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のどぐろは、全国的な知名度の上昇とともに、その価値もぐんぐん高まっている高級魚です。
やわらかい身は口の中でとろけるほど脂のりが良く、「白身のトロ」と呼ばれることも。
干物や刺身、煮付けなどの和食はもちろん、アクアパッツァなどの洋風メニューや、濃厚なスープが自慢の「のどぐろラーメン」なども人気があります。
この記事では、そんなのどぐろにスポットライトを当て、旬の時期や主な産地の特徴について解説。
おすすめの調理方法や、のどぐろの干物を美味しく焼くコツもご紹介します。
のどぐろ=アカムツ?値段が高い理由は?
よく耳にする「のどぐろ」という名前は、喉の奥が黒いことから名付けられた通称。
正式名称(標準和名)は「アカムツ(赤鯥)」です。
赤くてムツによく似た見た目が由来ですが、分類上は「ムツ科」ではなく、すり身や練りものの原料として知られるホタルジャコの仲間「ホタルジャコ科」に属しています。
「のどぐろ」という呼び名はもともと日本海側の北陸・山陰地方で使われていたものですが、人気の広がりとともに全国に浸透し、現在では正式名称より有名な呼び名となりました。
のどぐろは、水揚げが少ないうえに年による漁獲量の変動も大きいので、価格が高いことで知られています。
2000年頃からは、テレビ番組などで取り上げられる機会が増えて爆発的な人気となり、さらに希少価値が高まりました。
現在も市場でもっとも高値がつく超高級魚のひとつです。
のどぐろの旬は諸説あり!?
のどぐろは一年中水揚げされる魚で、旬とされる時期にはさまざまな説があります。
代表的なのは、「夏~秋」を旬とする説と、「秋~冬」を旬とする説の2つ。
「夏~秋」が旬とされるのは、この時期に産卵期を迎えるのどぐろが食欲旺盛になり、体に脂肪を蓄えるから。
「秋~冬」が旬とされるのは、寒さに耐えるために体に脂肪が蓄えられることと、冷たい海水で身が締まって美味しくなることが理由とされています。
しかし、そもそものどぐろは一年を通じて脂のりが良い魚で、旬にかかわらず、いつ食べても美味しいのが特徴。
「のどぐろの脂質含量が季節によって変動することはない」という研究結果もあることから(参照元:島根県水産技術センター)、「のどぐろに旬はない」「のどぐろは一年中いつでも旬」などと言われることもあります。
産地や水揚げ漁港によって旬の考え方に違いがある場合もあるので、購入の際にチェックしてみてください。
北陸・山陰・九州が有名!のどぐろの主な産地は?
のどぐろは、日本では青森県~九州の日本海・東シナ海沿岸、北海道~九州の太平洋沿岸の幅広い海域に生息しています。
全国各地の漁港で水揚げされますが、よく知られているのは北陸や山陰、九州の海域で獲れたものです。
ここでは、漁獲量の多い県やのどぐろのブランド化が進む県を中心に、有名な6つの産地をご紹介します。
島根県
全国有数ののどぐろの漁場として知られる島根県沖では、浜田市や大田市などを中心に、古くからのどぐろの底びき網漁が盛んに行われています。
なかでも、のどぐろを「市の魚」に掲げる浜田市は、全国的にも有名な大産地。
8月から翌年5月にかけて水揚げされ、サイズや鮮度などの条件を満たしたものを「どんちっちノドグロ」としてブランド化しています。
山口県
島根県と並ぶ漁場として有名なのが、山口県萩市の見島沖。
高品質なのどぐろがまとまった量集まる下関漁港は、東京や大阪など大消費地向けの卸としての役割も果たしています。
水揚げされたのどぐろのうち、県統一の「やまぐちブランド」に認定されるのは、サイズや脂質含量などの基準を満たした上質なものだけです。
新潟県
日本海に沿って細長く、豊富な漁場を持つ新潟県でも、のどぐろは県を代表する魚のひとつ。
砂地の海底を好むのどぐろにとって、阿賀野川と信濃川から大量の砂が流れ込む新潟県沖は恰好の住処となっています。
主な水揚げ地は、糸魚川市・村上市・新潟市・佐渡市など。
「新潟市水族館 マリンピア日本海」は、のどぐろの稚魚の人工育成に世界ではじめて成功したことでも有名です。
石川県
のどぐろは、北陸屈指の観光地・金沢の名物としても知られています。
