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砂肝は歯ごたえのある食感とクセのない味わいで、焼き鳥でも人気が高い部位のひとつです。
鶏もも肉や鶏むね肉など、普通の肉とは異なる部位であるため、どのような栄養素が含まれているか気になる方も多いでしょう。
この記事では、砂肝に含まれる栄養素の働きや注意すべき成分、おすすめのレシピを紹介します。
砂肝の主な栄養素と働き
砂肝は、多くの肉類と比べても脂質が少なく低カロリーながら、健康維持に役立つ栄養素が豊富に含まれた食品です。
とくに、たんぱく質が豊富なほか、鉄や亜鉛などのミネラルとビタミンB群も多く含まれます。
砂肝100g当たりのカロリーや主な栄養素の含有量は、下表のとおりです。
栄養素など | 砂肝100g当たり の含有量 |
---|---|
カロリー | 86kcal |
たんぱく質 | 18.3g |
脂質 | 1.8g |
鉄 | 2.5mg |
亜鉛 | 2.8mg |
ビタミンB12 | 1.7μg |
葉酸 | 36μg |
続いて、砂肝の主な栄養素とその働きについて詳しく解説します。
体のもとになる「たんぱく質」
たんぱく質は、皮膚や髪、筋肉、臓器など、人の体を構成する成分です。
体の機能を調整する酵素やホルモン、免疫に関わる抗体の材料にもなる成分であり、体にとって重要な栄養素といえます。
また、糖質や脂質が不足した際に、身体活動のエネルギー源として使われるのもたんぱく質です。
砂肝は鶏の胃袋にあたり、食べ物をすりつぶすために筋肉が発達した部位であるため、たんぱく質を豊富に含んでいます。
たんぱく質が不足すると筋肉量が減少し、基礎代謝や体力が低下します。
さらに、疲れやすくなる、むくみが生じる、感染症にかかりやすくなるなど、健康への影響が現れるでしょう。
健康な体を維持するために、たんぱく質の十分な摂取を心掛けてください。
貧血予防に欠かせない「鉄分」
鉄分は、血液中の赤血球や、筋肉に存在しているミネラルです。
赤血球ではヘモグロビンの構成成分として、体中へ酸素を運ぶ役割を担っています。
筋肉のミオグロビンに含まれる鉄分には、血液から受け取った酸素を筋肉へ取り込む働きがあります。
鉄の摂取量が少なければ全身で酸素が不足し、疲労感や頭痛、息切れなどの貧血症状が現れるでしょう。
鉄分は肝臓や脾臓、骨髄に蓄えられています。体内で鉄分が不足すると、臓器に蓄積されている鉄分が利用されます。
貧血症状が見られたときは、体内に蓄積されていた鉄分さえも不足している状態です。
鉄分を意識的に摂取して、貧血を防ぎましょう。
血液の生成をサポートする「ビタミンB12」
ビタミンB12は、遺伝情報をもつDNAとRNAや、たんぱく質の合成をサポートする栄養素です。
とくに、血液に含まれる赤血球の生成に深く関わっています。
ビタミンB12が不足すると、正常な赤血球が作られなくなり、貧血症状が現れるでしょう。
赤血球の寿命は約4か月とされており、体内では常に新しい赤血球が作られています。
赤血球をスムーズに作り出すために、こまめにビタミンB12を摂取しましょう。
味覚を正常に保つ「亜鉛」
亜鉛は、細胞の新陳代謝を助けるミネラルです。
肌の新陳代謝である「ターンオーバー」のサイクルが整うと、メラニン色素が排出されて、シミができにくくなるでしょう。
舌で味を感じ取る器官「味蕾」の新陳代謝をサポートし、味覚を維持することも亜鉛の役割です。
亜鉛は免疫機能や生殖機能にも関わっており、重要なミネラルのひとつといえます。
妊婦さんに摂ってほしい「葉酸」
葉酸は、ビタミンB群の一種です。
DNAとRNA、たんぱく質の合成を助ける働きがあるため、細胞の増殖が盛んな胎児や乳幼児には葉酸が欠かせません。
とくに、妊娠初期の妊婦において葉酸の摂取が不足すると、胎児に「神経管閉鎖障害」という先天異常が起こる可能性が高まります。
そのため、妊娠初期の女性はもちろん、妊娠を予定している女性も葉酸の十分な摂取が推奨されています。
葉酸はビタミンB12とともに、赤血球の生成にも関わります。男性や子ども、年配の方にとっても、葉酸は大切な栄養素です。
砂肝は低カロリーでダイエットにおすすめ
砂肝100g当たりのカロリーは86kcalです。
鶏もも肉100g当たりのカロリーは190kcal、鶏むね肉では133kcalであることからも、砂肝のカロリーの低さがわかります。
