目次
ぶどうの品種は世界で1万種を超えるといわれています。
この記事ではぶどうを果皮(皮)の色で分けて、フルーツ用の黒系、赤系、黄緑系の3つとワイン用の黒系、白系を紹介します。
同じぶどうでも、品種によって味や旬の時期はさまざま。
どんな違いがあるのかを知って、ぶどうの奥深さと魅力を楽しんでみませんか?
ぶどうの種類は主にフルーツ用とワイン用に分けられる
ぶどうは、フルーツとしてそのまま食べる生食用とワインなどの加工用に分けられ、それぞれ特徴がまったく異なります。
フルーツ用ぶどうで好まれる特徴 | ワイン用ぶどうで好まれる特徴 |
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「甘い」という点以外はほとんど正反対といってもいいでしょう。
フルーツ用はそのまま食べるので甘くて渋みが少ないものが好まれ、皮や種も食べやすいように品種改良されています。
一方、良いワインを造るためには甘み・酸味・渋みがしっかりとあり、皮が厚くて種も大きい方が良いとされています。
フルーツ用ぶどうの品種は果皮の色で3つに分けられる
フルーツ用ぶどうは果皮の色によって、黒系、赤系、黄緑系の3つに分けられます。
果皮の色の違いはアントシアニンという色素の蓄積の差によるもので、アントシアニンが多いほど濃い色になります。
黒色系のぶどう
黒色系のぶどうは、深い味わいで香りが強いのが特徴です。
ぶどうといえば、真っ先に黒に近い紫色を想像する方も多いのではないでしょうか。
黒色系ぶどうで特に人気の品種を5つ紹介します。
巨峰
巨峰(きょほう)の特徴
- 果皮の色が濃い
- 粒が大きい
- 皮はむきやすく、むいて食べる
- 旬は8月頃~9月頃
黒色系ぶどうといえば巨峰というくらい、人気の品種です。
「巨峰」という名前は、巨峰が誕生した育成地から見える富士山にちなんで名づけられたといわれています。
元々は種ありの品種でしたが、食べやすい種なしの巨峰も増えています。
ピオーネ
ピオーネの特徴
- 巨峰とマスカットの交配種
- 巨峰の濃厚なジューシーさとマスカットのさわやかな香りをあわせもっている
- 皮をむいて食べる
- 旬は8月下旬頃~10月上旬頃
巨峰とマスカットの特徴を受け継いだのが「ピオーネ」。
ピオーネもとても人気のある品種で、旬の時期になるとピオーネを使ったデザートが出ることも多いです。
種なしに品種改良されたものは「ニューピオーネ」として販売されています。
藤稔
藤稔(ふじみのり)の特徴
- ピオーネと「井川682号」の交配種
- 一粒がとても大きく、ゴルフボールくらいの大きさになることも
- 甘味が強く、渋みがない
- 旬は8月中旬~9月中旬頃
「藤稔」はぶどうの中でも特に粒が大きく、通常のサイズでも500円玉ほど。
一粒で口の中いっぱいに甘みとジューシーさを感じられて、なんともいえない満足感があります。
山梨県のJAふえふき御坂支所から出荷された藤稔のうち、房の形や果皮の色、粒の大きさなどの基準を満たしたものは「大峰(たいほう)」というブランド名をつけられて販売されています。
ウインク
ウインクの特徴
- 房・粒ともに楕円形をしている
- 酸味と渋みが少なく、さっぱりした味わい
- 果皮の表面を磨くと、とてもきれいなツヤが出る
- 旬は9月中旬~10月中旬頃
房も粒も楕円形という独特の見た目の「ウインク」。
品種登録する際、当初は「モナリザ」という名前で出願していたそうです。
果皮を軽く磨くとツヤが出て、芸術品のような美しさになるからでしょうか。
ナガノパープル
ナガノパープルの特徴
- 「巨峰」と「リザマート」の交配種で、長野県で誕生した
- 2004年に品種登録された新しい品種で、2019年までは長野県でしか栽培できなかった
- 巨峰とピオーネよりも小粒で果皮が薄い
- 皮ごと食べられて、皮の渋みと果肉のあっさりした甘味・酸味とのハーモニーを楽しめる
- 旬は9月中旬~9月下旬頃
名前のとおり、長野県で誕生した「ナガノパープル」。
農林水産省に品種登録をすると育成者権が発生し、一定の期間は栽培や加工を独占することができます。
