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ふるさと納税は年々利用者が増えており、寄附を行うポータルサイトも多様化しています。
複数のふるさと納税サイトを併用することで、返礼品の選択肢が広がったり、各サイトの特徴を活かしてより満足度の高い寄附が可能になります。
一方で、寄附の管理が複雑になりやすく、制度上のルールを正しく把握していないと、控除が受けられないといったトラブルにつながる可能性もあります。
この記事では、ふるさと納税で複数サイトを利用する際のメリット・デメリット、注意点、そして正しい管理方法まで、制度に沿ってわかりやすく解説します。
ふるさと納税は複数サイトから寄附しても問題ない

寄附先が異なればサイトを問わず何度でも寄附できる
ふるさと納税は、1年間に何度でも、複数の自治体に対して寄附を行うことができます。
使用するポータルサイトに制限はなく、どのサイトを経由しても制度上の違いはありません。
たとえば、ある返礼品がAサイトには掲載されていなくても、Bサイトでは取り扱われているという場合もあります。
このようなケースでは、必要に応じて複数サイトを使い分けることが可能です。
控除申請の手続きはサイトごとではないので安心
ふるさと納税の控除申請は、「確定申告」または「ワンストップ特例制度」のいずれかを通じて行います。
控除申請は利用したサイトごとに行うのではなく、どちらかの方法でまとめて行います。
そのため、複数のサイトを経由して寄附しても手続き上の問題はありません。
ただし、ワンストップ特例制度には「1年間で寄附先が5自治体以内」という条件があります。
サイト数に制限はないものの、寄附先の自治体数が6以上になると、確定申告による手続きが必要になる点には注意が必要です。
複数サイトを利用する4つのメリット

1. 返礼品ラインアップの違いを比較できる
各ポータルサイトで掲載されている返礼品には違いがあります。
自治体がどのサイトに登録しているか、また同じ自治体でもサイトごとに掲載している返礼品が異なるケースがあるため、希望する品を探しやすくなります。
たとえば、地域の特産品や期間限定の返礼品は、一部のサイトでしか取り扱われていないこともあります。
複数サイトを確認することで、より希望に近い返礼品を見つけられる可能性が高まります。
2. 在庫切れを回避しやすい
人気の返礼品は、時期によって在庫切れとなることがあります。
しかし、あるサイトでは申込み終了でも、他サイトではまだ受付中ということも少なくありません。
このように、複数サイトを併用することで在庫状況の違いを活かし、希望する返礼品を確実に申し込むチャンスが広がります。
3. 使いやすい機能を選べる
ポータルサイトごとに検索機能やフィルター、ランキング表示の仕方などに違いがあります。
操作画面やカテゴリの分かりやすさ、レビューの見やすさなどは使い勝手に直結します。
自分にとって使いやすいサイトを組み合わせることで、スムーズに寄附を行えるようになります。
4. キャンペーンや特典の使い分けができる
ポータルサイトごとに、期間限定のキャンペーンや特典の内容が異なります。
たとえば、寄附額に応じたギフト券や、特定の日にポイント還元率がアップするといった施策が行われることがあります。
ふるさと納税の制度では、ポイントなども含めた「募集に要する費用全体を寄附金額の5割以下に収める」という厳格なルールがあります。
複数サイトを比較することで、より希望に合ったタイミングで寄附できるチャンスが広がります。
複数サイトを利用する際の3つのデメリットと注意点

1. 管理が煩雑になりやすい
複数サイトを併用すると、寄附履歴や申請書類がサイトごとに分かれてしまいがちです。
とくにワンストップ特例制度を利用する場合、申請書を寄附先自治体ごとに送付する必要があるため、管理ミスが起きやすくなります。
寄附の内容や送付書類を記録・整理しておく仕組みを自分で整えることが重要です。
2. 控除申請ミスのリスクがある
ワンストップ特例制度を希望している場合、申請書の送付が遅れると無効になる可能性があります。
また、6自治体以上に寄附した場合は、確定申告が必要であることを認識しておかないと、控除されないリスクがあります。
複数サイトを使うと寄附状況の全体像が見えづらくなるため、自治体数や寄附額をこまめに確認することが求められます。
3. 制度改正による影響に注意
ふるさと納税制度は、年ごとにルールの見直しが行われています。
2023年10月の制度改正により、地場産品基準の厳格化や、経費ルールの見直し(募集費用全体を寄附額の5割以下)が行われました。
制度変更により、以前は利用できた特典や返礼品が制限されているケースもあります。
複数サイトを使う際も最新の制度情報をチェックするよう心がけましょう。
制度上のポイント:複数サイト利用でも守るべきルール

寄附先自治体数は合計でカウント
ふるさと納税の申請制度において重要なのは、「何サイト使ったか」ではなく、「何自治体に寄附したか」です。
たとえば、3つのサイトを利用しても、寄附先が合計で4自治体ならワンストップ特例の対象です。
一方で、1つのサイト内で6自治体に寄附すれば、ワンストップ特例は利用できません。
ポイントや特典に関するルールに注意
制度改正により、「募集に要する費用(返礼品調達費、送料、広告費、ポイント発行費用など)を寄附金額の5割以下に収める」というルールが厳格化されました。
過度な送客手数料を支払うポータルサイトの利用を自治体が自粛するなど、制度の趣旨に沿った運用が進められています。
証明書や申請書類の管理が必要
控除申請には、自治体から届く「寄附金受領証明書」が必要です。
複数サイトを使う場合、それぞれのサイトを通じて寄附した自治体から個別に書類が届きます。
書類の保管には注意が必要であり、確定申告やワンストップ特例の申請時期にあわせて、紛失しないようまとめておく工夫が求められます。
複数サイト活用を成功させるポイント

寄附履歴は自分でまとめて一覧化する
スプレッドシートなどを活用して、日付・寄附先・金額・返礼品などの情報を一覧にまとめておくと、申請手続きの際に役立ちます。
ワンストップ特例申請書の提出タイミングを把握する
申請書は寄附した翌年の1月10日までに各自治体に到着する必要があります。
年末ギリギリの寄附はとくに注意が必要で、早めに書類を作成し、発送するスケジュール管理が求められます。
制度改正の最新情報を確認する習慣を持つ
ポータルサイトだけでなく、総務省の公式情報なども併用して確認することで、制度改正による影響をいち早く把握できます。
よくある失敗例とその対策

ケース1:ワンストップ特例の書類を出し忘れた
申請書を送付しなかった場合、制度は無効となります。
確定申告で控除を申請し直すことは可能ですが、手間が増えるため、提出忘れには注意が必要です。
ケース2:気づかずに6自治体以上に寄附していた
ワンストップ特例の対象外となるため、確定申告での申請が必要です。
制度の条件を把握した上で寄附計画を立てることが重要です。
ケース3:寄附金受領証明書を紛失した
再発行の依頼は可能ですが、自治体によっては発行までに時間がかかることがあります。
受け取った段階でスキャンして保存するなど、電子管理も有効です。
まとめ
ふるさと納税で複数のポータルサイトを使うことは、返礼品の選択肢や利便性を広げる有効な方法です。
制度上のルールを理解し、適切に管理を行えば、より満足度の高いふるさと納税体験につながります。
寄附の目的や自治体支援の意義を忘れず、制度本来の意図に沿った活用を心がけましょう。