目次
グラニュー糖は身近な砂糖の一種で、お菓子作りなどによく使用されています。
日本で最も普及している「上白糖」とグラニュー糖では、同じ砂糖でも性質がやや異なります。
砂糖は種類により料理やお菓子作りなどに向き不向きがあるため、おいしく使いこなすには特徴を理解することが重要です。
そこで本記事では、上白糖とグラニュー糖の違いを中心に、他の砂糖との違いや、上白糖とグラニュー糖の使い分けや代用する際のコツをご紹介します。
砂糖(上白糖)とグラニュー糖の違い
「砂糖」とは、ショ糖(スクロース)という糖を主成分とする甘味料の総称です。
ただし日本では、しっとりとしてコクがある「上白糖」という砂糖が主流で、この上白糖を「砂糖」と呼ぶことも多いです。
一方、「グラニュー糖」はサラサラとした粒が大きめの結晶で、コーヒーや紅茶などに入れるスティックシュガーにも使われています。
以下の表に、グラニュー糖と上白糖の違いを示します。
砂糖の 種類 | グラニュー糖 | 上白糖 (単に砂糖とも呼ばれる) |
---|---|---|
成分 | ほぼ純粋なショ糖の 結晶を成分とする。 | ショ糖以外に、糖液に由来する 少量のブドウ糖・果糖 と水分が含まれる。 |
質感 | 結晶が大きめで、 さらさらしている。 | グラニュー糖より、結晶が 細かく表面がしっとり していて、まとまりがある。 |
味わい | クセがなく、すっきりとした 強い甘みがある。 | グラニュー糖よりもさらに 甘みが強く、コクがある。 |
用途など | よくコーヒーや紅茶 などに入れたり、お菓子 作りに使われたりする。 | 日本では最も普及していて、 さまざまな料理に広く使われている。 |
普及状況 | 世界的に最も普及している。 | 日本では最も普及している。 世界的にはあまり普及していない。 |
続いて、グラニュー糖と上白糖の特徴について詳しく解説します。
グラニュー糖とは
グラニュー糖は、0.2mm〜0.7mm程度のさらさらとした大きめの結晶で、純度が高い砂糖です。
砂糖ならではのコクは弱いものの、比較的淡泊でクセのない味わいが特徴です。
世界的に最も普及している砂糖はグラニュー糖で、日本でも広く販売されていて、お菓子作りなどによく使われています。
グラニュー糖は湿気にくいため、家庭で保管しやすいメリットもあります。
上白糖とは
上白糖は、日本では最も一般的に使われている砂糖で、国内で一番多く生産されています。
結晶の大きさは、グラニュー糖よりもかなり細かい0.1mm〜0.2mm程度です。
上白糖は、砂糖の結晶表面に、ブドウ糖と果糖からなる糖液をかける製法で作られています。
この糖液により、しっとりとした質感で、砂糖の甘みが強く、コクもあるのが特徴です。
砂糖としての味わいが強いため、料理やお菓子作り、飲み物など万能に使いやすいことも魅力です。
グラニュー糖と上白糖の使い分け
グラニュー糖と上白糖はどちらも、さまざまな種類の砂糖と比較すれば、大きなクセや特徴はなく万能に使いやすい砂糖です。
それでも、甘みやコクの強さ、質感や焼き色といった料理の仕上がりに違いがあるため、適切に使い分けるとよいでしょう。
グラニュー糖は、淡泊で風味やコクが少なく、すっきりした甘みを付けたい時にも使えます。
上白糖は、甘みが強くコクがあり、料理の焼き色やお菓子のしっとり感なども強くなる砂糖です。
ここでは、グラニュー糖と上白糖の使い分けのコツを解説します。
甘みと共にコクを加えるなら上白糖
砂糖にはただ甘さを加えるだけでなく、砂糖のコクによって料理の味わいを引き立てる役割もあります。
あっさりした味わいの素材などに、甘みと共にコクも少し加えたいときには、上白糖がおすすめです。
反対に、食材の風味やコクが強く、味わいがはっきりしている料理やお菓子には、グラニュー糖を使うと素材のおいしさを邪魔せず甘みだけを付けやすくなります。
ジャムにはグラニュー糖が使用されることも多く、素材の香りや風味を活かして、後味をすっきりさせるのに効果的です。