市内の人気スポットである近江町市場には、のどぐろの丼や寿司、ひつまぶしなどを目当てに訪れる観光客がたくさん。
漁場は県内の幅広い海域にわたっていて、金沢以外にも輪島市や田尻町、志賀町などで新鮮なのどぐろが水揚げされています。
富山県
標高3,000m級の北アルプスから栄養豊富な河川水が流れ込む富山湾は、全国にも類を見ないほど多様な魚種が生息する海の幸の宝庫。
そんな魚自慢の富山で獲れるのどぐろは、鮮度・品質ともに優れた上等品です。
県内最大の漁港・氷見を中心に、射水市や魚津市などの漁港でも水揚げされています。
長崎県
九州ののどぐろ産地といえば、もっとも有名なのが長崎県。
なかでも対馬市のブランドのどぐろ「紅瞳(べにひとみ)」は、「地獄縄」という特殊な仕掛けで1本ずつ丁寧に釣り上げられています。
定置網で漁獲される一般的なのどぐろと比べても、1本釣りの紅瞳はキズがなく魚体がキレイ。
流通時の温度管理などにも徹底してこだわった最高級品です。
定番!のどぐろの美味しい食べ方5選
クセのない味わいが何にでも合うのどぐろ。
ここでは、定番の食べ方や調理法を5つご紹介します。
干物・一夜干し
旨味が凝縮された干物や一夜干しは、のどぐろの身近な楽しみ方。
「のどぐろ特有のコクのある甘味は、干物にしてこそ引き立つ」と言う人もいるほど、唯一無二の美味しさが味わえます。
手軽に調理できるので、贈答品としても人気です。
刺身・寿司
新鮮なのどぐろが手に入ったら、ぜひ食べたいのが刺身や寿司。
醤油に脂が浮き上がるほど脂がのった身を、さっぱりと楽しむことができます。
湯引きして皮を剥いだものもいいですが、皮と身の間にある脂を活かした炙り(焼霜造り)もおすすめ。
旨味の相乗効果が生まれる昆布締めの刺身や寿司も絶品です。
塩焼き
のどぐろの上品な脂を思いきり味わいたいなら、シンプルに塩焼きにするのがイチオシ。
パリパリの香ばしい皮を箸で崩すと、甘みたっぷりの脂がじゅわっと染み出してきます。
口の中でほろほろとほどける食感は、一度食べたら忘れられません。
煮付け
夏~秋の産卵期に子持ちのどぐろが手に入ったら、甘辛いタレでふっくらと仕上げる煮付けにしましょう。
ふわふわしたやわらかい身と、とろけるような口どけは格別。
旨味が溶け込んだ煮汁をご飯といっしょにいただくのも至福のひとときです。
しゃぶしゃぶ・鍋
高級料亭でも提供されている憧れの一品が、のどぐろのしゃぶしゃぶや鍋。
のどぐろが美味しいのはもちろんですが、旨味たっぷりのスープを吸った野菜類やシメの雑炊もとっておきのご馳走です。
のどぐろの干物(一夜干し)の上手な焼き方
のどぐろの旨味がギュッと閉じ込められた干物や一夜干し。
七輪などの炭火で焼くのが一番ですが、家庭ではなかなか難しいですよね。
そこで、のどぐろの干物を家庭で美味しく焼く方法を3つご紹介。
どの方法でも、焼き時間や火力は干物の大きさや身の厚さに応じて調整してください。
グリル
グリルの網に薄くサラダ油や酢を塗ったあと、高温に熱したグリルに干物の皮側を下にして置き、弱火~中火で焼きましょう。
片面(上火)焼きグリルの場合は、焼き色がついたら裏返してください。
ほどよく脂を落とすことができ、外はパリっと、中はジューシーに仕上がります。
フライパン
熱したフライパンにクッキングシートやフライパン用ホイルを敷き、皮側を下にして干物のせて、中火でじっくりと焼きます。
身が白っぽくなってきたら裏返し、もう一面も同様に焼きましょう。
厚みのある干物の場合は、蓋をして蒸し焼きにしてもOK。
グリルに比べると味や食感のメリハリは劣りますが、後片付けの手軽さは抜群です。
オーブン
高温を均一にキープできるオーブンで干物を焼くと、ムラなく美しい焼き上がりに。
クッキングシートなどを敷いた天板に皮側を下にした干物をのせ、あらかじめ予熱しておいたオーブンで10~20分ほど加熱します。
温度は200°前後を目安に調整してください。
冷凍の干物を上手に焼く方法
冷凍の干物の場合は、解凍せずに凍った状態のまま焼くのがおすすめ。
焼き上がりまでに少し時間はかかりますが、解凍時に出るドリップで生臭くなったり、干物の旨味成分が流れ出したりしてしまうのを防ぐことができます。
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