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スーパーフードとして注目されている「ごま」。
栽培の歴史は非常に古く、ナイル川流域では紀元前3000年以前から栽培されていました。
日本でも、縄文後期には伝来しており、奈良時代にはごま油が用いられた記録も残っています。
現代でも、ごまは身近で頼りになる食材のひとつです。料理に風味を与えてくれるだけでなく、小さなひと粒ひと粒の中に、ぎゅっと栄養が詰まっています。
この記事では、ごまの栄養成分、種類や特徴、効果的な食べ方などについて詳しく解説します。
ごまの主な栄養素や機能性成分とその働き
ごまは、とても栄養価が高い食品です。いりごまの主な栄養素の含有量を、下表にまとめます。
栄養素 | 含有量 (100g当たり) |
---|---|
たんぱく質 | 20.3g |
脂質 | 54.2g |
食物繊維 | 12.6g |
ビタミンB1 | 0.49mg |
ビタミンB6 | 0.64mg |
ビタミンE (α-トコフェロール) | 0.1mg |
カルシウム | 1200mg |
鉄 | 9.9mg |
亜鉛 | 5.9mg |
ごまはスーパーフードともいわれています。
栄養価が高いだけでなく、「ゴマリグナン」などの抗酸化物質も豊富に含まれているためです。
この章では、ごまに含まれる栄養素や、体に役立つ機能性成分について紹介します。
ゴマリグナン
ごまには「ゴマリグナン」と呼ばれる機能性成分が含まれています。ごまの成分として有名な「セサミン」も、ゴマリグナンの一種です。
ポリフェノールの一種でもあるゴマリグナンには、以下のような働きが期待されています。
①抗炎症作用
ゴマグリナンは体内で、炎症性物質の過剰な産生を抑制し、炎症を抑える働きがあることが分かっています。
②肝臓の保護
ゴマリグナンは、肝臓へのさまざまな働きも期待されている物質です。肝臓で脂肪への抗酸化活性を高めたり、アルコールの代謝を改善したりするといった報告があります。
③生活習慣病の予防
ゴマリグナンは抗酸化作用をもち、体内で酸化ストレスを軽減します。
セサミンには、脂肪酸の合成・分解を助けたり、コレステロール値を下げたりする働きも期待され、研究対象となっています。
ごまを食生活に取り入れることで、生活習慣病の予防にも役立つでしょう。
不飽和脂肪酸
ごまには、不飽和脂肪酸である「オレイン酸」と「リノール酸」が豊富です。
どちらも、摂取しても血中コレステロール値を上げにくいとされています。
リノール酸は、体内で合成できない必須脂肪酸でもあり、適量を摂取することで皮膚の健康維持などに役立ちます。
また近年では、リノール酸の適度な摂取が、冠動脈疾患の防止につながることが期待されています。
ビタミンB群
ごまからは、体内で代謝を助ける働きがある、ビタミンB群も摂取できます。
とくに、ビタミンB1、ビタミンB6、ナイアシンが多く含まれています。
ビタミンB1は、糖質を燃やしてエネルギーに変えるために欠かせません。不足すると、疲労を感じやすくなったりします。
ビタミンB6は、皮膚の健康維持に必要で、きれいな肌や髪の維持にも役立ちます。
ナイアシンは、糖質・脂質・タンパク質の代謝や、DNA・脂肪・ステロイドホルモンの合成など、体内のさまざまな生命活動に関わる栄養素です。
ビタミンE
ビタミンEは、肌や血管の老化の原因となる活性酸素の動きを抑えるため、「若返りのビタミン」とも呼ばれています。
細胞膜や、血中のLDLコレステロールの酸化を抑制することが知られています。
脂溶性であるビタミンEは、炒めものなどで油脂と一緒に摂取すると、効率よく吸収できる栄養素です。ごまは食材自体に油脂が含まれるため、効果的にビタミンEを摂れます。
カルシウム
ごまは、カルシウムが非常に豊富な食品のひとつです。
カルシウムは、人体に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯の材料として欠かせません。不足すると、骨が弱くなり、骨粗しょう症を招いたりします。
カルシウムは、骨や歯以外にも分布していて、筋肉や神経の働きを正常に保つうえでも大切なミネラルです。
鉄分
鉄分が足りずに起こる「鉄欠乏性貧血」は、とくに女性に多くみられます。
