近年、キャッシュレス決済の普及も相まって国内のポイントサービスの市場規模は2兆円を超える規模まで成長しており、年々増加傾向にあります。
日々の買い物や公共料金の支払等、決済手段を工夫してポイントを貯めるポイ活に励んでいる人も増えているのが現状です。
本記事では「ポイ活はどのようにおこなわれているのか」「ポイ活で確定申告が必要なケースがあるのか」を徹底解説します。
ポイ活の実態
ポイ活とは、買い物をすることによってポイントを貯めたり、貯めたポイントを活用したりする活動です。
以下見出しでは、多様化するポイ活の方法やポイントの種類などを紹介していきます。
ポイントには大きく分けて「共通ポイント」と「独自ポイント」がある
共通ポイントとは、楽天ポイントやVポイントなど会社が異なる複数の店舗でも利用できるポイントです。
ユーザー数が多く、店舗側からしてもシステム導入が簡単な反面、顧客の囲い込みには向いていません。
一方で独自ポイントとは、指定されたお店でしか使えないポイントです。顧客の囲い込みには効果的ですが、他の店では使えないため集客力は低いです。
ポイントはどうやって貯めるの?決済だけじゃない多様化するポイ活
ポイントは、店舗や通販サイトでポイントを貯める方法が代表的です。
店舗・通販サイトが提携しているスマホ決済やクレジットカードなどの決済手段を利用してポイントを貯められます。
他には、通販サイトでも独自のポイントサービスを展開しているケースがあります。
店舗によっては、ポイントカードや専用アプリをダウンロードして決済時に提示して、ポイントの付与が可能です。
また近年では、ポイントサイトと呼ばれるWebサービスが増えてきています。
指定の商品を購入した上でレビューを投稿したり、ポイントサイトで定められた条件を達成したりするとポイントをもらえる流れです。
貯めたポイントはAmazonギフト券や現金、提携するサービスのポイントなどに交換できます。
ポイ活をすることで確定申告は必要になる?
ポイ活の内容によって、税金が課税されるかどうかはケースバイケースです。
どのようなポイ活が課税されるのか、具体的な例を用いながら解説します。
課税の対象となってしまうポイ活のケース
ポイ活が税金の課税の対象となるかどうかのキーワードは、経済的利益かどうかです。
具体的には「ポイントを受けることでお金を受け取ったのと同じ状況になる」ケースが該当します。
課税所得として認識されるのは前述の「共通ポイント」を使用するときです。
課税される場合、どのような所得の区分に分けられるのか具体的に説明します。
一時所得に該当すると判断される場合
一時所得に該当するのは、給与所得など他の所得区分に該当しない収入の中で、営利目的でない臨時的所得です。
つまり、対価として見返りを期待できない所得である点が要件となります。
具体的には、抽選やキャンペーンで当選して付与されたポイントを使用した場合が該当するケースです。
使用相当額を一時所得の算出にあたって総収入金額に算入するため、金額によっては確定申告の対象となる可能性があります。
例えば、楽天市場やAmazonなどECサイトにてショッピングしたときや、クレジットカードで支払いをおこなった際に付与されたポイントは一時所得に該当します。
雑所得に該当すると判断される場合
雑所得は、他の所得区分に該当せず、さらに一時所得にも該当しない所得を指します。
例えば、副業のアフィリエイトなど継続的な業務で取得したポイントや、アンケートへの回答などタスクをこなす対価としてポイントを取得した場合です。
課税の対象とならないポイ活のケース
ポイントを使用せず保有しているだけの状態であれば、経済的利益に該当しないため税金の課税対象外となります。
ポイントを貯めているだけでは、収入と判定されません。
また、ドラッグストアなどの企業グループが発行している「独自ポイント」も課税対象外です。
独自ポイントは共通ポイントとは異なり、値引きと同一視されるため使用しても課税の対象とはなりません。
ひとくくりにポイントといっても「どのような条件で取得したのか」「どのような性質のポイントを取得したのか」によって税金が課税されるかどうかが変わるので注意が必要です。
ポイ活で確定申告・税金の支払いが必要な金額はいくらから?
