目次
トマトジュースには、食後血糖値の上昇抑制やコレステロール値の改善、高めの血圧を下げるなど、さまざまな健康効果が期待されています。
これらの働きには、リコピンやGABA、食物繊維、カリウムといった成分が関与しています。
この記事では、トマトジュースに期待できる健康効果を成分ごとに解説するほか、市販品の選び方や効果を高める飲み方も紹介します。
トマトジュースの健康効果をもたらす成分

トマトジュースの健康効果には、以下のような成分と働きが関与しています。
| 機能性成分・栄養素 | 期待される主な効果 |
|---|---|
| リコピン | 食後血糖値の上昇を穏やかにする 血中コレステロール値を改善する 肌の健康をサポートする |
| GABA | 高めの血圧を下げる |
| 食物繊維 | 食後血糖値の上昇を穏やかにする 腸内環境を整える |
| 抗酸化ビタミン (ビタミンA・C・E) | 肌の健康をサポートする |
| カリウム | むくみを予防する |
なかでもリコピンは、トマトジュースから効率よく摂取できる成分です。
これは、トマトを粉砕・加熱して作られる過程で細胞が壊れ、リコピンが吸収されやすくなるためです。
トマトジュースの健康効果を成分ごとに解説

ここからは、トマトジュースに期待できる健康効果を、成分ごとに詳しく解説します。
食後血糖値の上昇抑制|リコピン・食物繊維
トマトジュースには、食後血糖値の上昇を抑制する効果が期待できます。
これは、トマトジュースに含まれるリコピンと食物繊維の働きによるものです。
リコピンはトマトの赤色の色素(カロテノイドの一種)で、食後血糖値の上昇を穏やかにする可能性が報告されています。
ラットを用いた糖負荷試験では、リコピンを多く含むトマトを継続摂取した場合、糖負荷後15~30分の血糖値の上昇が有意に抑えられるという結果が出ています。
参考:農研機構 橋本直人 ほか「リコピン高含有トマトの継続摂取は食後血糖値の急激な上昇を抑制する」
また、食物繊維には消化管で糖質の吸収を遅らせる働きがあり、これにより血糖値の急上昇を防ぐ作用が期待できます。
血中コレステロール値の改善|リコピン
トマトジュースに含まれるリコピンは、HDL(善玉)コレステロールを増やす可能性が示されている成分です。
複数の論文を統合して解析した研究(メタ分析)では、15mg/日のリコピンを8週間摂取した場合、HDLコレステロール値が上昇する傾向が認められています。
実際に、多数のトマトジュースが「HDL(善玉)コレステロールを増やす」といった機能を持つ機能性表示食品として販売されています。
コレステロール対策としてトマトジュースを活用する際は、パッケージにこの表示があるかを確認するとよいでしょう。
参考:日本生物工学会誌 吉田 和敬 ほか「野菜飲料への機能性表示に向けた取組み」
高めの血圧を下げる効果|GABA
トマトジュースには、高めの血圧を下げる効果のあるGABAが含まれます。
GABAは、正式名称を「γ-アミノ酪酸」といい、トマトなどの野菜にも含まれる特別なアミノ酸の一種です。
GABAには血圧を上げる神経の働きを抑える作用があり、これにより血圧上昇を防ぐとされています。
人や動物を対象とした研究でも、血圧が高めの人に有効で、副作用はほとんどないことが報告されています。
一方、正常血圧の人には影響がないことも確認されており、安全性の高い成分といえます。
この働きを生かして、「高めの血圧を下げる」といった機能を持つ機能性表示食品のトマトジュースも多く販売されています。
血圧が気になる方は、そうした表示を目印にするとよいでしょう。
参考:美味技術研究会誌 No.15 佐々木 泰弘ほか 「ギャバ(GABA)の効能と有効摂取量に関する文献的考察」
肌への健康・美容効果|リコピン・抗酸化ビタミン
トマトジュースは、肌の健康や美容のためにもよく飲まれています。
これは、トマトジュースに豊富なリコピンやビタミンA・C・Eに抗酸化作用があるためです。
紫外線や加齢で活性酸素が過剰に産生されると、シミやシワ、たるみなどの肌トラブルが起こりやすくなります。
トマトなどの野菜や果物から、抗酸化成分を十分に摂る食生活は、こうした酸化ストレスを軽減し、肌のダメージや老化を抑える効果が期待できます。
実際に、トマトジュースでも、「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」といった機能を持つ機能性表示食品が販売されています。
むくみの予防|カリウム
トマトジュースに含まれるカリウムは、むくみの予防に効果的です。
むくみの原因のひとつは、塩分の摂りすぎによるナトリウムの過剰です。
体内のナトリウム濃度が高くなると、それを下げるために組織の水分量が増え、むくみが生じます。
カリウムには、余分なナトリウムの排出を促し、細胞内の浸透圧を一定に保つ働きがあります。
そのため、カリウムの適切な摂取は、塩分を摂りすぎたときのむくみの軽減に役立つのです。
ダイエットをサポートする働き|食物繊維・トマト由来成分
適量のトマトジュースは、体型維持やダイエットを行う人をサポートします。
これは、食物繊維による血糖値上昇を穏やかにする働きと、トマト由来成分の脂肪代謝への関与によるものです。
具体的には、次のような点が挙げられます。
- 食物繊維
食後の血糖値上昇を穏やかにする作用により、脂肪が付きにくい食生活を支える。 - 食べすぎ防止
食前に飲むと満腹感が高まり、食べすぎの防止に役立つ。 - 脂肪燃焼を促す可能性
マウスを用いた実験において、トマト、とくにトマトジュースに、脂肪の利用を促す成分(13-oxo-ODA)が多く含まれていることが確認されている。
参考:京都大学 河田 照雄 ほか「トマトから脂肪肝、血中中性脂肪改善に有効な健康成分を発見:効果を肥満マウスで確認」
良好な腸内環境の維持|食物繊維
トマトジュースにも含まれる食物繊維は、良好な腸内環境の維持を助けます。
食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に大別され、それぞれ以下のような働きをします。
- 水溶性食物繊維
腸内細菌のエサとなり、善玉菌を増やす働きがある。 - 不溶性食物繊維
便のかさを増やし、腸の動きをサポートする。
ただし、トマトジュースに含まれる食物繊維はそれほど多くありません。
また、飲みすぎると逆効果になる場合もあります。とくに、冷たいままの大量摂取は胃腸を冷やすため注意が必要です。
市販のトマトジュースの分類と選び方