上白糖を使ったジャムは、よりコクがあり強い甘みを感じられるため、お好みで使い分けましょう。
しっとり感を出すなら上白糖
上白糖は、お菓子にしっとり感を出せます。
カステラやマドレーヌ、饅頭などのしっとりとした質感がおいしいお菓子には、上白糖を使うと効果的です。
仕上がりの好みが分かれるスポンジケーキも、しっとりさせたいなら上白糖がおすすめです。
軽い仕上がりならグラニュー糖
軽い仕上がりが魅力のお菓子には、グラニュー糖を使うと効果的です。
クッキーやビスケット、タルトなどをサクサクさせたいときには、上白糖よりもグラニュー糖が向いています。
きめ細かなメレンゲやホイップクリームを作るうえでも、グラニュー糖は効果的です。
スポンジケーキに使うと、ふんわりとした質感に仕上がりやすくなります。
飲み物の風味を楽しむならグラニュー糖
飲み物の風味を引き立てたまま甘さを加えるには、グラニュー糖が最適です。
砂糖自体のクセがないため、紅茶やコーヒーとも相性が良いです。
角砂糖やスティックシュガーなど、コーヒーや紅茶によく添えられる砂糖にグラニュー糖が多い理由でもあります。
一方で、「単に甘みを加えただけではさっぱりし過ぎる」「コクが欲しい」というときには上白糖を使ってみましょう。
グラニュー糖よりも甘さを強く感じやすいほか、ラテのようにミルクと一緒に入れると、上白糖のコクがまろやかさを後押ししてくれます。
焼き色の付け方で選ぶ
上白糖には、糖液由来の果糖やブドウ糖が含まれるため、加熱による焼き色が付きやすい特徴があります。
おいしい焦げ色を付けたい料理やお菓子には、上白糖を使うのがおすすめです。
反対に、焼き色をあまり付けたくないときや、焦げやすい料理やお菓子にはグラニュー糖を使うとよいでしょう。
一方で、キャラメルやカラメルソースはこんがりとした焦げ色が必要ですが、適しているのはグラニュー糖です。
キャラメルやカラメルソースは、香りや風味がおいしさの決め手のため、クセのないグラニュー糖を使うと、おいしい香りと風味を残したままバランス良く仕上げることができます。
グラニュー糖と上白糖の代用方法
上白糖とグラニュー糖は性質が近いため、双方に代用できます。
ただし、砂糖の量を大さじなどの体積で量るときは、計量に注意しましょう。
また、味見をしながら甘さを調節することもポイントです。
計量に注意する
レシピの砂糖の量が、グラム数ではなく大さじや小さじなどで書かれているときは、砂糖の種類を変えてそのまま量ると、分量が変わってしまいます。
砂糖の結晶の大きさが違うため、同じ大さじ1でも、上白糖は約9g、グラニュー糖は約13gです。
上白糖の代わりにグラニュー糖を使うときは、少なめに量りましょう。
上白糖大さじ1の量なら、グラニュー糖大さじ2/3程度を目安にすると、バランスが取れます。
味見をして甘さを調節する
上白糖はコクがあり、グラニュー糖は淡泊な味わいのため、上白糖のレシピをグラニュー糖に代えると甘さが薄く感じることがあります。
一方、グラニュー糖のレシピを上白糖に代えると、甘さがやや強いと感じることがあるでしょう。
上白糖をグラニュー糖に置き換えるなら、後から追加して甘みを調節しましょう。
反対に、グラニュー糖を上白糖に置き換えるなら、最初は控えめの量にしておくのがおすすめです。後から追加して甘みを調節するとよいでしょう。
砂糖の種類ごとの違いや特徴
砂糖には、ポピュラーな上白糖やグラニュー糖のほかに、角砂糖や粉砂糖、三温糖、黒砂糖、液糖など、さまざまな種類があります。
それぞれ作り方や特徴が異なり、種類によって向いている用途も変わります。
ここでは、製法による砂糖の分類と、さまざまな種類の砂糖について紹介します。
砂糖の分類(分蜜糖・含蜜糖)
砂糖は、さとうきびやてん菜など、ショ糖を多く含む植物の絞り汁から作られます。
この絞り汁から、砂糖の結晶を分離して取り出しますが、残る蜜は糖蜜と呼ばれます。
砂糖は製法により、糖蜜と分離した結晶のみを使う「分蜜糖」と、糖蜜も含んだまま固める「含蜜糖」に分類されます。