体内で鉄分の貯蔵がほぼない「かくれ貧血」を含めると、約4割の女性が該当するともいわれています。
貧血からくる疲れやすさ、集中力の低下や免疫機能の低下を防ぐためにも、鉄分豊富なごまがおすすめです。
ごま30gで、一日に必要な鉄のおよそ4分の1を摂取できます。
貧血の改善には、赤血球を作るために必要な、ビタミンB12と葉酸も一緒に摂るとよいでしょう。
ビタミンB12は肉や魚介類などの動物性食品に、葉酸は海藻・野菜などに多く含まれます。
亜鉛
亜鉛は、酵素の構成成分になるミネラルで、活性酸素の除去やDNAの合成など、体内の重要な働きに関わっています。
皮膚の新陳代謝と、髪を構成するケラチンの合成にも、亜鉛は欠かせません。肌のかさつき、皮膚炎、髪のお悩みがある方は、亜鉛が不足している場合があります。
食物繊維
ごまには、便秘の予防に役立つ食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維には、食後の血糖値の上昇を抑える作用もあります。食物繊維が多い食事をとると、栄養素がゆっくりと消化吸収されるため、食後の血糖値が急上昇しにくいのです。
食後の血糖値が安定することで、肥満の予防にもつながります。
ごまの栄養を効果的にとる方法とおすすめレシピ
ごまの栄養を効果的に摂るには「すりごま」がおすすめです。固く厚い皮がすりつぶされ、栄養素を吸収しやすくなっています。
ふりかけたり混ぜたりして手軽に使えるうえに、料理に香りやコクが出ておいしくなります。毎日、大さじ1~2杯分を目安に摂るとよいでしょう。
ここでは、すりごまを使った3つのレシピを紹介します。
ほうれん草のごまあえ
すりごまを使った副菜の定番レシピです。緑黄色野菜のほうれん草を使うと、さまざまなビタミンやミネラルも補えます。
材料(4人前)
- ほうれん草:1束
- 塩:適量
- <A>
・すりごま(白):15g
・砂糖:小さじ2
・しょうゆ:大さじ1
作り方
- 鍋に熱湯を沸かして、少量の塩を加えます。ほうれん草の色が鮮やかになるまで短時間茹でたら、すぐに冷水に取って冷まして、水気を絞ります。
- 茹でたほうれん草を3~4cmの幅に切ります。
- <A>の3つの材料を混ぜ合わせて、あえ衣を作ります。
- あえ衣をほうれん草に加え、さっと混ぜたら完成です。
ごまドレッシング
すりごまがあれば、ごまドレッシングも自作できます。混ぜ合わせるだけなので、ごまの摂取方法に迷ったときにもおすすめです。
材料(4人前)
- ポン酢:大さじ4
- マヨネーズ:小さじ4
- すりごま(白):大さじ2
- ごま(白):大さじ2
作り方
材料すべてを混ぜ合わせるだけで、あっという間に完成です。
ごまがつお
かつおのたたきに、すりごまなどが入ったタレを絡めた一品です。ポン酢を使っているので、さっぱりと食べられます。
材料(4人前)
- かつおのたたき:300g
- <A>
・すりごま(白):大さじ4
・ごま(白):適量
・ポン酢:大さじ4
・ごま油:大さじ1
作り方
- かつおのたたきを、1cmほどの食べやすい厚さに切ります。
- <A>の材料をかつおのたたきと混ぜ合わせて、器に盛ったら完成です。
ごまの特徴や種類
ごまは、皮の色によって主に3種類に分けられます。栄養価や成分は、大きくは変わらないものの、わずかな違いもあります。
- 白ごま
世界各地で栽培されている、最もポピュラーなごまです。マイルドで香ばしく、やさしい色合いであるため、さまざまな料理に使われています。ごま油の原料としてもよく用いられます。 - 金ごま
明るい黄金色の外皮がきれいで、とても香りが高く、コクも豊かなごまです。ごまの中でも、とくに高級品とされます。 - 黒ごま
わずかですが、他のごまより抗酸化作用が強いといわれています。苦味があり、香りが強い一方、脂質は少なくあっさりしています。
まとめ
ごまは栄養価が高い食品です。ビタミン・ミネラル・食物繊維も豊富なため、体調を整えるうえでも役立ちます。
セサミンなどのゴマリグナンを含むことでも注目を集めており、肝臓を守る働きなど、さまざまな効果が期待されています。
一度にたくさん食べられる食品ではないため、1日に大さじ1~2杯分を目安に、継続的に摂取するとよいでしょう。
栄養摂取を重視する場合は、とくにすりごまがおすすめです。