そのため、ナガノパープルは2019年までは長野県でのみ栽培が許されていましたが、現在は解禁。
他県でも栽培されつつあり、今後は各地でさらに流通量が増えるかもしれません。
赤色系のぶどう
酸味が少なく、上品な甘みが特徴の赤色系のぶどう。
赤色系ぶどうの人気品種を3つ紹介します。
デラウェア
デラウェアの特徴
- アメリカ原産の自然交雑種とされ、オハイオ州デラウェアで地名にちなんで「デラウェア」と名づけられた
- 小粒ながらしっかりした甘味とほどよい酸味
- 種なしで、つまむだけで果肉が出てくるので食べやすい
- 旬は6月頃~8月頃
これまで紹介したような人間の手による品種改良ではなく、自然に交配されて生まれた品種といわれています。
日本に入ってきたのは明治時代の1872年頃。
巨峰をはじめとしたぶどうが高級品だった時代、手頃な価格のデラウェアは庶民に広く親しまれました。
現在でも小粒なぶどうの代表格としてスーパーでよく見かけます。
クイーンニーナ
クイーンニーナの特徴
- 2011年に品種登録された新しい品種
- 粒が大きく、果皮は明るい赤色をしている
- 歯ごたえのある食感と強い甘みがある
- 皮をむかずに食べられる
- 旬は9月上旬~11月上旬頃
新しい品種で生産数もそれほど多くないためか、価格は高めです。
粒は巨峰やピオーネよりもさらに大きく、歯ごたえのある食感と相まって食べごたえは満点。
渋みがなく甘みが強いため、これから人気が高まるかもしれません。
ルビーロマン
ルビーロマンの特徴
- 石川県のオリジナルブランド
- 高級品として知られ、初競りでは一房100万円以上の値がつくこともある
- 粒が非常に大きく、ルビーのような深みのある赤色
- 甘みがとても強く、酸味と渋みがほとんどない
- 旬は8月中旬~9月上旬頃
石川県でのみ栽培されている「ルビーロマン」は日本一高級なぶどうともいわれ、近年は初競りで一房100万円以上の高値がつきます。
粒の大きさは大粒である巨峰の約2倍。
大人でも一粒で口の中がいっぱいになり、強い甘みが広がります。
機会があれば、ぜひ食べてみてください。
黄緑色系のぶどう
渋みが少なく、さわやかな香りが特徴の黄緑色のぶどう。
青色系や白色系といわれることもあります。
中でも特に人気の高い3品種を見ていきましょう。
シャインマスカット
シャインマスカットの特徴
- ヨーロッパ系の品種「マスカット・オブ・アレキサンドリア」などとアメリカ系の品種を何度もかけあわせて作られた品種
- 粒は楕円で大きく、鮮やかな黄緑色をしている
- 皮ごと食べられる
- 皮のシャリっとした食感とさわやかな香り、豊かな甘みがある
- 旬は8月上旬~9月下旬頃
「シャインマスカット」はフルーツだけでなく、デザートやお菓子などにも使われており、名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
同じ黄緑色系の「マスカット・オブ・アレキサンドリア」は栽培が難しく価格も高いのがネックでしたが、シャインマスカットは日本でも栽培しやすく、価格もその分お手頃に。
完熟すると果皮が黄色くなり、黄色になってから出荷する生産者もいます。
ナイアガラ
ナイアガラの特徴
- アメリカのニューヨーク州ナイアガラで、アメリカ種同士を交配させてできた品種
- 粒の大きさは中程度で、皮はスルっとむける
- 甘みが強く、種のまわりは酸味が強め
- 旬は8月下旬頃~10月中旬頃
「ナイアガラ」は長時間の輸送に向かず、日持ちもしないため、生で食べられるのはほぼ産地のみで、主にワインなどの加工用として用いられています。
日本では北海道と長野で生産量の7割を占めているので、この2道県へ訪れた際に、生食用のナイアガラが売っていないか探すのも楽しそうです。
瀬戸ジャイアンツ(桃太郎ぶどう)
瀬戸ジャイアンツ(桃太郎ぶどう)の特徴
- 岡山県で生まれた品種
- 果皮は黄色に近い黄緑色で、粒はとても大きい
- 高い甘みを持ち、香りはほとんどしない
- 旬は9月上旬~9月下旬頃
お団子が3つくっついたような独特の形状と岡山県の桃太郎伝説にちなみ、「桃太郎ぶどう」とも呼ばれています。
