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ししゃもは、骨ごと食べられ、手軽にカルシウムを摂取できる身近な食材です。
カルシウムだけでなく、さまざまな栄養素が含まれるししゃもには、健康によい効果が期待できます。
この記事では、ししゃもに含まれる栄養素と健康への効果、手軽にできるアレンジレシピを紹介します。
ししゃもの主な栄養成分と含有量

ししゃもには、北海道南東部の川を上ってくる国産の「ししゃも」と、大量に輸入される「からふとししゃも」(別名:カペリン)があります。
国内で広く流通していて手に入りやすいのは「からふとししゃも」です。
以下に、ししゃもとからふとししゃもについて、可食部100g当たりの主な栄養素の含有量をまとめます。
栄養素 | ししゃも 生干し(生) | からふとししゃも 生干し(生) |
---|---|---|
エネルギー | 152kcal | 160kcal |
たんぱく質 | 21.0g | 15.6g |
脂質 | 8.1g | 11.6g |
n-3系多価不飽和脂肪酸 | 1.47g | 1.73g |
カルシウム | 330mg | 350mg |
カリウム | 380mg | 200mg |
鉄 | 1.6mg | 1.4mg |
亜鉛 | 1.8mg | 2.0mg |
ビタミンA (レチノール) | 100μg | 120μg |
ビタミンD | 0.6μg | 0.4μg |
ビタミンB2 | 0.25mg | 0.31mg |
ビタミンB12 | 7.5μg | 8.7μg |
食塩相当量 | 1.2g | 1.5g |
※ししゃも:廃棄率10%・廃棄部位は頭と尾
※からふとししゃも:廃棄率0%・可食部は魚体全体
なお、生干しのからふとししゃも1尾の重さは16〜20g程度です。
栄養価を計算するときの目安にしてください。
ししゃもに含まれる栄養素の健康効果

ししゃもとからふとししゃもは、厳密には違う魚ですが、栄養価は似ています。
この章では、ししゃもとからふとししゃもに共通して含まれる主な栄養素と、その健康効果を解説します。
たんぱく質|筋肉・皮膚・毛髪を作る
ししゃもには、筋肉・皮膚・毛髪などを作るたんぱく質が豊富に含まれます。
たんぱく質は、体を作るだけでなく、酵素・抗体・ホルモンなどの材料にもなる重要な栄養素です。
1日に推奨されるたんぱく質の摂取量は、成人男性で60〜65g、成人女性で50gですが、一度の食事で吸収できる量に限りがあるため、こまめな摂取が必要です。
例えば成人女性なら、3回の食事で約17gずつがよい目安となります。
また、肉・魚・卵などの動物性たんぱく質と、豆類・大豆製品などの植物性たんぱく質を組み合わせて、さまざまな食品から摂取することも大切です。
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2025版 たんぱく質」(PDF)
不飽和脂肪酸(DHA・IPA)|血中中性脂肪を減らす
ししゃもは、n-3系多価不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)とIPA(イコサペンタエン酸/EPAとも)が豊富です。
n-3系多価不飽和脂肪酸は、体内で合成できない必須脂肪酸で、食事からの摂取が欠かせません。
魚の油に多く含まれるDHAとIPAには、血中の中性脂肪を減らす作用があり、以下のことが確認されています。
- DHA・IPAの摂取量が多いほど、血中中性脂肪を減少させる作用が高い。
- 血中中性脂肪が過剰になる高トリグリセリド血症は、心血管系疾患の要因の一つである。
- 約4万人を対象とした追跡調査では、魚からのDHA・IPAの摂取量が多い集団において、心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクが低下したという結果が得られた。
以上のことから、ししゃもに含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸(DHA・IPA)は、血中中性脂肪を減らし、心疾患予防への効果が期待できます。
カルシウム|骨や歯を形成する
カルシウムは、人体に最も多く含まれるミネラルで、そのうちの99%が骨と歯に存在しています。
1日に推奨されるカルシウムの摂取量は、成人男性で750〜800mg、成人女性で600〜650mgです。
骨ごと食べられるししゃもは、魚類のなかでもカルシウムが多く含まれ、骨粗しょう症予防に効果的です。
ただし、乳製品などに比べて吸収率が低いため、吸収を助けるビタミンDも意識して摂るとよいでしょう。
ビタミンDは魚類やきのこ類に多く、ししゃもにも含まれています。
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2025版 ミネラル」(PDF)
鉄|貧血を防ぐ
ししゃもは、吸収のよいヘム鉄を多く含む、鉄分補給に適した食材です。
血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンは、たんぱく質と鉄で構成され、細胞に酸素を運ぶ役割があります。
鉄が不足すると、ヘモグロビンが減少し、鉄欠乏性貧血を引き起こすことがあります。
鉄欠乏性貧血になると、全身に十分な酸素が行き渡らないため、以下のような影響が出ます。
- 集中力の低下・頭痛・食欲不振
- 筋力低下・疲労感などの運動機能の低下
- 顔面の蒼白・スプーン爪
- 認知機能の低下
亜鉛|免疫力向上・味覚を正常に保つ
亜鉛は、さまざまな酵素の構成成分となる、生命維持に欠かせないミネラルです。
免疫力の向上や、味覚・嗅覚の健康維持に役立つほか、アミノ酸からたんぱく質への再合成や、DNAの合成などにも関わっています。
亜鉛の不足による影響は、以下のとおりです。
- 免疫力の低下・傷が治りにくくなる
- 味覚・嗅覚障害
- 皮膚炎・脱毛
- 食欲不振・倦怠感
- 性腺発育障害
亜鉛の吸収率は約30%とやや低いですが、ビタミンCやクエン酸、動物性たんぱく質と一緒に摂ると、吸収が促進されやすくなります。
ビタミンA|目や肌を健康に保つ
ししゃもは、ビタミンAの主要な成分であるレチノールが豊富です。
レチノールは脂質に溶けやすい性質があり、動物性の食品に含まれます。
ビタミンAの主な作用は以下のとおりです。
- 目や皮膚の粘膜の健康を維持し、抵抗力を高める。
- 抗酸化作用により、肌の健康を保つ。
- 暗い場所での視力を保つ。
ビタミンAが不足すると、肌が荒れやすくなったり、暗い場所でものが見えにくくなる「夜盲症」を患ったりすることがあります。
ビタミンB2|肌荒れや口内炎を防ぐ
ビタミンB2は、糖質・たんぱく質・脂質の代謝に関わり、皮膚・粘膜の健康維持や、エネルギーの産生に欠かせない栄養素です。
不足すると、以下の症状が出る場合があります。
- 肌荒れ
- 口内炎・口角炎・舌炎
- まれに角膜炎を起こすことがある。
- 成長期の子どもでは、成長障害を起こすことがある。
ビタミンB2はさまざまな食品から摂取できますが、とくに魚介類・肉類・卵・乳製品などに多く含まれます。
ビタミンB12|赤血球の生成を助ける
貝類などの魚介類に多く、ししゃもにも含まれるビタミンB12は、造血のために欠かせない栄養素です。
ビタミンB12は、葉酸とともに細胞のDNA合成に関わり、赤血球の生成を助けます。
不足すると赤血球細胞の成長がうまくいかず、動悸・息切れ・倦怠感・めまいなどの症状を伴う巨赤芽球性貧血を引き起こします。
また、ビタミンB12には、神経機能を正常に保ったり、動脈硬化を防いだりする働きもあります。
ししゃもの栄養をしっかり摂れるレシピ3選

