、完熟すると芳醇な甘みと豊かな果汁が味わえます。
柔らかい種類の白桃の中では適度な硬さもあり、保存性にも優れています。
生産量は少なめで、希少な高級品種として栽培されており、贈答品としても重宝されている桃です。
硬めで歯ごたえのある白桃の品種

硬めの種類の白桃は、川中島白桃・あかつき・なつっこ・まどか・夢桃香などが有名です。
ここでは、硬めで歯ごたえのある白桃の品種を見ていきます。
川中島白桃:やや硬めで甘味の強い晩生の品種
「川中島白桃」は、長野市の川中島地区で発見された晩生品種で、やや硬めの食感と強い甘みが特徴です。
皮はきめ細かい濃紅色で、大ぶりで見栄えもよく、贈答用にも人気があります。
果肉が崩れにくく、そのまま冷やして食べるほか、スライスしてヨーグルトなどに添えたり、加熱調理に使ったりと広く活用できます。
あかつき:甘みと酸味のバランスがよい人気品種
あかつきは、「白鳳系統」の代表的な桃で、日本一生産量が多い品種です。
神奈川県の果樹試験場で育成が行われ、1979年に品種登録されました。
今では福島県で主力の品種となっています。
甘みと酸味のバランスが優れ、ほどよい硬さの果肉には果汁も多く、老若男女問わず人気があります。
なつっこ:日持ちの良さと強い甘味が特徴
なつっこは、長野県の果樹試験場で開発された比較的新しい品種で、日持ちの良さと濃厚な甘みを兼ね備えています。
緻密な果肉で締まりがあり、喉を潤すほど果汁が多い品種です。
全国的な流通量は多くないものの、その品質の高さから注目されており、とくに山梨・長野・新潟などの中部地方では夏の主力品種になりつつあります。
まどか:甘味が強い大玉の品種
まどかは、ひときわ大玉で、糖度が高く、果肉がしっかりと詰まっているのが特徴の品種です。
福島県で多く栽培されており、「あかつき」よりも収穫時期が10日ほど遅く、8月上旬から中旬にかけて旬を迎えます。
夢桃香:贈答にも適した日持ちの良い高級品種
夢桃香は、山梨県笛吹市で開発された新しい白桃で、硬肉性でありながら、高糖度と日持ちの良さを兼ね備えた品種です。
2022年頃から本格的に出回り始め、現在は山梨県でのみ栽培されています。
その美しい見た目と豊かな甘みから、家庭用だけでなく、贈答用としても高く評価されています。
希少な黄桃の品種

生産量や市場に出回る時期が限られている黄桃は、希少価値の高い種類の桃です。
白桃とは異なる濃厚な風味と鮮やかな色合いから、特別な果物として扱われることもあります。
生で流通する黄桃として注目を集めているのが「黄金桃」という品種です。
黄金桃:濃厚な甘みと鮮やかな黄色い果肉
黄金桃は、川中島白桃から偶然に見つかった品種で、果皮も果肉も鮮やかな黄金色をしています。
やや硬めの食感ながら、噛むとあふれるほど果汁が多く、強い甘みの中にほど良い酸味もあるのが特徴です。
黄金桃は、「ゴールデンピーチ」との別名があるほど華やかな色合いで、ウエディングケーキなどにも活用されています。
まとめ
桃は、果肉の色で黄桃と白桃に大別でき、品種によって果肉の硬さも大きく異なります。
国内で生で流通する桃は、白桃が主流です。
白鳳や清水白桃などの柔らかい白桃は、果汁が多く、甘味もとくに強く感じられるのが特徴です。
川中島白桃やあかつきなど、硬めの白桃は、ほどよい歯ごたえがあり、日持ちの良さから贈答用にも重宝されます。
また、黄桃である黄金桃も注目を集めている品種で、白桃にはない濃厚な味わいと美しい色合いが魅力です。
味や硬さの好みに応じて、自分にぴったりの桃を見つけてみてください。