品種名は「瀬戸ジャイアンツ」ですが、「桃太郎ぶどう」は商標登録された名前で、どちらも同じぶどうです。
ワイン用のぶどうは黒系と白系の2種類
ここからはワイン用のぶどうの種類について見ていきましょう。
ワイン用ぶどうの品種は300種以上とも1000種以上ともいわれていますが、実際に栽培されているのは50種ほど。
果皮の色で黒系と白系に分けられ、黒系のぶどうから赤ワインが、白系のぶどうから白ワインが作られます。
黒系ぶどうの主なもの
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- メルロー
- ピノ・ノワール
白系ぶどうの主なもの
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
ワイン用ぶどうは渋みと香りも重要視される
前述したように、フルーツ用ぶどうでは渋みが少ない方が好まれますが、ワイン用ぶどうでは渋みも必要です。
ぶどうの果皮にはタンニンという渋み成分がふくまれていて、タンニンが多いほど渋みがあり、豊かな味わいのワインになります。
また、香りもとても重要。
ワインの香りにはぶどう由来のもの、発酵由来のもの、熟成由来のものなどがあります。
ぶどう由来のものも品種によってさまざまな香りがあるのもワインの面白いところです。
カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴
- 力強く、しっかりした味わい
- 香りはカシスやチェリー、ミントなど
- 若い内はタンニンが強く、熟成させるほど奥深い複雑な風味が出る
赤ワインの品種の代表格ともいえる「カベルネ・ソーヴィニヨン」。
原産地はフランスのボルドー地方ですが、アメリカやチリ、オーストラリアなど世界中で栽培されています。
メルロー
メルローの特徴
- タンニンが少なく、まろやかな味わい
- 香りはプラム、ベリーなど
- 長期熟成させなくても、早くから味わえるワインになる
「メルロー」も赤ワイン用の品種ですが、カベルネ・ソーヴィニヨンよりも渋みが少なく、まろやかな口当たりで飲みやすいワインになります。
赤ワインの渋みが苦手な方はメルローのワインを試してみてはいかがでしょうか。
ピノ・ノワール
ピノ・ノワールの特徴
- 繊細でほどよい酸味の味わい
- タンニンは少なめ
- 若い内はベリーやバラなどのさわやかな風味で、熟成させるとスパイシーな風味が出る
「ロマネ・コンティ」に使用されるなど、フランスのブルゴーニュ地方を代表する品種です。
かつては栽培が難しいといわれていましたが、近年ではアメリカのカリフォルニアをはじめとする温暖な地域での栽培もできるようになり、国際的な品種となりました。
シャルドネ
シャルドネの特徴
- ぶどうそのものには個性があまりなく、テロワールごとの特徴を反映しやすい
- 香りは寒冷地ではレモンやライムなどの柑橘系、温暖地ではトロピカルフルーツ系になる
白ワインで最もポピュラーな品種が「シャルドネ」です。
ワイン造りではぶどうそのものだけでなく、テロワールというその土地ごとの気候や地質も風味に大きな影響を与えます。
シャルドネはぶどう自体の個性が弱いため、テロワールの個性を活かしやすいというユニークな特徴を持ちます。
同じシャルドネでもテロワールが違えばまったく違う味になるというのも、ワインの奥深さの一つです。
ソーヴィニヨン・ブラン
ソーヴィニヨン・ブランの特徴
- シャープな味わいとすっきりした酸味
- 晩熟型で熟成させるほど良いワインになる
- 栽培地によって柑橘系のさわやかな香りからフルーティーな香りまでさまざま
古くからフランスで白ワイン用に栽培されていましたが、近年では南米でも人気の品種です。
フランスなど冷涼な土地では柑橘系の香りのしっかりした酸味のあるワインに、ニュージーランドなど温暖な土地ではトロピカルフルーツの香りのまろやかな口当たりのワインになるなど、土地ごとの風味の変化も楽しめます。
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