「確定申告が必要となるか」「所得がいくらから必要になるか」は、個人事業主や給与所得者など働き方によって異なります。
以下の見出しでは、働き方の違いにおける確定申告の注意点を解説します。
個人事業主の場合
そもそも個人事業主は、年末調整の対象ではないため原則確定申告をおこないます。
ポイ活の有無は関係なく、年間合計所得金額が基礎控除の48万円を超えれば確定申告が必要です。
給与所得者(会社員など)の場合
会社員などの給与所得者は年末調整をおこなうのが一般的ですが、副業等をしている場合は確定申告が必要です。
所得の区分によって金額の基準が異なり、具体的には、以下のとおりです。
給与所得者で確定申告が必要なケース
- 一時所得の場合:年間90万円を超えたとき
- 雑所得の場合:課税金額が年間20万円を超えたとき
給与所得者以外の場合
専業主婦(主夫)など給与所得がない方は、所得控除額を差し引いた後に所得があれば確定申告が必要です。
具体的な基準は、所得区分別に以下のとおりとなります。
- 一時所得の場合:年間146万円を超えたとき
- 雑所得の場合:課税金額が年間48万円を超えたとき
確定申告のやり方
では実際に確定申告が必要となった場合、どのように手続きを進めればよいでしょうか。
以下の見出しでは、具体的に必要書類や手続きのポイントを解説します。
確定申告に必要な書類
確定申告には基本的に収支報告書や源泉徴収票など、1年間の収入を示す証票書類が必要です。
加えて、申告をおこなう事項に付随する資料を提出しなければいけません。
例えば、 医療費控除を確定申告でおこないたい場合は医療費の領収書が必要です。
ただし、中にはポイントサイトの運営会社など、収入を示す書類が発行されないケースもあります。
上記のケースでは、自身で別途収支を記載した書類やデータを提出できるように準備しなければいけません。
確定申告は税務署に書類を提出するかe-Taxでおこなう
確定申告は、以下の2つの申告方法があります。
- 管轄の税務署へ書類を持参ないし郵送する方法
- e-Taxで送信する方法
確定申告の時期になると、毎年各地の税務署で確定申告の相談会が開かれます。
不安がある場合は税務署に直接赴き、職員や知見のあるスタッフに相談しながら確定申告を進めるのがおすすめです。
ただし、多くの場合は定員が決められており、事前に予約を要するケースがほとんどです。
あらかじめ日程を押さえて、事前予約をおこなってから税務署に伺いましょう。
一方でe-Taxは確定申告に慣れている人におすすめです。
パソコンやスマホがあれば自宅で手続きが完了でき、申告だけでなく税金の納付や還付手続きまでスマートに済ませられます。
確定申告に関する注意点
複数の副業をしているケースでは、1つひとつの収入が少額でも、合算した金額が確定申告の要件を満たす場合は税金が課税されるため注意が必要です。
また、所得税は雑所得が年間20万円以下では確定申告は不要ですが、住民税は納税しなければなりません。
給与所得以外での所得が発生すれば、金額にかかわらず管轄の市町村へ確定申告が必要です。
ポイ活の税金に関するよくある質問
ここではポイ活の副業によって会社にバレてしまうのかなど、世の中の多くの人がポイ活をしていく上で気になるトピックスについて解説します。
ポイ活の副業は会社にバレない?
住民税額が変動することで、副業していることが会社にバレる場合があります。
確定申告することで住民税が高くなるためです。
会社に副業を知られたくないのであれば、住民税の納付を特別徴収ではなく、自分で納付する普通徴収を選択しましょう。
普通徴収であれば住民税額は増えないため、副業していることは会社にバレません。
学生がポイ活で稼いだ収入は税金がかかる?
学生でも収入額やポイ活の種類によっては税金がかかります。
定職を持たない学生の場合、所得の種類によって確定申告が必要になる金額が異なります。
一時所得の場合は50万円以上、雑所得の場合は20万円以上で確定申告が必要です。
ポイ活で得たポイントを現金化したら税金はかかる?
ポイ活で得たポイントを現金化すると課税の対象となります。
課税の対象となるタイミングは、ポイントが使用されたときだけでなく、商品や現金と交換したタイミングです。
確定申告するべき所得とみなされる収入の種類に注意し、正しく申告しましょう。
ポイ活で得たビットコインは税金がかかる?
BitWalkなどのサービスで得たビットコインはポイントの一種で、臨時・偶発的に発生したポイントには該当しないため課税対象外です。
ただし、いわゆるエアドロップのような、キャンペーンなどを通じて価値のある仮想通貨を無償で得た場合は課税対象の利益として見られる可能性があります。
また、保有しているビットコインを売却すると、取引によって生じた利益は所得とみなされて課税の対象となります。
まとめ
ポイ活は日常生活を工夫してお得にポイントが貯まり、とても楽しい活動です。
しかし、場合によっては確定申告が必要になります。確定申告の要件も踏まえた上うえで、賢くポイ活を楽しみましょう。