この章では、安価で手に入りやすい「からふとししゃも」を使ったレシピを3つ紹介します。
焼くだけでなく少し手を加えると、ボリュームのあるおかずになり、栄養もしっかりと摂れます。
調理前にししゃもの水分を拭き取っておくのが、おいしく仕上げるポイントです。
ししゃものフライ
衣をつけて揚げるだけなので、手軽に作れます。
ビタミンCとクエン酸が豊富なレモンを添えると、亜鉛の吸収率がアップします。
材料(2人分)
- からふとししゃも:6~8尾(約120g)
- 薄力粉:大さじ1
- 溶き卵:1/2個分
- パン粉:大さじ3
- 揚げ油:適量
- レモン:1/2個
作り方
- ししゃもに、薄力粉・溶き卵・パン粉の順に衣をつける。
- 160℃の油で、表面がきつね色になるまで揚げる。
- 皿に盛り付け、レモンを添える。
ししゃもとまいたけのアヒージョ
にんにくを効かせたアヒージョは、おつまみにもぴったりです。
まいたけのビタミンDが、ししゃもに含まれるカルシウムの吸収を助けます。
材料(2人分)
- からふとししゃも:6~8尾(約120g)
- まいたけ:1パック
- にんにく(潰す):1~2個
- 赤唐辛子(種を取る):1本
- オリーブオイル:適量
- 塩:少々
作り方
- 材料がちょうど入る大きさのフライパンに、オリーブオイルとにんにくを入れて弱火にかける。
- にんにくの香りが出たら、ししゃも・まいたけ・赤唐辛子を加え、塩を振る。
- 材料が浸かる程度にオリーブオイルを加える。
- いったん中火にし、オイルがふつふつしたら弱火にして5〜6分、材料に火が通るまで加熱する。
ししゃもの揚げない南蛮漬け
揚げずに作る簡単でヘルシーな南蛮漬けです。
酢に含まれる酢酸には、カルシウムの吸収を助ける働きがあります。
材料(2人分)
- からふとししゃも:6~8尾(約120g)
- 玉ねぎ:1/4個
- ピーマン:1個
- にんじん:2cm
- ★かつお出汁:100mL
- ★みりん:大さじ1
- ★しょうゆ:大さじ1
- ★米酢:大さじ2
作り方
- 玉ねぎは薄切り、ピーマンとにんじんは細切りにし、深めのバットなどに敷いておく。
- トースターか魚焼きグリルで、ししゃもの表面に焼き色がつくまで焼き、1.の上に乗せる。
- 小鍋に南蛮酢の材料(★)をすべて入れ、ひと煮立ちさせ、2.に加える。
- 南蛮酢が全体に浸かるように途中で混ぜながら、冷めるまでおく。
まとめ
ししゃもには、国産の「ししゃも」と、輸入の「からふとししゃも」があります。
一般的なのはからふとししゃもで、国産のししゃもと栄養の違いはほとんどありません。
ししゃもに含まれる主な栄養素と効果は以下のとおりです。
- たんぱく質
筋肉・皮膚・毛髪などを作る。
酵素・抗体・ホルモンなどの材料になる。 - DHA・IPA
血中中性脂肪を減らし、心疾患を予防する。 - カルシウム
骨や歯を形成し、骨粗しょう症を防ぐ。 - 鉄
鉄欠乏性貧血を防ぐ。
貧血によって起こる運動機能や認知機能の低下を防ぐ。 - 亜鉛
免疫力を向上させる。
味覚・嗅覚を正常に保つ。
皮膚炎や脱毛を防ぐ。 - ビタミンA
目や肌の健康を保つ。
暗い場所での視力を保つ。 - ビタミンB2
肌荒れや口内炎を防ぐ。 - ビタミンB12
赤血球の生成を助け、造血を促す。
骨ごと食べられて調理も簡単なししゃもは、手軽に使える食材です。
栄養をしっかりと摂れるアレンジレシピも、ぜひ参考にしてみてください。