さらに、脂質も砂肝100g当たり1.8gと少ないため、砂肝はダイエット中の食事に最適です。
低糖質だが調理法に注意
砂肝に含まれる糖質はほぼ0gです。糖質の摂取量を抑えたい方でも安心して食べられます。
しかし、調理方法によっては糖質制限やダイエットに向かない食べ物になってしまいます。
焼き鳥の甘辛いタレには糖質が含まれるため、焼き鳥で砂肝を食べるときは塩の味付けで食べるようにしましょう。
唐揚げも砂肝のおいしい食べ方のひとつですが、衣を付けて油で揚げており、脂質の摂取量が多くなってしまいます。
ダイエット中に砂肝の唐揚げを食べることは控えましょう。
砂肝の食べ過ぎで注意したい成分
低糖質かつ低脂質な砂肝は、ヘルシーな食材ですが、食べ過ぎると健康を害するおそれもあります。
砂肝に含まれる、過剰摂取に注意したい成分についても知っておきましょう。
コレステロール
砂肝には、コレステロールが多く含まれています。
コレステロールとは、体内で細胞やホルモン、脂質の消化吸収を助ける胆汁酸の材料になる成分です。
体に必要なものではありますが、摂り過ぎると脂質異常症や動脈硬化につながります。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、コレステロールの摂取量を200mg/日未満にとどめることが望ましいとされています。
砂肝100g当たりのコレステロール含有量は200mgです。
そのため、砂肝を1日に100g以上摂取したり、何日も続けて食べたりすることは避けましょう。
プリン体
砂肝100gに含まれるプリン体の量は、約140mgとやや多めです。
プリン体は細胞の核に含まれる物質なので、肉や魚だけではなく、穀物、野菜などのさまざまな食材に含まれています。
とくに、細胞数が多い食材や、細胞分裂が盛んな部位からなる食材は、プリン体を多く含むため注意が必要です。
体内に取り込まれたプリン体は通常、尿酸に作り替えられて排出されます。
しかし、プリン体を摂り過ぎると排出が追いつかず、血液中に尿酸がたまり、高尿酸血症になるのです。
さらに、尿酸が結晶化して関節に沈着すれば、痛風を発症します。
尿酸値が気になる方は、砂肝を食べ過ぎないようにしましょう。
砂肝のおすすめレシピ3選
栄養豊富な砂肝を、おいしくヘルシーに食べられる3つのレシピを紹介します。
砂肝のポン酢和え
- 鍋に湯を沸かし、砂肝を5分ほどゆでる。
- 1. のアクを洗い流して水気を拭き取り、5mm幅にスライスする。
- ボウルにポン酢、すりおろしたにんにく、ごま油を入れて混ぜ合わせ、2. を加えて和える。
- 器に盛り付け、小口切りにした青ネギを振る。
ごま油とにんにくの香りが食欲をそそる一品です。
ゆでることで砂肝の余分な脂肪が落ちるため、摂取カロリーを抑えられます。
ごま油は香り付けに加える程度で、少量の使用にとどめるようにしましょう。
砂肝のネギ塩炒め
- 長ネギはみじん切りにして、鶏ガラスープの素、塩、酒、レモン汁と合わせておく。
- 砂肝は白色の銀皮を取り除き、サラダ油を引いて加熱したフライパンで炒める。
- 砂肝に火が通ったら、1. を加えてさっと炒め合わせる。
- 器に盛り付け、粗びき黒こしょうを振る。
長ネギの風味とレモン汁の酸味で、爽やかに食べられる炒め物です。
レモン汁に含まれるビタミンCには、鉄分の吸収率を高める作用があります。
この料理なら、砂肝の鉄分を効率よく吸収できるでしょう。
砂肝と生姜の煮込み
- 砂肝は白色の銀皮を取り除き、5mm幅に切り込みを入れる。生姜はせん切りにする。
- 鍋に水、醤油、みりん、酒を入れて煮立てる。1. を加えて落とし蓋をして、10分ほど煮込む。
- 落とし蓋を取り、さらに5分ほど加熱して汁を煮詰める。
濃いめの味付けと生姜の風味で、ご飯が進む一品です。
油を使わずに煮込んで調理するため、脂質の摂取量を抑えられます。
まとめ
砂肝はたんぱく質や鉄分などを含む、栄養豊富な食材です。
糖質や脂質の含有量が少なく低カロリーなため、ダイエット中の方も安心して食べられるでしょう。
ただし、おいしいからといって食べ過ぎると、コレステロールやプリン体を過剰摂取して、健康を損なうおそれがあります。
適量の砂肝を食事に取り入れて、ダイエットや健康維持に役立ててください。