グラニュー糖や上白糖は、どちらも分蜜糖であり、含蜜糖より純度の高い砂糖です。
含蜜糖は、黒砂糖が代表的で、ショ糖以外の糖も多く含まれていて強いコクを持ちます。
砂糖の種類
砂糖は種類によって、すっきりとした甘さやコクのある強い甘さのものがあったり、甘さ以外の面でも特徴があったりして、料理やお菓子作りに影響を与えます。
さまざまな種類の砂糖について、特徴を表にまとめます。
砂糖の種類 | 特徴 | カロリー (kcal/100g) | 水分量 (g/100g) | 甘さの程度 |
---|---|---|---|---|
上白糖 | ・分蜜糖 ・0.1mm~0.2mmの結晶 ・しっとりしている ・料理やお菓子作りなど万能に使える | 391 | 0.7 | コクがあり 濃厚な 甘さ |
グラニュー糖 | ・分蜜糖 ・0.2mm~0.7mmの結晶 ・サラサラしている ・ジャムやお菓子作り、飲み物に向く | 394 | Tr | クセのない 上品で淡泊な 甘さ |
白ざら糖 | ・分蜜糖 ・1mm~3mmの結晶 ・光沢がある ・見た目を美しく仕上げたい お菓子作りに向く | 393 | Tr | クセのない 上質で淡泊な 甘さ |
中ざら糖 | ・分蜜糖 ・一般に「ザラメ」と呼ばれる ・2mm~3mmの結晶 ・加熱によりカラメル色をしている ・煮物や漬物などゆっくり味を 染み込ませる料理に向く | 393 | Tr | 独特のまろやかな 風味やコクのある 甘さ |
角砂糖 | ・分蜜糖 ・グラニュー糖を固めたもの ・コーヒーや紅茶に向く ・砂糖の量を簡単に計量したい 料理やお菓子作りにも向く | 394 | Tr | クセのない 上品で淡泊な 甘さ |
氷砂糖 | ・分蜜糖 ・時間をかけて結晶を大きくしたもの ・溶けるのに時間がかかるが 溶け残りは少ない ・果実酒などに向く | 394 | Tr | クセのない すっきりとした 甘さ |
粉糖 | ・分蜜糖 ・グラニュー糖をすり潰して きめ細かい粉状にしたもの ・混ざりやすい ・お菓子作りのデコレーション などにとくに向いている | 393 | 0.3 | 口溶けが良く クセのない 上品で淡泊な 甘さ |
黒砂糖 | ・含蜜糖 ・さとうきびが原料 ・かりんとうや駄菓子などに使われる ・黒砂糖特有のコクを活かした 料理やお菓子作りに向く | 352 | 4.4 | さとうきび特有の 風味があり、 濃厚で甘みが強い |
和三盆糖 | ・含蜜糖 ・さとうきびが原料 ・非常に小さな結晶 ・高級和菓子などに使われる | 393 | 0.3 | 口溶けが良く、 上品で優しい 甘さ |
三温糖 | ・分蜜糖 ・砂糖の結晶を取り出した後の糖液を 煮詰めて作るためカラメル色をしている ・煮物や佃煮などの砂糖のコクを 活かしたい料理に向く | 390 | 0.9 | 独特の風味に 加えて、 上白糖よりも コクがあり、 甘みが強い |
※Trはごく微量(最小記載量の1/10以上、5/10未満)の数値。
参考:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
砂糖によって含まれる水分量は異なり、水分量が少なければサラサラと、多ければしっとりとした質感に近付きます。
また、黒砂糖などの含蜜糖はミネラルを多く含むことも特徴です。
なお、砂糖の色でミネラル含有量の判断はできず、中ざら糖のように色が付いていてもミネラルをほぼ含まない砂糖もあります。
まとめ
グラニュー糖と上白糖は、どちらも比較的万能に使える砂糖ですが、多少の違いがあります。
とくに甘みの強さやコクに違いがあり、グラニュー糖がすっきりとした甘さや味わいの一方、上白糖はより甘みが強くコクがあります。
甘み以外に、料理やお菓子の質感や焼き色にも影響を与えるため、使い分けるとワンランク上の仕上がりが期待できるでしょう。
単に砂糖とだけ書かれたレシピには、味わいに合わせて最適な砂糖を選んでみてください。