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ふるさと納税は、任意の自治体に寄附できる制度です。
ふるさと納税を行うことで税控除が受けられたり、返礼品を受け取ることができます。
原則として、寄附額のうち2,000円を除いた金額が控除の対象になります。
ただし、寄附できる上限額は収入や家族構成などによって異なります。
目的が返礼品・税額控除のどちらであっても、税控除のための確定申告手続きには手間がかかりました。
これまで、ふるさと納税の確定申告手続きが面倒だと感じていた人も多いでしょう。
しかし、この手続きが簡素化されることになりました。
そこでこの記事では、ふるさと納税の手続きの簡素化について解説します。
どの部分が簡素化されたのか、簡素化の恩恵を受けられる人、受けられない人についてもまとめました。
ふるさと納税の手続きが簡素化された
令和3年分から、ふるさと納税の確定申告の手続きが簡素化されました。
手続きのなにが簡単になったのか、簡素化されることでどのようなメリットがあるかを確認しておきましょう。
何が変わったのか
これまでは、寄附ごとに寄附金受領証明書が必要でした。 しかし令和3年分からは、寄附金控除に関する証明書が一枚あれば、簡単に確定申告の手続きができるのです。
寄附金控除に関する証明書とは
国税庁長官が指定した特定事業者を介してふるさと納税をすると発行される、控除の証明書。
以下の項目が記載されている。
- 寄附者の氏名、住所
- 年間の寄附額
- 特定事業者が管理している寄附番号
- 寄附年月日
- 寄附先の名称及び法人番号
- その他参考となるべき事項
「寄附金控除に関する証明書」を発行できる特定事業者は、地方公共団体と特定寄附金の仲介に関する契約を締結している事業者で、ふるさと納税のポータルサイトを運営している団体です。
ただ規模の小さい団体の場合、特定事業者として認められていないこともあります。
簡素化制度を使いたい場合は、ポータルサイトが特定事業者に認定されているかを確認しましょう。
国税庁長官が指定した特定事業者(令和3年7月30日現在)
- ふるなび
- さとふる
- 楽天ふるさと納税
- ふるさとチョイス
- ふるさとパレット
- ふるさとプレミアム
- ふるさとぷらす
- セゾンのふるさと納税
- ANAのふるさと納税
- ふるさと本舗
- 三越伊勢丹ふるさと納税
- JALふるさと納税
国税庁長官が指定した特定事業者は、国税庁のサイトでも確認できます。
変更や追加されることもあるので、事前に確認してから利用しましょう。
簡素化されたことのメリット
寄附金控除に関する証明書の発行により、ふるさと納税の手続きが簡素化したことで、複数の寄附を行いやすくなりました。
これまでは、寄附ごとに「寄附金受領証明書」が必要でした。
寄附金受領証明書は寄附先の自治体が発行するもので、確定申告の際には寄附金受領証明書を1枚ずつ貼り付けて郵送したり、何度もデータを入力したりと手間がかかるものでした。
簡素化されたことにより、複数の寄附をした場合でも1枚の証明書で手続きを完結できます。寄附のたびに発行される受領証明書を、確定申告まで保管する必要もなくなりました。
これまでどおり寄附金受領証明書による手続きもできるので、自分がやりやすい方法を選びましょう。
簡素化が適用されるケース
手続き方法が簡単になったとはいっても、すべての人が恩恵を受けられるわけではありません。
手続きの簡素化で恩恵を受けられるのは、どのような場合なのかを見ていきましょう。
手続きが簡単になる人
手続き簡素化の恩恵を受けられるのは、これまで複数の特定事業者のサイトからふるさと納税をして、複数の自治体に寄附を行い、自分で確定申告していた人です。
これまでは、複数のサイトから複数の自治体に寄附をしていた場合、サイトごとの証明書と自治体ごとの受領書発行が必要でした。
簡素化により自治体ごとの受領書発行が1枚で済むため、手続きの手間が省けるようになるでしょう。
これまで通りの手続き方法の人
これまで通りの手続きで良いのは、ワンストップ特例制度を利用していた人です。