トマトジュースに健康効果を期待するなら「機能性表示食品」かつ「食塩無添加」のものがおすすめです。
この2つの観点での選び方を紹介します。
機能性表示食品の届出表示を確認する
健康効果を意識するなら、「機能性表示食品」の表示があるトマトジュースがおすすめです。
機能性表示食品とは、“事業者の責任において、科学的根拠に基づき特定の保健の目的が期待できる旨を表示
”した食品です。
例えば、コレステロールが気になる場合は「善玉コレステロールを増やす」といった表示のある製品を選ぶなど、望む効果や目的に合わせて選びましょう。
機能性表示食品と保健機能食品制度について(詳細を見る)
多くのトマトジュースも該当する「機能性表示食品」は、国が定めた「保健機能食品制度」の一部です。
日本で販売されている食品は、「一般食品(いわゆる健康食品を含む)」と「保健機能食品」に分類されます。
保健機能食品は、一般食品とは異なり、保健や栄養成分の機能(効果)を法令に基づいて表示可能です。ただし、医薬品ではないため、病気の治療や防止の機能をうたうことはできません。
保健機能食品には、「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」を含め、全部で3つの分類があります。
2015年に設立された機能性表示食品は、多額の開発費と厳格な審査を要する特定保健用食品(トクホ)に比べて、企業が商品開発をしやすい制度です。
| 分類 | 特定保健用食品 (トクホ) | 機能性表示食品 | 栄養機能食品 |
|---|---|---|---|
| 機能性 | 保健の機能 | 保健の機能 | 栄養成分の機能 |
| 認可方法 | 個別承認 | 消費者庁へ届出 | 届出不要 |
| 機能の表示 | 国の許可で表示 | 企業の責任で表示 | 定型文で表示 |
参考:消費者庁「保健機能食品について」
羊土社『もっとよくわかる!食と栄養のサイエンス』
機能性表示食品について、事業者からの届出内容は、消費者庁の「機能性表示食品検索」で誰でも確認できます。
なるべく食塩無添加(無塩)タイプを選ぶ
健康や美容のためにトマトジュースを飲むなら、「食塩無添加」や「無塩」と書かれた製品を選ぶのが鉄則です。
トマトジュースには、飲みやすく味付けした「有塩タイプ」と、食塩を加えずに作る「無塩タイプ」があります。
有塩タイプは、高血圧の一因でもある塩分の過剰摂取につながりやすく、GABAやカリウムの持つ効果を打ち消してしまいかねません。
とくに、日本では普段の食事で塩分過多な傾向があるため、ジュースでさらに塩分を摂るのは避けたいところです。
有塩タイプは、無塩タイプに比べ、トマトの青臭さが抑えられて飲みやすいメリットがあります。
ただし、最近では品種改良などにより、無塩でもトマト本来の甘味と旨味がおいしく味わえる製品が増えています。
もし無塩タイプが飲みにくいと感じたら、オリーブオイルやレモン汁などを加えるアレンジもおすすめです。
トマトジュースを飲む際の注意点