ワンストップ特例制度の利用者は、手続き方法に変更はありません。
ワンストップ特例制度とは
ふるさと納税をした後に確定申告をしなくてもよい制度。 利用条件は、確定申告の必要ない給与所得者であることと、1年間の寄附先が5自治体以内であること。
ワンストップ特例制度を利用しているのは、確定申告が不要な給与所得者です。
年末調整のみで所得税などの清算が終わるため、今回の簡素化による恩恵は残念ながら受けられません。
「寄附金控除に関する証明書」の利用方法
寄附金控除に関する証明書を活用した確定申告の手続き方法を確認しておきましょう。
手続き方法は、3種類あります。
- マイナポータル連携でオンライン手続き
- e-Taxで手続き
- 郵送・持参で手続き
マイナポータル連携でオンライン手続き
マイナポータル連携でオンライン手続きをすると、確定申告書に寄附金控除に関する証明書の情報を自動入力できます。
マイナポータル連携を利用するには、マイナンバーカードと、ICカードリーダーかマイナンバーカード読み取り機能付きのスマートフォンが必要です。
手続きの手順
- ①マイナポータルのアカウントを開設する
- ②「もっとつながる」から、e-Taxと連携する
- ③「もっとつながる」から、連携する民間送達サービス「e-私書箱」の設定をする
- ④マイナポータルからe-私書箱のアカウントを開設
- ⑤ポータルサイトでe-私書箱のアカウントを登録する
令和3年8月現在、ポータルサイト「ふるなび」と「さとふる」はマイナポータル連携が可能となる予定です。
参考:国税庁「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」
参考:国税庁「マイナポータル連携を利用するための準備」
e-Taxで手続き
e-Taxでの手続きは、寄附金控除に関する証明書を、ふるさと納税をしたポータルサイトからアップロードする必要はありますが、オンラインで手続きを完結できます。
「マイナンバーカードやICカードリーダーは持っていない」という人におすすめです。
e-Taxを利用するためには、前もって利用者識別番号を取得するために開始届出書を提出しておく必要があります。
手続きの手順
- ①ポータルサイトから、寄附金控除に関する証明書をダウンロードする
- ②ダウンロードした証明書をe-Tax上で添付する
郵送・持参で手続き
寄附金控除に関する証明書を利用して、税務署に郵送あるいは直接持参する形で手続きすることもできます。
書類を準備するために、まず特定事業者のサイトから証明書データ(XMLデータ)をダウンロードします。
ダウンロードしたデータをQRコード付証明書等作成システム(国税庁提供)で読み込み、PDFファイルを作成します。
作成したPDFファイルをプリントアウトし、確定申告の際に添付して申告します。
※QRコード付証明書等作成システムを利用するには、事前準備セットアップ及びe-Taxソフト事前準備セットアップをインストールする必要があるので注意してください。
※QRコード付証明書等作成システムは令和3年10月頃「寄附金控除に関する証明書」の出力対応する予定です。
手続きの手順
- ①特定事業者のポータルサイトで、寄附金控除に関する証明書をダウンロードする
- ②ダウンロードしたデータをQRコード付証明書等作成システムで読み込む
- ③読み込んだ書類を印刷して、郵送もしくは税務署に持参する
まとめ
令和3年分以降のふるさと納税の確定申告は、手続きが簡素化されます。
複数の自治体に寄附をしていて、なおかつ自分で確定申告をしている人は、簡素化により手続きが楽になります。
利用するポータルサイトによっては、特定事業者に認定されていないこともあるので、事前に確認してから寄附を行いましょう。
国税庁に認定された特定事業者でなければ、簡素化に必要な寄附金控除に関する証明書を発行してもらえません。
特定事業者は変更や変更もあるので、国税庁のホームページで確認してからの利用をおすすめします。
ふるさと納税の手続きには、マイナポータル連携・e-Tax・郵送・持参などの方法があるので、自分がやりやすい方法で手続きを行いましょう。