健康によい効果が期待できるトマトジュースですが、飲み方や飲む人によっては注意したい点もあります。
- 空腹時や冷たいままの摂取に注意
空腹時に冷たいトマトジュースを飲むと、胃腸に負担がかかる場合があります。常温に戻したり、食後に飲んだりするとよいでしょう。 - 体質や体調によって合わないことがある
食物繊維を含むため、体質によってはお腹が張ったり、ゆるくなったりすることがあります。体調に合わせて量やタイミングを調整しましょう。 - 持病がある場合や薬を服用している人は注意
トマトジュースにはカリウムが含まれるため、腎臓の持病がある人や食事制限がある場合などは、医師への相談がすすめられています。 - 健康効果を過信しない
トマトジュースは、健康的な食生活をサポートする食品のひとつです。これだけで体調が大きく変わるわけではないため、バランスのよい食事を意識することが大切です。
効果を高めるトマトジュースの飲み方

この章では、トマトジュースの健康効果のなかでも、リコピンを効率よく摂取するための飲み方について紹介します。
油と一緒に摂取する(玉ねぎも入れ加熱すると最適)
トマトジュースに含まれるリコピンは、脂溶性のため、油と一緒に摂取すると吸収されやすくなります。
さらに、油と一緒に加熱することで、リコピンは体内に吸収されやすい形に変化し、より効率的に摂取できると考えられています。
油と一緒に加熱する際に、玉ねぎやにんにくを加えると、リコピンが吸収されやすい形への変化がいっそう起こりやすいことも知られています。
とはいえ、毎回加熱調理をする必要はありません。手軽に取り入れたい場合は、食事と一緒にトマトジュースを飲むだけでもよいでしょう。
朝に飲む
トマトジュースに含まれるリコピンは、朝に摂取すると吸収されやすいことが報告されています。
カゴメ株式会社が行ったヒト試験では、朝・昼・夜の時間帯で摂取した場合を比較した結果、朝に飲んだときにリコピンの吸収量が多いことが確認されました。
この背景には、栄養素の消化吸収が体内の1日のリズム(サーカディアンリズム)の影響を受けることが関係していると考えられています。
ただし、吸収効率には個人差があるため、生活リズムに合わせて無理なく続けることが大切です。
参考:カゴメ株式会社 「朝にトマトジュースを飲むと機能性成分”リコピン”が効率的に吸収されることを”ヒト試験”で確認」
1日200mLを目安に飲む
トマトジュースは、1日200mL(コップ1杯程度)を目安に飲むとよいでしょう。
リコピンの摂取量は、1日当たり15~20mg程度が望ましいといわれています。これは、一般にトマトジュースおよそ200mLに相当する量とされています(製品ごとに差あり)。
実際に、トマトジュースを対象とした研究や、機能性表示食品の商品設計でも、200mL前後が摂取量の目安として示されることがあります。
健康によいからといって一度に多く摂っても、効果が高まるわけではありません。
適量を意識し、無理なく継続することが大切です。
まとめ
トマトジュースには、リコピンやGABA、食物繊維、カリウム、抗酸化ビタミンなどが含まれ、健康によい効果が期待できます。
とくにリコピンには、食後血糖値の上昇抑制や血中コレステロール値の改善、血圧への働きが報告されています。
市販品を選ぶ際は、機能性表示食品かつ食塩無添加のものを選ぶといった点も意識するとよいでしょう。
また、油と一緒に摂る、朝に飲むなどの工夫で、リコピンを効率よく摂取できます。
トマトジュースの健康効果を得るには、適量を無理なく継続することが大切です。













